前回「四分六」で、人を恋うる歌の歌詞、
「六分の侠気四分の熱」で、
「六分」を(りくぶ)と読むか(ろくぶ)と読むか考えた。
この歌詞は与謝野鉄幹の作詞に依るものと覚えて居た。
実際には、1番から16番まである詩である。
長いですが下記にしるします。(ネットより)
人を戀ふる歌 (三十年八月京城に於て作る) | ||
1)妻(つま)をめとらば才たけて 顔(みめ)うるはしくなさけある 友をえらばば書を讀んで 六分の俠氣四分の熱 2)戀のいのちをたづぬれば 名を惜むかなをとこゆゑ 友のなさけをたづぬれば 義のあるところ火をも踏む 3)くめやうま酒うたひめに をとめの知らぬ意氣地あり 簿記(ぼき)の筆とるわかものに まことのをのこ君を見る 4)あゝわれコレッヂの奇才なく バイロン、ハイネの熱なきも 石をいだきて野にうたふ 芭蕉のさびをよろこばず 5)人やわらはん業平(なりひら)が 小野の山ざと雪を分け 夢かと泣きて齒がみせし むかしを慕ふむらごころ 6)見よ西北(にしきた)にバルガンの それにも似たる國のさま あやふからずや雲裂けて 天火(てんくわ)ひとたび降(ふ)らん時 7)妻子(つまこ)をわすれ家をすて 義のため耻をしのぶとや 遠くのがれて腕(うで)を摩す ガリバルヂイや今いかん 8)玉をかざれる大官(たいくわん)は みな北道(ほくどう)の訛音(なまり)あり 慷慨(かうがい)よく飲む三南(さんなん)の 健兒(けんじ)は散じて影もなし 9)四たび玄海の浪をこえ 韓(から)のみやこに來てみれば 秋の日かなし王城や むかしにかはる雲の色 10)あゝわれ如何にふところの 劍(つるぎ)は鳴(なり)をしのぶとも むせぶ涙を手にうけて かなしき歌の無からんや 11)わが歌ごゑの高ければ 酒に狂ふと人は云へ われに過ぎたる希望(のぞみ)をば 君ならではた誰か知る 12)「あやまらずやは眞ごころを 君が詩いたくあらはなる むねんなるかな燃(も)ゆる血の 價すくなきすゑの世や 13)おのづからなる天地(あめつち)を 戀ふるなさけは洩すとも 人を罵り世をいかる はげしき歌を秘めよかし 14)口をひらけば嫉みあり 筆をにぎれば譏りあり 友を諌めに泣かせても 猶ゆくべきや絞首臺(かうしゆだい) 15)おなじ憂ひの世にすめば 千里のそらも一つ家 おのが袂と云ふなかれ やがて二人(ふたり)のなみだぞや」 16)はるばる寄せしますらをの うれしき文(ふみ)を袖にして けふ北漢の山のうへ 駒たてて見る日の出づる方(かた) |
ここまで読んだところで、歌を聞いて見たい。
人を恋ふる唄
ここでは、与謝野鉄幹の詩の1、2,4,10、11番が唄われて居る。
しかし、森繁久彌さんの歌では1、4、11番の詩が唄われ、
続いて三高寮歌の3,5番が唄われているのだ。
(ここで言う「三高」とは、後の京都大学)
与謝野鉄幹の詩の4番は共に唄われているが、
4)あゝわれコレッヂの奇才なく
バイロン、ハイネの熱なきも
石をいだきて野にうたふ
芭蕉のさびをよろこばず
バイロン、ハイネの熱なきも
石をいだきて野にうたふ
芭蕉のさびをよろこばず
この中のコレッジが森繁久彌さんはダンテになって居る。
比較願いたい。
妻をめとらば(人を恋うる歌) 森繁久弥
ここで言うコレッジは多分、
イギリスの詩人コルリッジのことと思われる。
ボクも学生時代コルリッジの英詩
「老水夫行」(?これで良かったか)を原文で、学んだことがある。英詩の研究であるから、詩の内容もそうだが、
作詞のあり方なども教わった記憶です。
ずいぶん難しい詩についての授業であった記憶だ。
余談ですが、
この英詩研究を教わった教授の息子さんが、
ボクが就職した会社の二年先輩にいた関係で、
この教授が亡くなられたとき、残された自費出版の詩集を、
買わされたことを思い出した。
教授その人も詩人であったのだ。
しかし、この詩集も難解であった。
更に話が反れますが、
この先輩 学生時代、
「スペイン語研究会」なるものを立ちあげて、
スペイン語にのめり込んでおり、
スペインの船が港に入ったという情報が入ると、
港へ出かけて、船員とスペイン語会話の練習をしていた。
このスペイン語研究会のメンバーだった女性が、
のちの奥様だと、もっぱらの評判であった。
会社にいても、
机の上にスペイン語の会話集が置いてあった。
そして定年退職後、
スペインのバルセロナに奥様と移住したが、
一度、年賀状を貰ったきり、以後音信不通です。
スペインの通貨は、ボクが旅した時はユーロでは無く、
ペセタでした。
その昔、コロンブスがアメリカを発見したころのスペインは、
世界ではイギリス、ポルトガルに次いで1~2を争う、
海洋国でしたが、
日本が経済大国になった頃の年金は、
日本人は豊かな国民であったらしく、
先輩がスペインに移住するや、
市長さんのお出迎えの歓迎を受け、
豊かな生活が出来たそうです。
話が、反れてしまいました。
長々とありがとうございました。
それでは、また・・・
今日が、皆さんにとって穏やかな良き日でありますよう、
願っております。
ものですね。
知りませんでした。
4番の歌詞については、与謝野鉄幹のコレッジが、森繁久彌はダンテになっているというのは面白いです。
聞き覚えがあるせいかもしれませんが、、「ダンテの奇才なく、バイロン、ハイネの熱なきも」の方が、流れがスムーズな気がしますが。
確かにこの方がスムースですね。