WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

ジョン・レノン死亡記事とコメント

2006年12月09日 | つまらない雑談

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 ジョン・レノンがマーク・デビッド・チャップマンにピストルで撃たれて死んだのは、1980年の12月8日(日本時間では9日)だった。狂信的ともいえるファンだった私は、今思えば過剰ともいえるショックを受け、九段会館で行われた追悼集会でもスピーチをするという入れ込みようだった。あれから長い年月が過ぎ去り、私はジョン・レノンの年齢をはるかに超えた。時間というろ過装置が過剰なものを洗い流し、いつしか私はジョン・レノンを卒業したとはっきり認識し、それを口にだしていえるようになった。ひとりの素晴らしいミュージャンとして彼の音楽を楽しめるようになったのだ。今、私の書斎には、Watching The Wheels が流れている。いい曲だ。

 ところで、ジョン・レノンが死んだ数日後の新聞には、幾人かのミュージシャンたちのコメントが掲載され、今読むとなかなか感慨深いものがあるので紹介する。

ポール・マッカートニー★ ジョンは偉大な男だった。彼の死は残酷であまりに悲しい衝撃だ。僕はあいつを本当に愛していたよ。彼は最高だった。彼の死は全世界の人々に惜しまれるだろう。芸術、音楽、そして世界平和への貢献によって、彼はいつまでも我々の記憶の中に刻まれるに違いない。彼を失うことがどれほどの苦痛であるかはとても言い表せない。

ジョージ・ハリスン★僕はジョンを計り知れないほど愛し、尊敬している。余りのショックでもう正気を保っていられないくらいだ。本当にとんでもなく理不尽な損失だ。

ミック・ジャガー★ジョンと18年来の知り合いだし、ずっと好きだった。でも今、こんなひどいことが起きた後に、彼の家族、何百万という彼のファンや友だちのためにもありきたりのことはいいたくない。

ピート・タウンゼント★気が動転していてとても話せない。僕が今いったいどんな気持ちかを言い表せる言葉はない。

エルトン・ジョン★ショックが大きすぎて何も話したくない。

クリフ・リチャード★本当に偉大なロックンローラーと呼べる人間はほんの少ししかいない。ジョン・レノンこそそのひとりだった。僕たちは今後長い間彼の死を惜しみ続けなければならないだろう。

ジェフ・リン★レノンは僕の人生に大きな影響を与えたし、おそらく他の誰もが影響を受けただろう。彼は僕のアイドルだった。いつだって会いたいと思っていたけれど、一度見かけたことが会っただけでついに会ったことはなかった。他に何がいえるって言うんだ。ひどすぎる。あまりにひどすぎるよ。

ジョン・ライドン★世界は何も変わらんさ。

 やはり、ジョン・ライドンのコメントが異彩を放っている。そして、彼が一番正しかった。時に、ニヒリスティックな精神は我々の頭を熱病から冷やしてくれる。

[過去の記事]ジョン・レノンのイマジン(シングルレコード)


アン・バートンの伴奏者

2006年12月09日 | 今日の一枚(K-L)

●今日の一枚 96●

Louis Van Dijk     Ballads In Blue

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 エロティックな雰囲気のジャケットが良い。乳首が突き出ているところがなかなかいいではないか。

 オランダのピアニスト、ルイス・ヴァン・ダイクの2004年録音盤だ。ヴァン・ダイクは、1960年代にあのアン・バートンの伴奏者として、『ブルー・バートン』『バラード・アンド・バートン』といった名作でその名を知られるようになった。この作品『バラード・イン・ブルー』もアン・バートンの先の作品を暗示するタイトルであり、彼女に捧げられたと考えられないこともない(とライナーノーツの中山智宏氏はいっている)。

 クリスマスが近づいてくると、割と正統派のしっとりしたピアノトリオなどを聴きたくなるのはどうしてだろうか。お祭りの非日常的な高揚感の一方で感性は何かしら保守的になっていく。奇をてらうことなど何もなく、まるで歌を口ずさむかのように、淡々とヴァン・ダイクはピアノを奏でていく。穏健でまっすぐな美意識である。珠玉演奏だ。録音も良い。

 これからの季節、窓の外の雪景色を眺めながら、温かい暖房のきいた部屋で聴きたい一枚である。