夜中にうつらうつら目覚めると外は雨が降っていた
パラパラと音がする
そして枕元の目覚まし時計がチクタクと
闇の世界にただその音だけが響いて来る
じぃーと目をつむったまま横たわり耳を傾けると
パラパラ
チクタク
と同時に幻のような昔の光景が浮かんできた
終電間際の電車に乗っている
梅田行きの阪神電車
乗客はほとんど乗っていない
眠りについた街の灯りが流れてゆく
僕も長椅子から足を投げ出してうつらうつらしている
ふと瞼を開いたら向かいの長椅子に座った小さな女の子が僕の顔をじっと見つめていた
こんな時間の電車にお母さんと二人
お母さんはやはりうなだれて眠っていて
ガタンゴトン揺れる車内で女の子だけが確かに目を開けて僕を見ていた
あの女の子は何だったんだろう
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