王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

諫干堤防の開門命令 漁民勝訴

2008-06-28 07:46:12 | 環境
諫干堤防の開門命令 環境悪化で漁業被害 漁民勝訴 3年猶予5年間実施 佐賀地裁判決(西日本新聞) - goo ニュース

昨日昼のTVニュースでは「関係者が勝訴と書いた紙を持って裁判所から走り出てくる場面を流していた」

国営諫早湾干拓事業(長崎県)の堤防閉め切りで赤潮などによる漁業被害を受けた漁業者ら約2500人が堤防撤去や排水門開門を国に求めた訴訟の判決が佐賀地裁であった。
神山隆一裁判長は:
その1一部の原告約50人について漁業被害を認定。
その2「(詳細な調査には)中・長期開門調査が有用。国が応じないのは被害立証を妨害するものだ」と、南北排水門の5年間の常時開放を命じた。

これを受け若林農水相は「思いがけない判決」見たいな事を言っていた。勿論担当部署が作った官僚作文であろう。

問題の一面は補助金を出しながら(米の)減反を行っているのに干拓により農地を増やすと言う農業政策の矛盾であろう。一度予算が付いてしまうと自分では決して止まれないという官僚機構の「暴走機関車」振りである。

もう一面は干潟に堤防を作り甚大な環境変化(悪化)をもたらしこの例では水産資源に甚大な影響を与えたし今も与えつつ有る様だ。
TVでは脱色し白くなる海苔の被害や干潟が真っ白に見えるほど「あさりの死骸である殻」が広がる場面を流していた。
ところでムツゴロウが全滅してしまったのはここの干拓ですかね? 違っていたら御免なさい。

似たような話は各地の防潮堤防や巨大ダムの建設でもある。
今回は田んぼも漁業も農水省の管轄なのだから若林農水相が「判決を厳粛に受け止める」と発言すれば済みそうだが中は一本では無いのであろう。

一存で決めかねるなら福田総理と相談して「控訴」するのは止めて下さい。
環境サミットも近いのだしさすが環境問題を考える内閣だと支持率が少し上がるかも知れません。


西日本新聞:
国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防閉め切りで赤潮などによる漁業被害を受けたとして、佐賀、長崎、福岡、熊本の有明海沿岸4県の漁業者ら約2500人が堤防撤去や排水門開門を国に求めた訴訟の判決が27日、佐賀地裁であった。神山隆一裁判長は堤防閉め切りと湾周辺の環境変化との因果関係を「相当程度の立証がされている」として一部の原告約50人について漁業被害を認定。「(詳細な調査には)中・長期開門調査が有用。国が応じないのは被害立証を妨害するものだ」と、南北排水門の5年間の常時開放を命じた。

 神山裁判長は因果関係の立証について「多大な人員費用を負担する詳細な調査を漁民らに要求するのは酷すぎる」とした上で「中・長期開門以外に堤防がない状態に近い調査は困難。調査・立証は被告(国)にしかできない」と述べた。

 開門による海水導入によって干拓地での農業生産が被る被害は、原告らへの漁業被害に比べ「優越する公共性や公益性があるとは言い難い」とした。さらに高潮対策など同事業の防災機能についても「新たな工事で代替可能」と判断した。

 ただ、新たな防災工事には最短3年が必要との理由から開門の開始時期は判決確定から「3年以降」とした。開門後、農業用水をためる湾内の調整池が周辺海域と同じ状態になるまでの2年と、中・長期開門調査に必要な3年を合わせ、開放期間は5年間とした。

 判決によると、1997年に諫早湾の湾奥部を全長約7キロの堤防で閉め切ったため、潮流が弱まり湾周辺の環境が悪化し、漁業被害を受けた。

 提訴と同時に原告が申請した仮処分では、2004年8月、佐賀地裁が工事差し止めを決定。9カ月後、福岡高裁が地裁決定を取り消したため、工事が再開され、昨年11月に完工していた。

 即時開門を求めた二度目の仮処分申請については、この日「速やかに開門しなければ、回復不可能な損害を被る危険性が高いとまではいえない」と申し立てを却下した。(引用終わり)
コメント (6)
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