明日は寒いらしい
こうやって一日々冬に近づいて行くんだろう・・
ねぎ買うて枯れ木の中を帰りけり
初めて一人暮らしを始めた最初の冬
夜中にカタカタと部屋の摺りガラスが風で揺れて
ぴゅーぴゅーと隙間風が万年床に吹き付けた
もう寒くて寒くて
布団をかぶって膝を抱えてたんだけど
もう寝られたもんじゃない
眠ると死ぬと思った
(冬山登山じゃ無いんだから)
明け方起きてみると部屋の中の小さな台所が凍り付いていた
それから隙間と言う隙間にビニールを詰め込んだらどうにか寝られるようになった
40年以上前、あの頃でも破格の三畳一間8000円の家賃だったからな
あくる年、確か5月~夏にかけて土方のアルバイトで釜ヶ崎の三角公園に行った
アオカン(野宿)のおっさん連中が公園で寝ていて
(わしよりまだ貧乏人が世の中にはようけおるんや)
(冬はどないしてるんやろ)
と思ったけど
実は直感でこうも思ったんだ
(僕も数年後ここのメンバーとして公園で皆と並んで寝てるだろう)
この先、まだ分からんな
高知出身の直木賞作家、山本一力さん思い出と土地の紹介を書いたエッセイ
一力さんは東京を題材に何冊かエッセイを書かれている
一力さんは14歳で上京し新聞販売店に住み込み従業員として高校卒業まで働いたそうだ
青春時代は苦労されたみたい
深川や上野、銀座などの思い出を綴られているがこの20か所ほどの土地の中に新宿は入っていない
東京で一番有名と言っても過言では無い街、新宿がこの本には書かれていない
同県人の田舎者として一力さんがピックアップした町は思い出に相通じる土地が多い
やはり僕の中でも新宿と言う街はあまり好きになれない
僕が上京した頃はディスコの最盛期で飲み会も新宿に集まる事が多かった
現在、新宿は稀に通り過ぎることはあっても何かを目的に出かける事はない
歌舞伎町は何だか油断できないような気がして
反対に赤坂の事は書かれている
僕も赤坂は好きな街だ落ち着いた大人の雰囲気がして
夜の一ッ木通り、初めて寿司屋のカウンターに座り、ロシア料理のボルシチにウォッカ
初めてウォッカを飲んだ時にコップに塩が一つまみ添えられていて
(たる酒と一緒だな)と思った
赤坂は郷土の土佐料理の店も多い
昔は料亭街の表通りにずらっとハイヤーが並んでいた
弁慶橋を渡りニューオオタニの庭を抜けて上智大学のグラウンドを見下ろす松並木を歩く
赤プリは無くなったけれど思い出は残った