●今日の一枚 271●
New York Trio
Blues In The Night
遅ればせながらだが、かのSwing Journal 誌が6月17日発売の2010年7月号をもって休刊するらしい。Swing Journal 誌の編集姿勢については賛否のあるところであろうが、やはり寂しい。当然のことながら、私がjazzを聴きはじめるずっと以前から存在していた雑誌であり、私にとっては空気のようにずっとそこにあることが当然のような雑誌だった。実際、私自身も定期購読していた時期があった。1990年代の末から2000年代前半だったろうか。ちょうど、venus レーベルが宣伝攻勢を強めた時期でもあり、おかげで私のCDコレクションには結構な枚数のvenus盤が含まれることになった。Swing Journal 誌のバックナンバーコレクションも一時は寝室の書棚を圧迫する程たまったのであるが、これは数年前に思い切って処分した。結局、あまりの広告の多さに辟易し、また広告掲載作品の論評での評価が妙に高いことや選定ゴールドディスクの不可解さなどに疑問を感じて定期購読はやめにしたのであるが、今思えばそういう我々一人一人がSwing Journal 誌のようなJazzジャーナリズムを支えていた訳だった。編集長の三森隆文氏は「何とか復刊を目指し、努力したい」と話しているらしいが、がんばってもらいたい。復刊の折には、是非また購読したい。
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今日の一枚は、ビル・チャーラップ率いるニューヨーク・トリオの2001年作品『夜のブルース』である。venus レーベルの一枚だ。なかなかいい作品だ。ジャケットよし、選曲よし、演奏よし、録音もかなりよしだ。ただ、へそ曲がりな私は、venus レーベルの作品を聴くといつも一関「ベイシー」のマスター菅原昭二(正二)さんの次のことばを思い出してしまう。「何時の頃からか、ジャズの録音を物凄く"オン・マイク"で録るようになった。各楽器間の音がカブらないように、ということらしいが、もともとハーモニーというものは、そのカブり合った音のことをいうのではなかったか!?」(『ジャズ喫茶「ベイシーの選択』講談社1993)
まあしかし、そんな偏屈なことを考えなくとも十分気分良く楽しむことのできる作品である。今夜の酒もすすみそうである。今日の酒は、土佐『酔鯨中取り純米酒』、つまみは情熱工房ねの吉の「情熱クリームチーズ」である。仙台で親戚がつくっているチーズなのだが、これがなかなかうまい。「夜のブルース」と「酔鯨」と「情熱クリームチーズ」のせいで、今夜も飲みすぎそうである。