楽しんでこそ人生!ー「たった一度の人生 ほんとうに生かさなかったら人間生まれてきた甲斐がないじゃないか」山本有三

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西教寺、翠桃のお墓と修験光明寺跡(芭蕉の道を歩く 28)

2012年12月02日 10時11分16秒 | 芭蕉の旅
(西教寺本堂)

(那須・黒羽4)
玉藻稲荷神社より引き返し、突き当った道路を左折し、
交差する道を右へ右へと行き、次の交差点を右折すると右側に西教寺がある。
那須の篠原の道は分かに分かれていて、非常に判りづらい。
何度も、交差点で引き返し、引き返ししながら、西教寺に到着した。

奥の細道で、(那須野は目印の無い道で、道なれたこの馬に乗っていき、
馬が止った所で返してくださいと、野良の農夫が馬を貸してくれた。)
と芭蕉が書いている様に、回りが水田の道路は、
地図がなければ動きが取れない。
地図はあっても、折れ曲がる道が判りづらく、
人に尋ねようにも人がいなくて、進むのに苦労する。

この西教寺には、曾良の句碑がある。

・かさねとは 八重撫子の 名成るべし   曾良

である。

(曾良の句碑)

(「かさねとは・・・」の句碑)

奥の細道にある、
馬を借りたあとを小さな女の子が追いかけてくる。
名前を聞くと「かさね」という。そこで曾良が詠んだ句である。

西教寺の手前を左に入り、水田の中を道なりに進むと、
左手に十数基並んだ墓地があり、翠桃の墓がある。

翠桃については、奥の細道で、
(那須の黒羽という所に知人(しりびと)あれば、
是より野越にかかりて、直道(すぐみち)をゆかんとす。
―中略―
 黒羽の館代浄法寺何がしの方に音信る(おとづる)。)

と書いている。

(翠桃の墓)

館代とは城代のことで、黒羽の城代 浄法寺桃雪の家と、
弟の翠桃の家を交互に泊まり、奥の細道で最大の十四日間逗留している。
その翠桃のお墓である。
墓碑が並んでいる写真の一番左の墓碑が翠桃のもので、
碑面の「不説軒一忠・・・」までの法名は読むことができる。


(左端が「不説軒」の法名がある翠桃本人のお墓)

また兄の桃雪の住まいについては、「旧浄法寺邸」として、
芭蕉公園の入り口に復元されている。

旧住居の玄関に、ご近所の女性が数人休んでいらっしゃった。
顔を出して挨拶すると、
「美人が揃っているので驚かれたでしょう。」と声をかけられた。
昔鳴らした美女たちが、玄関先にずらりと並んで休憩中であった。
ボクもそれ相応な年齢であるから、驚きもせず、
「芭蕉はどの部屋に泊まられたのか、どちらの美人の方がご存知ですか?」
とお訪ねすると、中でも少し若作りの美人(?)が、
「一番奥の部屋です。」指差して答えた。
「有難うございます」と答えて三間続きの座敷を、外側から見に行く。
城代のお邸にしては少し狭いと思われたが、
今でも田舎、と思える城代の家としては、充分であったに違いない。

(昔の美人が座っていた旧浄法寺邸跡)

(浄法寺邸の一番左の座敷に芭蕉は泊まったと言う)

話が脱線してしまった。
翠桃のお墓で、地面が食い込むのではないかと心配しながら、
車をUターンさせ、修験光明寺跡へ向う。
案内に沿って、左折すると三叉路に出て、
どれを行けば良いか車を止めて思案していると、
運良く車が通りかかったので、地図を見せながらお訪ねする。

「一番右側の道を行くと案内があります」男性は親切に教えてくれた。
人っ子一人見ない田舎では、会話をできる人がいて、
お役に立てることが余程嬉しいらしく、
満面の笑みをたたえて教えてくださった。

「修験光明寺跡」は案内看板が、
山すその道路わきの草地に建っているだけで、
修験光明寺行者堂跡らしきものは見えない。
それもその筈、光明寺行者堂跡は左の山の中へ入らなければならない。

(修験光明寺跡の案内)

(枝が覆いかぶさった山道の階段)

左手の木が追いかぶさる山に入ると階段が見える。
これからどんな深い山に登るのかと、恐る恐る昇ると、
階段は意外に少なく、すぐ頂上らしき所についてしまった。
左手を見ると、句碑が建っている。

・夏山に 足駄をおがむ かどでかな   はせを

芭蕉の句碑である。

(修験光明寺行者堂跡の句碑)

修験光明寺行者堂跡と伝えられているが、
今はこの句碑しかない。
この句碑は、阿部能成(あべよししげ)氏の揮毫であるという。
阿部能成氏は、ボクが結婚するころまで、学習院大学の学長で、
もと文部大臣であったので良く覚えている。
今の平成天皇が学ばれたころの学長の筆になるという。

修験光明寺行者堂跡をでて、大雄寺へ向う。

(安部能成の揮毫という句碑)

・木洩れ日に 碑文が浮ぶ 行者堂   hide-san
コメント (8)
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