今日は暑いな
昔々まだ個人の部屋にクーラーなんて無かった時代
昭和の50年代の中頃
大阪郊外の三畳一間のボロアパートの2階に住んでいた
夏の日の日中なんて部屋にいたらそれこそ蒸し風呂のようだった
ガタガタの鉄枠で出来た窓を開けると
何故だか刑務所のような鉄格子にビニールのトタンが張られていて
風雨が部屋に直接入る事を防いだ
その代わりに部屋全体に陽の光が届く事は無かった
窓の外は雑草の生い茂った乾いた空き地が広がっていて
空地の向こうに草生した土手と鉄橋を渡る茶色の阪急電車が見えた
鉄橋の下に安威川という川が流れていて
夕暮れの土手を体育大学の女子学生が走っていた
アパートの階下には小さなどぶ川が流れていて
アパートの踊り場に出るのに
外に面したドアを開けると熱風に煽られたどぶの臭いがした
角部屋だったので部屋の入口の引き戸を開け放して
夏はいつも湿った万年床にパンツ一枚で寝ていた
偶に踊り場に出る住人とパンツ1枚の自分の目と目があった
爽やかな風がこの3畳間を通り抜ける事は無かった
隙間の無いじめじめした部屋に扇風機が忙しなく回っていた
そんな季節のパチンコ屋はオアシスだった
けれど仕送りの金なんてすぐに無くなって
すぐに真夏の三畳間に戻った
ラジカセから歌謡曲が流れていた
台所に汚れたままの食器が重なっていた
そしてそこには勤勉とは無縁の青年がいた
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