人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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【鉄ちゃんのつぶや記 臨時号・追悼】旅立っていった大谷さんへ

2007-03-05 23:06:49 | 鉄道・公共交通/交通政策
 大谷英貴さんを初めて知ったのは、私も他の多くの人がそうであるように「人らしく生きよう・国労冬物語」のスクリーンの中でした。留萌闘争団の中心メンバーとしていつも忙しく立ち働き、勇壮なかけ声でホタテ貝を売っている姿は今も脳裏に焼き付いています。動機が不純だといわれるのを覚悟で告白するのですが、初めての団結まつりは「大谷さんのホタテを食べたい」というのがひとつの参加理由でもありました。

「人らしく生きよう・国労冬物語」には、吹きすさぶ強風の中で海を見つめる大谷さんが登場します。本人いわく「何気なく海を見ていたらいきなりビデオカメラを向けられて、体が固まってしまった」のだそうです。国鉄労働者という、鉄道ファンにとっては雲の上にも等しい栄光の経歴を持つにしては、いつも照れ屋で、茶目っ気があり、それでいて働き者の大谷さんの周りにはいつも人が集まっていました。

 おとなしく当局の言うことを聞き、人間らしく生きたいなどと言う不遜な考えを持たなければ、功成り名を遂げる年齢である50歳。他人を出し抜いたり蹴落としたり騙したり裏切ったりすることが嫌いな大谷さんは決してそんな人生を選びませんでした。他人への悪口・非難・嫉妬の言葉を、私は大谷さんの口からは一度も聞いたことがありません。人間らしく生きることを、言葉ではなく行動で示してくれたのが大谷さんでした。

 闘争団員・原告団員の中でいつもナッパ服を着ていました。彼のそばに近づくと、蒸気機関車の石炭の臭いがするような気がしました。鉄道ファンに目覚めた幼き日の私が、大人になったらなりたいと憧れ、願っても手に入れられなかった国鉄職員の地位。私の周りにいる凡庸な「大人たち」には、その地位を失ってまで人間らしくあろうとする彼の考えは理解の範囲を越えていたのかもしれません。でも、因果な趣味を持ち、国鉄闘争に関わるようになったおかげで、私は大谷さんの生き方に少しだけ近づくことができた気がするのです。大谷さんが忠誠を尽くした相手は、社会の支配者や当局ではなく鉄道の職務だったのだと、いま私は思います。

 まだまだ働き盛りの年齢で、大谷英貴さんは短すぎる人生を駆け抜け、旅立っていきました。支援者として、大谷さんに勝利解決の報告ができなかったみずからの非力を恥じなければなりませんが、しかし闘いはまだ終わっていないし仲間も大勢残っています。大谷さんの遺志を受け継いで、私たち仲間一同、必ず勝利解決の報告ができるように頑張っていきます。どうか安らかにお眠りください。

 ありがとう、そして、さようなら。

(2007/3/5・特急たから)

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