昨日23日午後「夫婦別姓訴訟」に対して、最高裁大法廷は、「民法と戸籍法の規定が憲法に違反するかについて、両規定は合憲」とする決定を出しました。
大法廷は15人の裁判官で構成され11人が合憲、4人が違憲とする反対意見を述べました。2015年の判決は5人が違憲としましたから、反対意見は1人減りました。今回のは判決は「決定は、夫婦の姓についての制度を立法で議論することと、憲法に反するかを裁判で審査することは”次元が異なる”と指摘。”制度のあり方は国会で論ぜられ、判断されるべき事柄に他ならない”として、選択的夫婦別姓制度の導入を含む議論を立法府に促した」とありますから、司法府が立法府の規定の範囲を超えて踏み込む判断をしなかったと見えます。安保反対抗議運動の様な熱量を感じる訴訟には見えませんでした。夫婦別姓で婚姻届けが受け入れられるのは更に議論が必要な事がはっきりしました。
オバマ政権時代の少数意見容認の風潮と日本のそれは異なっているようです。
写真: 毎日新聞 提供 最高裁に入る夫婦別姓訴訟の申立人と弁護士ら=東京都千代田区で2021年6月23日午後2時45分、佐々木順一撮影
毎日新聞:
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定が憲法に違反するかどうかが争われた3件の家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は23日、両規定を「合憲」とする決定を出した。合憲判断は2015年の判決に続いて2回目。大法廷は、15年以降の社会状況や国民意識の変化を踏まえても、判断を変更すべきものとは認められないと判断した。
決定は、夫婦の姓についての制度を立法で議論することと、憲法に反するかを裁判で審査することは「次元が異なる」と指摘。「制度のあり方は国会で論ぜられ、判断されるべき事柄に他ならない」として、選択的夫婦別姓制度の導入を含む議論を立法府に促した。
裁判官15人のうち11人の多数意見。弁護士出身の宮崎裕子、草野耕一両裁判官と学者出身の宇賀克也裁判官の3人は違憲とする反対意見を述べた。検察官出身の三浦守裁判官は違憲としたが、立法措置が講じられていない現状では請求は認められないとした。15年判決は女性3人全員を含む5人が違憲としたが、今回は違憲は4人で、1人減った。
民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」と規定。戸籍法74条は婚姻届で「夫婦が称する氏」を届け出なければならないと定める。東京都在住の事実婚の男女3組は18年、別姓での婚姻届を自治体に提出したが受理されず、審判を申し立てた。「両規定で夫婦別姓を望む人たちが法律婚から排除されている」とし、憲法が保障した法の下の平等(14条)や婚姻の自由(24条)に違反すると訴えた。
大法廷は「家族の呼称を一つに定めるのは合理的。女性側が不利益を受けることが多いとしても、通称使用の広がりで緩和される」とした15年判決に照らせば、両規定が憲法24条に違反しないことは明らかだと指摘。女性の就業率の上昇や管理職の割合の増加、選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する世論の上昇といった社会や国民意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更すべきものとは認められないと結論付けた。憲法14条違反については判断を示さなかった。
東京家裁と東京家裁立川支部は同姓規定を合憲として3組の申し立てを却下し、東京高裁も支持。大法廷も決定で特別抗告を棄却し、婚姻届を受理しない判断が確定した。【近松仁太郎】
決定骨子
・夫婦同姓を定めた民法と戸籍法の規定は、婚姻の自由などを定めた憲法24条に違反しない
・2015年判決以降の社会状況や国民意識の変化を踏まえても、判断を変更すべきものとは認められない
・夫婦の氏についての制度のあり方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄に他ならない
(引用終わり)