休日はデジカメ持ってぶらぶらと📷

アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

京都大原を歩く④ ~建礼門院大原西陵~

2015-08-15 15:33:29 | 文学をたどる
 寂光院に東隣に高倉天皇中宮建礼門院徳子の墓所である大原西陵がある。
 平氏の滅亡後、寂光院に庵を結んで隠棲をしていた後、1413年(建保元年)この地で没したという。一説には、1191年(建久2年)に没したとも。また、亡くなった場所も、寂光院ではなく、都に移って亡くなったとするものもある。物語としては、この地でひっそりと平氏一族の菩提をとむらいながら、他の平氏ゆかりの女房たちに看取られながら、ひっそりと、声明の地である大原の読経の声に導かれながら、平氏一族とともに極楽往生を遂げたという構成のきれいな様な気がする。かくして平家物語の最終巻灌頂巻は、出家した建礼門院が、行幸をしてきた後白河院に行きながら六道を辿った話をして終わる。学生の頃、文学の講義で平家物語を取ってたんですが、確か、灌頂の巻は平家物語全体の往生を目的とした巻であるということを担当しておられた福田先生がおっしゃっていたような記憶があるのだが、あんまり定かでない。この講義が、スポーツの授業の後だったので、スポーツに力を注ぎ過ぎて、その後の講義はほとんど寝てるだけだったからで、今から思うとなんてもったいないことをしたのだと思う。(今の大学って、スポーツの授業が必修じゃないらしい。何かもったいない。こんなどうでもいいような授業に力を費やすのも学生の特権なのに・・・。)
 話が横道にそれてしまった。建礼門院徳子の墓所については、江戸時代の書物にも寂光院の裏手と書かれてあり、明治になって五輪宝塔が、建礼門院大原西陵として宮内庁の管轄となった。

 

 建礼門院徳子の墓所は、寂光院に向かう参道の途中にあり、制札のある場所から細い参道を登っていかなければならない。寂光院に参る人は多いけれど、意外とこの御陵に足を向ける人は少ないようであった。

 

 また、寂光院の門前の道を少し奥に行くと、建礼門院に使えた女房たちの墓と伝えられるものがある。

 

 墓所には、写真のように苔むした石段を登っていかなければならない。そして、杉木立の中、あまり日が差さない所にひっそりとそのお墓はあった。

 

 お墓は、五つあり、手前の四つは、阿波内侍、大納言佐局(平重衡室)、治部卿局(平知盛室)、右京太夫(平資盛の恋人)とされており、後ろの1基が、小侍従局となっている。右京太夫はここにいたのかなあなどと思ったりするが、何れも平氏にゆかりのある女性たちであり、生き残って夫や恋人の菩提を弔ったと伝えられる。このころの尼寺については、戦乱で夫などをなくし、行き場を失った女性たちが身を寄せる場として機能していたとも言われている。ひっそりと五つのお墓が身を寄せ合っている様子は、運命に翻弄された女性たちの生涯を現しているようで胸を打つものがある。

 

 ちなみに阿波内侍は、藤原信西の裔と伝えられており、父である藤原貞憲が大原に坊を持っており、それを建礼門院に提供したのではないかとも考えられている。なお、平家物語では、後白河法皇が最初に出会うのは、阿波内侍である。

 また、阿波内侍は、大原女と呼ばれる女性の商人の始まりともされている。大原女は、大原から、炭や薪を頭の上に乗せて売りに来る売りに来る女性で、その服装に特徴があった。①頭にかぶる手拭いを結ばず吹き流しとしたこと、②帯の代わりに二幅半の前だれをしめること、③足の膝小僧から下にはばきを前合わせにはくことの三つである。大原女は中世には、存在しており、室町時代に書かれた「七十一番職人歌合」にも、桂女と並んでその名前が見えるという。
 大原女自身は、いつまで実在していたのだろう?高度成長期ぐらいまではいたのかなあ。戦後直後ぐらいまではいたみたいだけど。

 ちょっとしたネタでは、大原名物のしば漬けの名付け親は、建礼門院と伝えられる。

 寂光院から大原のバス停に向かう途中に、朧の清水という小さな泉を見つけた。何でも建礼門院徳子が、出家して寂光院に向かう途中、夜になり、月夜のもと、水面に映る自分のやつれた姿を見て、身の不幸を嘆いたといわれるところである。今でも、泉が湧いているらしい。

 

 建礼門院の伝説に彩られた寂光院を後にし、バスに乗って帰路につく。バス停からいざ、バスが出ようとする時、おばちゃんたちの集団が、むりくたバスを止めたものの、乗り込もうとした瞬間、目的地に行かないと分かり、結局乗らなかった光景を目の当たりにしたとき、一気に現世に戻されてしまった。おそるべしは、おばちゃんである。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 京都大原を歩く③ ~寂光院~ | トップ | 立命館大学パンサーズ 20... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

文学をたどる」カテゴリの最新記事