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リニア中央新幹線「2027年開業、事実上の延期」報道について

2020-07-12 19:08:38 | 鉄道・公共交通/交通政策
JR東海、リニア延期事実上表明 静岡拒否「27年開業難しい」(共同)

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 JR東海は3日、静岡県との対立で準備工事着手が遅れているリニア中央新幹線について、県が着工を認めないとの見解を示したことを受け「残念ながら(東京・品川―名古屋間の)2027年開業は難しい」として、開業延期を事実上表明した。JR東海は今後、リニア計画を認可した国土交通省と協議し、計画見直しについて詳細を詰める方針だ。ただ県の同意を得るための期間は依然不透明で、計画は37年にも予定している大阪までの延伸を含め大幅に狂う可能性が出てきた。

 両者はリニアの南アルプストンネル建設を巡って、水資源の問題で意見が対立している。
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莫大な税金の無駄遣いであり、建設しても問題しか引き起こさないリニア中央新幹線について、安全問題研究会は事業認可以前から一貫して反対の立場をとり続けてきた。今回、大井川からの水問題が原因でJR東海が計画していた2027年の開業が絶望的になったことに関して、当研究会は歓迎を表明する。延期ではなく事業自体、ぜひ中止してもらいたい。

報道では、静岡県が水問題で反対し続けていることが延期理由であるかの如く報道され、静岡県が一方的に「悪者」に仕立てられようとしている。しかし実際はそうではなく、2027年の開業を危ぶむ声は2018年頃から徐々に出始めていた(参考記事:リニア新幹線「2027年開業」が難しすぎる理由/東洋経済オンライン)。静岡工区だけでなく、あらゆる工区が問題だらけのプロジェクトなのである。

JR東海もそのことに気付いていたが、問題を隠し続けてきた。今回、JR東海も隠しきれない形で問題が顕在化したに過ぎない。その上、リニア開通で駅ができるわけでもなく、水問題という不利益だけを押しつけられる静岡県の存在が、「中央対地方」というメディア的にわかりやすい構図に落とし込まれたことで、報道しやすくなったのだ。

静岡工区だけが問題なのではないことは、この問題を一貫して追及してきたジャーナリスト樫田秀樹さん(「悪夢の超特急 リニア中央新幹線」著者)が、最新の記事で次のように伝えている。

リニア、川勝平太静岡県知事と金子慎JR東海社長の対談が実現。知事は「準備工事再開」を認めず。でも、それに関係なく、すでにリニアの2027年開通は無理なことは判っている。(樫田秀樹さんのブログ「記事の裏だって伝えたい」)

リニア中央新幹線が事業認可された直後の2014年10月、樫田さんが都内で講演した際の音声もYoutube「安全問題研究会チャンネル」にアップしているので、ぜひ聴いてほしい。(「本当に建設でいいの?危なすぎるリニア新幹線ホントの話/ジャーナリスト樫田秀樹さん」、2014年10月25日)

また、6月27日のTBS「報道特集」がこの問題の経緯や、静岡県民が過去、水涸れと闘ってきた歴史を持つことなど詳細に伝えている。当ブログ管理人も視聴した環境保護団体「FoE Japan」の公開オンラインセミナー「リニアは止められる? 大井川をめぐる静岡県とJR東海の対立とは」でもこの問題を伝えている。こうした報道を見れば、静岡県が一方的に「ごねている」わけではないことが理解できるだろう。

国策のために、「ごく一部」の住民の命や生活くらい奪われてもいいという時代は、すでに昭和とともに終わっている。沖縄の基地問題も、福島の原発事故も、住民の闘いは決して「ごく一部」なのではない。「ごねている」「カネをもらっているくせに」などと主張している連中は恥を知るべきだし、せめて自分がそう主張できるのは犠牲を押しつける「強者」の側にいるからだという自覚くらいは持ってもらいたいと思う。

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