安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

【年末ご挨拶】今年も1年、お世話になりました

2024-12-31 21:19:59 | 日記

鉄道全線完乗実績まとめ、20大ニュースの発表に加え、3・11以降、私にとって大晦日の恒例行事となった全交関電前プロジェクトによる関西電力前大晦日行動へのリモート出演(メッセージ)も終わり、ようやく年末という気分になってきました。

2024年もあと3時間足らずになりましたので、ここで年末のご挨拶を申し上げます。2024年に起きた出来事の評価は後世に委ねたいと思いますが、特に公共交通分野に関しては、新年早々、羽田事故が起き、年末にも韓国・チェジュ航空機の着陸失敗事故が起きるなど、騒々しい1年だったと思います。これに伴い、安全問題研究会としても、非常に充実しながらも忙しい1年でした。

個人的には、昨年の著書発行に続き、2024年も月刊「日本の科学者」に拙稿が掲載されるなど充実した1年だったと思います。ただ、仕事・私生活面では、将来に向けた迷いが生じ、揺れ動いた1年でもありました。

間もなく新しい年となります。みなさま、よいお年をお迎えください。


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2024年 安全問題研究会10大ニュース(今年は20大ニュースに拡大します)

2024-12-30 22:06:49 | その他(国内)

さて、2024年も残すところあとわずかとなった。例年通り今年も「安全問題研究会 2024年10大ニュース」を発表する。ニュースタイトルの後の〔 〕内はカテゴリーを表す。

選考基準は、2024年中に起きた出来事であること。当ブログで取り上げていないニュースも含むが、「書評・本の紹介」「日記」「運営方針・お知らせ」カテゴリからは原則として選定しないものとする。

・・・なのだが、今年は本当にいろいろなことがあり過ぎた。鉄道系ブログとしてはどうしてもランクインさせなければならないはずの北陸新幹線敦賀開業や、根室本線・富良野~新得廃止といった重要ニュースが、まさか10位以内にすら入れないとは思ってもいなかった。

だからといって、これらのニュースを選外にするわけにもいかず、熟慮の末、今年はやむを得ず、20大ニュースに枠を拡大する。ニュース枠の拡大は、2016年(20大ニュースに拡大)以来8年ぶりである。なお、この拡大のため、例年、選外となったニュースでどうしても残しておきたいものを取り上げている「番外編」の公表は、今年は行わない。

1位 能登半島で震度7の大地震 関連死含め500人近く犠牲に〔気象・地震〕

2位 羽田空港でJAL機と海保機が衝突、乗客全員脱出成功も海保機5人死亡〔鉄道・公共交通/安全問題〕

3位 日本被団協にノーベル平和賞 長年の反核運動実る〔原発問題/一般〕

4位 自民党総裁選で石破政権発足、衆院解散総選挙で自公過半数割れ〔その他(国内)〕

5位 改定エネルギー基本計画から原発「可能な限り低減」削除。福島の教訓忘れ露骨な原発回帰へ〔原発問題/一般〕

6位 東海道新幹線保線車両衝突、東北新幹線「はやぶさ・こまち」分離など新幹線トラブル相次ぐ〔鉄道・公共交通/安全問題〕

7位 米大統領選でトランプ氏返り咲き。民主ハリス氏大差で破る〔その他(海外・日本と世界の関係)〕

8位 中央リニア新幹線開業と北海道新幹線札幌延伸「延期」発表相次ぐ 計画の無謀さ明らかに〔鉄道・公共交通/交通政策〕

9位 女川・島根原発再稼働相次ぐ 敦賀2号機は規制委審査「不合格」で原電窮地に〔原発問題/一般〕

10位 NUMO(原子力発電環境整備機構)が寿都・神恵内での「核のごみ」最終処分場文献調査報告書を公表〔原発問題/一般〕

11位 根室本線・富良野~新得、無念の「廃止」 地元住民団体は復活運動へ〔鉄道・公共交通/交通政策〕

12位 北陸新幹線、金沢~敦賀間延長開業〔鉄道・公共交通/交通政策〕

13位 JR各社が相次いで値上げを発表。JR北海道をめぐっては当研究会代表が公聴会で意見公述。「みどりの窓口」削減など大幅なサービス低下も相次ぎ、利用者からの不満表面化〔鉄道・公共交通/交通政策〕

14位 知床遊覧船事故をめぐり、海保が桂田精一・同社社長を逮捕・起訴〔鉄道・公共交通/安全問題〕

15位 バスの深刻な運転手不足により全国的に減便・廃止相次ぐ〔鉄道・公共交通/交通政策〕

16位 「令和の米騒動」発生。8~9月にかけ全国で米が品薄に〔その他(国内)〕

17位 宮崎県沖でM7の地震。初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」発表〔気象・地震〕

18位 JR九州高速船日韓航路「クイーンビートル」で浸水隠し発覚。JR九州が日韓航路撤退へ〔鉄道・公共交通/安全問題〕

19位 「国内避難民の人権に関するダマリー国連特別報告者による訪日調査報告書」日本語訳が公開〔原発問題/一般〕

20位 東京、兵庫の知事選でSNSが影響力。フェイク、デマ情報の制限が課題に〔その他(国内)〕

【当研究会関連(上記以外)】

・当研究会代表、羽田事故問題、原発問題で「レイバーネットTV」に2回出演

・羽田事故問題で国交省の責任を連続追及。航空管制官の増員実現

・当研究会代表執筆論文「開業150年の節目に危機が顕在化した日本の鉄道」が月刊「日本の科学者」に掲載

・「リニアが通る村」長野県大鹿村で当研究会代表がリニア問題の報告

・「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4・27集会」で当研究会代表が記念講演

10大ニュースには、例年、鉄道関係カテゴリーから3つ程度、原発関係カテゴリーから3つ程度を選ぶこととしているが、今年は鉄道・公共交通関係の重要ニュースが多かった。しかも、事故・トラブル、廃線・減便、工事難航に伴う開業時期延期など、「鉄道・公共交通衰退」を感じさせるニュースばかり。明るい話題は新幹線敦賀開業くらいだが、いずれも今後の鉄道の帰趨を占う重要ニュースと判断した。

一方、原発関係は、今年は反/脱原発という観点からはまったくいいニュースがなく、10月までは9位「女川・島根原発再稼働相次ぐ 敦賀2号機は規制委審査「不合格」で原電窮地に」の1つだけでもいいと考えていた。

だが、11~12月にかけ、日本被団協のノーベル平和賞受賞、エネルギー基本計画改悪、NUMOによる文献調査報告書の公表などの重要ニュースが続いた。これらも、数年後に振り返ったとき「いま思えばあそこが転換点だった」と振り返られることになるのは確実な重要ニュースばかりであり、結局、原発関係も5つと例年を上回った。

それにしても・・1位の能登地震が元日、2位の羽田空港事故が1月2日の出来事であり、「新年の2日で今年の10大ニュースのツートップは決まったようなものだ」と新年早々思ったが、結局、この2つを凌駕するような重要ニュースは、当ブログ的にはなかった。

地震関係のニュースが2つもランクインするなど、とにかく今年は地震に翻弄された年だった。震度5強以上を記録した地震は、東日本大震災が起きた2011年以降としては、最も多い年になった。

もう1点、上記のランキングを見ていて思うのは、1つの事件がドミノのように連鎖的に他の事件を引き起こしていくケースが今年は非常に目についたことだ。例えば、2位の羽田事故は、能登に救援に向かおうとしていた海保機がJAL機と衝突したものであり、元日の能登地震が起きていなければ発生していなかった。また、16位「令和の米騒動」も、米不足の傾向自体は今年春からはっきりしていたものの、「最後のダメ押し」になったのが17位の「南海トラフ地震臨時情報の発表」だったことは疑いがない。

これらは連鎖的に発生したが、それ自体は別の出来事であるため別のニュースとして扱わざるを得なかった。枠を20に拡大しなければならないほどニュースが多かったのは、重要なニュースがドミノ的に連鎖発生した影響も見逃すことができない。

いずれにせよ、今年は本当に騒々しい1年だったし、安全問題研究会にとってもかつてなく忙しい年だった。少なくとも、公共交通をめぐっては、2025年は平穏な年であってほしい。


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2024.12.31 全交関電前プロジェクト 大晦日アクションへのメッセージ

2024-12-29 21:01:13 | 原発問題/一般

福島原発事故以降、関西電力本社前では、毎年、大みそかにも反原発行動が粘り強く続けられている。今年もメッセージの依頼があったので、以下の通りメッセージを出した。

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 関電前にお集まりの皆さん、寒い中、大晦日までお疲れさまです。

 今年11月、被災地として初めて東北電力女川原発2号機が再稼働し、12月には中国電力島根原発2号機も再稼働しました。いずれも東日本大震災後初であり、また事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型原子炉としても初の稼働となります。

 12月には、エネルギー基本計画が改悪され、政府の原発回帰の姿勢が露骨になる中、辛うじて残っていた「原発依存度を可能な限り低減」の文字が削除されました。「可能な限り削減」も、可能でなければ削減しなくてもいいと読める内容で、事実上、原発回帰に何の支障もない表現でしたが、福島原発事故の反省を踏まえ、福島県民・被害者への配慮のため残っていたこの最後のワンフレーズさえ原発推進派にとっては「邪魔」だということです。能登半島地震の惨事を見ても原発を動かす原発推進派の思い上がりは3.11前以上に酷くなっており、このままでは次の原発事故は2020年代のうちに再び起こると断言します。福島を経験した私には、「次の事故後の光景」までがすでにはっきりと見えています。

 原発裁判も、賠償、差し止めともに全敗でした。司法の腐敗ぶりに対する怒りは、10月に行われた最高裁裁判官国民審査ではっきりと示されました。いわき市民訴訟で住民の被害の訴えを切り捨てた裁判官、東京電力の代理人を務めていた裁判官の「罷免賛成」率が10%を超えたからです。罷免率が10%を超えるのは20年ぶりのことです。この司法への怒りを来年の6.17最高裁共同行動につなげたいと考えています。

 政府・原子力ムラは「AI(人工知能)の拡大で巨大なデータセンターが必要になり、電力需要は急増する」として原発再稼働を煽っています。ICT技術の発展によって省エネが進んできたこれまでの歴史を無視する妄想です。仮にそうだとしても、その電力需要を賄うのがなぜ原発でなければならないのでしょうか。

 米国では、原発1基の新設にすでに2兆円がかかるようになっています。しかも着工から稼働までには20年かかります。1年先も見通せない不安定な世界経済情勢の中で、20年後に稼働できるかもわからない原発のために2兆円もの巨費を投じる民間企業はありません。これからの原発は最初から政府による巨額の資金援助を前提としており、そこには私たちの税金や電気代が使われるのです。事故の危険性もさることながら、強引な原発推進政策は、将来、確実に日本の国家財政を破たんさせ、経済も生活も破壊するでしょう。

 北海道では、この11月、NUMO(原子力発電環境整備機構)が行ってきた寿都町・神恵内村での「核ごみ」最終処分場選定に向けた文献調査報告書が公表されました。北海道はこれからも農業・食料生産と観光で生きなければなりません。そのために核のごみも泊原発の再稼働も受け入れる気はありません。

 日本原電の敦賀原発2号機が規制委による審査で不合格となったことや、日本被団協のノーベル平和賞受賞など、嬉しいニュースもあった2024年でした。長く運動を続けていると良いときも悪いときもありますが、全原発廃炉をめざして2025年も頑張りましょう。


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運輸安全委員会が羽田空港衝突事故に関する事故調査「経過報告」「説明資料」を公表

2024-12-28 22:22:40 | 鉄道・公共交通/安全問題

すでに報道されているとおり、今年1月2日に起きた羽田空港でのJAL機と海上保安庁機の衝突事故に関し、運輸安全委員会は12月25日に、事故調査の中間報告に当たる「経過報告」及びその「説明資料」を公表した。

令和6年1月2日発生 海上保安庁所属ボンバルディア式DHC-8-315型JA722A及び日本航空株式会社所属エアバス式A350-941型JA13XJの航空事故調査について(経過報告)(運輸安全委員会)

航空事故調査経過報告説明資料(運輸安全委員会)

公共交通機関の重大事故の場合、運輸安全委員会による調査には長い期間を要する。そのような場合に、事故調査のいわば「中間報告」的な位置づけとして「経過報告」が公表されることがある。2005年4月25日に発生したJR福知山線脱線事故でも、約4か月半後の2005年9月6日付で「西日本旅客鉄道株式会社福知山線列車脱線事故に係る鉄道事故調査について(経過報告)」が公表されている。

JR福知山線脱線事故では、正式な事故調査報告書は2007年6月28日に公表された。報告書が全文275ページだったのに対し、経過報告は32ページだった。単独会社の単独事故という点も大きいかもしれない。

これに対し、今回の事故では「経過報告」だけで166ページに及んでいる。複数の会社、複数の機体が絡む事故だけに多くの要因分析が必要なことも理由だろう。最終的な事故調査報告書は、300~400ページくらいになる可能性が高い。

現在、私は経過報告説明資料のみ目を通したところだが、JAL機、海保機、管制塔の3者それぞれに重大な過失があったことが浮き彫りになっている。最終的には「複合事故」(様々な原因が少しずつ積み重なって起きた事故)として報告書が取りまとめられることになるのではないだろうか。分析、改善勧告を行うべき事項も多岐にわたるであろうことが、早くも読み取れる内容になっている。

運輸安全委員会に望むことがある。JAL機、海保機、管制塔それぞれに落ち度があり、それを指摘することに異論はないが、原因を「それだけ」に留めないでほしいということである。世界一過密といわれる羽田の混雑や、当研究会が指摘した航空管制官の不足問題など、事故の背景にある国交省の航空行政の問題点にも果敢に切り込んでほしいと思う。


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2024年 鉄道全線完乗達成状況まとめ

2024-12-26 23:32:24 | 鉄道・公共交通/趣味の話題

2024年はまだ1週間残っているものの、この先、年内に遠征等の予定もなく、鉄道新規乗車もないので、少し早いが、ここで2024年の鉄道全線完乗達成状況をまとめる。

【4月】阪急京都本線、嵐山線、京福電鉄嵐山本線、北野線、京阪本線

【8月】北大阪急行 千里中央~箕面萱野〔奪還〕、神戸新交通 住吉~マリンパーク

【10月】西武新宿線

内訳は以下の通り。

【大手私鉄】3社4線(阪急京都本線、嵐山線、京阪本線、西武新宿線)

【中小私鉄】3社4線(上記以外)

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※参考までに、鉄道ファンには説明するまでもないが、「大手私鉄」とは以下の16社である。

 関東(9社)・・・東武、西武、京成、京王、東急、小田急、京急、東京メトロ、相鉄

 関西(5社)・・・近鉄、南海、京阪、阪急、阪神

 中部(1社)・・・名鉄

 九州(1社)・・・西鉄

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当ブログの全線完乗記録では、全国の鉄道会社を「JR」「公営」「第三セクター」「大手私鉄」「中小私鉄」の5つに区分している。準大手は中小私鉄扱いとする。また、第三セクターは「旧国鉄特定地方交通線転換第三セクター」「整備新幹線開業時の並行在来線分離第三セクター」「国鉄再建法施行に伴う計画・建設凍結線のうち、第三セクターが開業させた路線(凍結解除線)」のみをこの区分とするのがルールである。ただし、当ブログ管理人はすでにこれら第三セクターの完乗を終えているため、将来、延長開業区間が発生して「奪還」に該当しない限り、第三セクターがこの欄に登場することはない。

この他、営業路線ではない区間を走行するもの(保存鉄道など)、通常は旅客列車が走行しない区間(貨物線など)を走行するイベント列車、鉄道事業法が適用されるが鉄道・軌道でないもの(ロープウェイ・ケーブルカーなど)の乗車を記録する場合は参考記録とし、正式記録には含めない。

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今年の完乗達成路線を現有路線・廃止予定線・新規開業線の別で見ると、全路線が現有路線またはその延長開業区間だった。北大阪急行は「奪還」(一度全線完乗を達成済みの路線で延長開業区間が発生した場合に、その延長区間の全部に乗車し再び全線完乗とすること)に該当するため、当ブログの長年のルールにより新規開業線には含めない。

結果として、今年は6社8線だった。2024年の新年目標(5路線)を4月に早々と達成し、もっと行けそうな気がして目標を10路線に上方修正したが、それには届かなかった。

当ブログでは、新年に立てた当初目標をクリアしていれば、その後に上方修正した目標には届かなくても達成とするルールなので、一応、2024年は目標を達成したことになる。7社13線(参考記録を含めると8社14線)と荒稼ぎをしまくった2023年には遠く及ばないものの、まずまずの結果といえる。目標達成も昨年から2年連続だ。

ただ、コロナ禍などの影響で新年目標を発表しなかった2020~2022年も全線乗車活動自体は続けており、特に2022年はJR2社、私鉄7社の計9社15線と、目標を立てなかったにもかかわらず今年より多く乗車している。

なお、8月26日付記事の中で「今年は超スローペースとなっており、未乗車路線の完全乗車は今回の2路線が初めて」「今年の新年目標は5路線だが、年内にあと3路線乗車できるかは微妙な状況」と書いているが、これは誤りだ。実際には4月28日付記事の通り、4月に3社5路線に乗車して新年目標を早々と達成していたのに、8月の時点でこのことを忘れていた。この点は読者のみなさんにお詫びしたい。

来年も、おそらく新年目標は何らかの形で発表することになると思う。ただ、来年--2025年は、JR福知山線脱線事故(2005年)から20年、日航123便墜落事故(1985年)から40年の節目の年になる。安全問題研究会の活動がかなり忙しくなる見込みなので、新年目標は控えめな内容にする可能性がある。


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2025年、日本人は覚悟せよ!どん底からの復活を賭けた年になる

2024-12-25 23:08:47 | その他(国内)

(この記事は、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2025年1月号に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 年末年始にかけて読者諸氏のお手元に届く新年号を、私はとりわけ重視している。みんなが今年1年をどんな年にしようかと考え、あるいはどんな年になるだろうかと前途を想像する。年末年始以外の時期は日々の雑事に紛れがちで、この手のことを考える余裕はほとんどないからだ。

 正直に告白すると、来年、2025年がどんな年になるか予測したいという気にはとてもなれない。今年より良くなる要素がほぼなく、悪くなるという予測しかできないからだ。

 とはいえ、2020年代がどんな10年間になるかを占ったのがつい最近のことのように思っていたのに、もう2020年代も中盤に入る。このあたりで、2020年代初頭に当たって私が占ったことがどれほど的中しているか「中間点検」するとともに、外れた予測は撤回または必要な修正を加えた上で、今後に備えたいと思っている。

 ●外れた予測と「半分だけ外れた予測」

 「国際社会において世界の覇権はアメリカから中国へ移る」(「時代の転換点に起きた新型コロナウィルス大流行~「ポスト・コロナ」後の世界を読む」本誌2020年4月号拙稿)の予測は残念ながら外れた。新型コロナの封じ込めに一定程度成功した中国の経済が、これほど大きく減速するとは予測していなかった。

 日本の高度成長は1950年の朝鮮戦争を契機に始まり、1973年の石油危機まで23年間続いたが、中国の経済成長は1992年から始まり、コロナ直前の2020年まで28年続いた。年率10%近い経済成長率をこれほど長く維持できたのは世界史的にも異例の事態だ。日本の先例に倣うなら、年率10%近い経済成長率が20年を過ぎたどこかの段階で減速の予測をすべきだった。そんな簡単な予測すらできなかったことはひとえに私の認識不足である。

 「日本国内では、東京五輪が開催できず韓国、台湾との差が決定的になる」との予測に関しては半分だけ外れた。新型コロナで無観客になったとはいえ東京五輪は開催されたからである。

 だが、新型コロナ対応の圧倒的な差を見せつけられた結果『東アジアで韓国・台湾が先進国、日本は「衰退途上国」との評価が確定する時期を2020年代末期と予測していたが、日本のこの体たらくを見ていると、その時期は大幅に早まることになろう』(前記記事)とした予測については、見直す必要はないと考えている。日本では弱者へのあらゆるハラスメントが横行し、今では自国を先進国だと思う日本人はほぼいなくなった。韓国で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」発令によるクーデターを未遂に終わらせ、逆に大統領を弾劾に追い込んだ韓国の市民民主主義の底力を見ると、その差を思い知らされる。

 ●的中した予測

 一方で、私が立てた予測の多くが的中していることに驚かされる。「コロナ禍を経験した世界経済は緩やかに「大きな政府」へ向かう」「構造転換に失敗した日本経済はますます観光依存を強める」(前記記事)との予測について、これ以上の説明は不要だろう。

 『「私の人生をめちゃくちゃにしたあの人に、どんな手を使っても復讐してほしいんです」「わかりました。そのご依頼、お引き受けしましょう」――テレビドラマや映画、小説ではおなじみのワンシーンであるが、国家が罰すべき者をきちんと罰していない、法と正義が実行されていないと多くの市民が感じれば、2020年代の遠くない時期、これがフィクションではなく現実となるおそれがある』(「2020年代の大胆(?)予測~向こう10年の世界はこうなる」本誌2020年2月号拙稿)との予測は、統一教会に「人生をめちゃくちゃにされた」中年男性による安倍晋三元首相殺害事件という最悪の形で現実となった。

 『IT技術の面では、ネットの「フェイク」化が進行する。SNSによる社会分断が加速。SNSでの不毛な「闘争」や情報の真偽の見極めに疲れ、ネットから「降りる」動きは2020年代を通じて加速する。「ネット上の情報を自由に操作して支持を集めることができるごく一部の強者」と、ネットに展望がないと見て、みずからの意思で能動的に「降りる」決意をした人――この両極端の行動を取れる人が2020年代の勝者となる』(前記記事)。私自身、5年前にこの予測を立てる際には迷いもあった。だが、米大統領選でのトランプ氏や、兵庫県知事選で、議会から不信任決議を受け失職したはずの斉藤元彦氏の「まさかの復活」当選に至る経緯を見ていると、この予測は身震いするほど正確だった。

 「逃げるは恥だが役に立つ?~離脱、脱出が2020年代のキーワードかもしれない」(本誌2020年3月号拙稿)で予測したこともほとんどが事実となっている。この記事を執筆した時点では盤石だと思われていたジャニーズ事務所が解体し、拘束性が非常に強い事務所から、ほとんどの所属タレントが「脱」を実現することになるとは夢にも思っていなかった。

 旧来型組織・団体にとって、構成員からの忠誠心を調達することが困難になっており、これに取って代わるべき新しい組織モデル(とりわけ若い世代を長期継続的に惹きつけておけるような新組織モデル)も登場していない。旧来型組織からの構成員の「脱」の動きは、2020年代後半も止まることはないであろう。

 ●2025年、日本は覚悟の年になる

 フランスの歴史家エマニュエル・トッド氏は「第三次世界大戦はすでに始まっている」と評したが、私は当初、日本に核武装を勧めるような「三流歴史家」の寝言だと考え相手にしていなかった。しかし、世界地図をひもといてみると、ウクライナとガザ、2地域での戦争が、南北から挟み込むように中間地域に拡大していることがわかる。トッド氏の予測通りに進んでいるように見える。

 世界大戦の時代の特徴は、ひとつひとつは局地的紛争に過ぎないように見えても、それらが相互に作用し合い、連動してドミノのように既存の社会秩序を破壊していく点にある。その中から、紛争、戦乱の「目的意識的拡大」を狙う勢力が登場する。その野望が成功すれば局地的紛争は世界大戦となる。第2次世界大戦当時、その役割を担ったのはナチスドイツだった。そのナチスドイツによって徹底的なホロコーストを受けたユダヤ人の国家・イスラエルが現在、当時のナチスドイツと同じ役割――局地的紛争の目的意識的拡大――を意図しているように見える。なんという歴史の皮肉だろうか。

 軍事力の質と量の両面で中東諸国を圧倒し、米国の強固な庇護を受けているイスラエルを止められる意思と能力の両方を備える国家は現在、世界地図の上に存在しない。2025年は世界がその存亡を賭けた正念場となるだろう。2025年に起きるいくつかの出来事が、向こう半世紀すなわち21世紀後半の世界の潮流を決めることになるかもしれないとの予感が私にはある(21世紀後半まで世界人類が滅亡せず生き延びられればの話だが)。

 国力衰退過程にあり、国内問題に忙殺されている日本が、国際社会で何かの役割を果たせるようには見えない。それどころか2025年こそが日本にとって「どん底」の年となる可能性がある。

 2021年に死去した歴史家の半藤一利氏は「昭和史」の中で日本は40年周期で繁栄と衰退を繰り返すと述べた。「昭和史」を2011年に読破したブロガーの「ちきりん」さんは、半藤氏の説を基にこんな図(2011年現在)を作っている。

 

 半藤氏は、米占領統治時代(1945~1952年)を期間計算から除き、2032年をどん底だとしており、いつがどん底かについては諸説ある。占領時代を含めるなら、1945年からちょうど80年となる2025年は、1945年に匹敵するどん底の年だということになる。このことは「衰退・凋落加速する日本 反転攻勢の目はあるか?」(本誌2024年7月号記事)でも取り上げているが、人心荒廃が著しい日本に復活の目はあるだろうか。

 なんだか新年早々、おめでたくない予測ばかりになってしまったが、これが偽らざる日本の現状だと思う。

(2024年12月22日)


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【転載記事・動画】ノーベル平和賞授賞式における被団協・田中熙巳さん演説全文「核と人類、共存させてはならない」 

2024-12-12 21:08:33 | 原発問題/一般

ノルウェーの首都オスロで12月10日、ノーベル平和賞授賞式が行われました。参加した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)・田中熙巳(てるみ)代表委員(92)の演説全文をご紹介します。(引用元記事:「核と人類、共存させてはならない」 被団協・田中熙巳さん演説全文(2024年12月10日付け「毎日」)

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 国王・王妃両陛下、皇太子・皇太子妃両殿下、ノルウェー・ノーベル委員会のみなさん、ご列席のみなさん、核兵器廃絶をめざしてたたかう世界の友人のみなさん、ただいまご紹介いただきました日本被団協の代表委員の一人の田中熙巳でございます。本日は受賞者「日本被団協」を代表してごあいさつをする機会を頂きありがとうございました。

 私たちは1956年8月に「原水爆被害者団体協議会」(日本被団協)を結成しました。生きながらえた原爆被害者は歴史上未曽有の非人道的な被害をふたたび繰り返すことのないようにと、二つの基本要求を掲げて運動を展開してきました。一つは、日本政府の「戦争の被害は国民が受忍しなければならない」との主張に抗(あらが)い、原爆被害は戦争を開始し遂行した国によって償われなければならないという運動。二つは、核兵器は極めて非人道的な殺りく兵器であり人類とは共存させてはならない、すみやかに廃絶しなければならない、という運動です。

 この運動は「核タブー」の形成に大きな役割を果たしたことは間違いないでしょう。しかし、今日、依然として1万2000発の核弾頭が地球上に存在し、4000発近くの核弾頭が即座に発射可能な配備がされています。そのなかで、ウクライナ戦争における核超大国のロシアによる核の威嚇、また、パレスチナ自治区ガザ地区に対しイスラエルが執拗(しつよう)な攻撃を加える中で核兵器の使用を口にする閣僚が現れるなど、市民の犠牲に加えて「核のタブー」が壊されようとしていることに限りない口惜(くや)しさと憤りを覚えます。

 私は長崎原爆の被爆者の一人です。13歳の時に爆心地から東に3キロ余り離れた自宅で被爆しました。

 1945年8月9日、爆撃機1機の爆音が突然聞こえるとまもなく、真っ白な光で体が包まれました。その光に驚愕(きょうがく)し2階から階下にかけおりました。目と耳をふさいで伏せた直後に強烈な衝撃波が通り抜けて行きました。その後の記憶はなく、気がついた時には大きなガラス戸が私の体の上に覆いかぶさっていました。しかしガラスが一枚も割れていなかったのは奇跡というほかありません。そのお陰でほぼ無傷で助かりました。

 長崎原爆の惨状をつぶさに見たのは3日後、爆心地帯に住んでいた二人の伯母の安否を尋ねて訪れた時です。私と母は小高い山を迂回(うかい)し、峠にたどり着き、眼下を見下ろして愕然(がくぜん)としました。3キロ余り先の港まで、黒く焼き尽くされた廃墟(はいきょ)が広がっていました。煉瓦(れんが)造りで東洋一を誇った大きな教会・浦上天主堂は崩れ落ち、みるかげもありませんでした。

 麓(ふもと)に下りていく道筋の家はすべて焼け落ち、その周りに遺体が放置され、あるいは大けがや大やけどを負いながら生きている人々が、誰からの救援もなく放置されておりました。私はほとんど無感動となり、人間らしい心も閉ざし、ただひたすら目的地に向かうだけでした。

 一人の伯母は爆心地から400メートルの自宅の焼け跡に大学生の孫とともに黒焦げの死体で転がっていました。

 もう一人の伯母の家は倒壊し、木材の山になっていました。祖父は全身大やけどで瀕死(ひんし)の状態でしゃがみこんでいました。伯母は大やけどで私たちの到着する直前に亡くなり、私たちの手で野原で荼毘(だび)にふしました。ほとんど無傷だった伯父は救援を求めてその場を離れていましたが、救援先で倒れ、高熱で1週間ほど苦しみ亡くなったそうです。一発の原子爆弾は私の身内5人を無残な姿に変え一挙に命を奪いました。

 その時目にした人々の死にざまは、人間の死とはとても言えないありさまでした。誰からの手当ても受けることなく苦しんでいる人々が何十人何百人といました。たとえ戦争といえどもこんな殺し方、傷つけ方をしてはいけないと、強く感じました。

 長崎原爆は上空600メートルで爆発。放出したエネルギーの50%は衝撃波として家屋を押しつぶし、35%は熱線として屋外の人々に大やけどを負わせ、倒壊した家屋のいたるところに火をつけました。多くの人々が家屋に押しつぶされたまま焼き殺されていきました。残りの15%は中性子線やγ線などの放射線として人体を貫き内部から破壊し、死に至らせ、また原爆症の原因を作りました。

 その年の末までの広島、長崎両市の死亡者の数は、広島14万人前後、長崎7万人前後とされています。原爆を被爆しけがを負い、放射線に被ばくし生存していた人々は40万人あまりといえます。

 生き残った被爆者たちは被爆後7年間、占領軍に沈黙を強いられました。さらに日本政府からも見放されました。被爆後の十年間余を孤独と、病苦と生活苦、偏見と差別に耐え続けざるをえませんでした。

 1954年3月1日のビキニ環礁でのアメリカの水爆実験によって、日本の漁船が「死の灰」に被ばくする大きな事件になりました。中でも第五福竜丸の乗組員23人全員が被ばくして急性放射能症を発症し、捕獲したマグロは廃棄されました。この事件が契機となって、原水爆実験禁止、原水爆反対運動が始まり、燎原(りょうげん)の火のように日本中に広がったのです。3000万を超える署名に結実し、1955年8月「原水爆禁止世界大会」が広島で開かれ、翌年第2回大会が長崎で開かれました。この運動に励まされ、大会に参加した原爆被害者によって1956年8月10日「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」が結成されました。

 結成宣言で「自らを救うとともに、私たちの体験を通して人類の危機を救おう」との決意を表明し、「核兵器の廃絶と原爆被害に対する国の補償」を求めて運動に立ち上がったのです。

 運動の結果、1957年に「原子爆弾被爆者の医療に関する法律」が制定されます。しかし、その内容は、「被爆者健康手帳」を交付し、無料で健康診断を実施するという簡単なものでありました。さらにもう一つ、厚生大臣が原爆症と認定した疾病にかかった場合にのみ、その医療費を支給するというものでした。

 1968年になり「原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律」が制定されました。これは、数種類の手当を給付するということで経済的な援助を行いました。しかしそれは社会保障制度であって、国家補償はかたくなに拒まれたのであります。

 1985年、日本被団協は「原爆被害者調査」を実施しました。この調査で、原爆被害はいのち、からだ、こころ、くらしにわたる全ての被害を加えるというものでありました。命を奪われ、身体にも心にも傷を負い、病気があることや偏見から働くこともままならない実態が明らかになりました。この調査結果は、原爆被害者の基本要求を強く裏付けるものとなり、自分たちが体験した悲惨な苦しみを二度と、世界中の誰にも味わわせてはならないとの思いを強くしました。

 1994年12月、この二つの法律を合体した「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」が制定されました。しかし何十万という死者に対する補償は全くなく、日本政府は一貫して国家補償を拒み、放射線被害に限定した対策のみを今日まで続けてきています。もう一度繰り返します。原爆で亡くなった死者に対する償いは、日本政府は全くしていないという事実をお知りいただきたいというふうに思います。

 これらの法律は、長い間、国籍に関わらず海外在住の原爆被害者に対し、適応されていませんでした。日本で被爆して母国に帰った韓国の被爆者や、戦後アメリカ、ブラジル、メキシコ、カナダその他に移住した多くの被爆者は、被爆者特有の病気を抱えながら原爆被害への無理解に苦しみました。それぞれの国で結成された原爆被害者の会と私たちは連帯し、ある時は裁判で、あるときは共同行動などを通して訴え、国内とほぼ同様の援護が行われるようになりました。

 私たちは、核兵器のすみやかな廃絶を求めて、自国政府や核兵器保有国ほか諸国に要請運動を強めてきました。

 1977年、国連NGOの主催で「被爆の実相と被爆者の実情」に関する国際シンポジウムが日本で開催され、原爆が人間に与える被害の実相を明らかにしました。このころ、ヨーロッパで核戦争の危機が高まり、各国で数十万人の大集会が開かれました。これらの集会での証言に日本被団協に対する依頼などもつづきました。

 1978年と1982年にニューヨーク国連本部で開かれた国連軍縮特別総会には、日本被団協の代表がそれぞれ40人近く参加し、総会議場での演説のほか、証言活動を展開しました。

 核兵器不拡散条約の再検討会議とその準備委員会で、日本被団協代表は発言機会を確保し、あわせて再検討会議の期間中に、国連本部総会議場ロビーで原爆展を開き、大きな成果を上げました。

 2012年、NPT(核拡散防止条約)再検討会議準備委員会でノルウェー政府が「核兵器の人道的影響に関する会議」の開催を提案し、2013年から3回にわたる会議で原爆被害者の証言が重く受け止められ「核兵器禁止条約交渉会議」に発展しました。

 2016年4月、日本被団協が提案し世界の原爆被害者が呼びかけた「核兵器の禁止・廃絶を求める国際署名」は大きく広がり、1370万を超える署名を国連に提出しました。その結果でもありますが、2017年7月7日に122カ国の賛同をえて「核兵器禁止条約」が制定されたのであります。これは私たちにとって大変な大きな喜びでした。

 さて、核兵器の保有と使用を前提とする核抑止論ではなく、核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願いです。

 想像してみてください。直ちに発射できる核弾頭が4000発もあるということを。広島や長崎で起こったことの数百倍、数千倍の被害が直ちに現出することがあるということです。みなさんがいつ被害者になってもおかしくないし、加害者になるかもしれないという状況があります。ですから、核兵器をなくしていくためにどうしたらいいか、世界中のみなさんで共に話し合い、求めていただきたいと思うのです。

 原爆被害者の現在の平均年齢は85歳。10年先には直接の体験者としての証言ができるのは数人になるかもしれません。これからは、私たちがやってきた運動を、次の世代のみなさんが、工夫して築いていくことを期待しています。

 一つ大きな参考になるものがあります。それは、日本被団協と密接に協力して被団協運動の記録や被爆者の証言、各地の被団協の活動記録などの保存に努めてきた「NPO法人・ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」の存在です。この会は結成されてから15年近く、粘り強く活動を進めて、被爆者たちの草の根の運動、証言や各地の被爆者団体の運動の記録などをアーカイブスとして保存、管理してきました。これらを外に向かって活用する運動に大きく踏み出されることを期待します。私はこの会が行動を含んだ、実相の普及に全力を傾注する組織になってもらえるのではないかと期待しています。国内にとどまらず国際的な活動を大きく展開してくださることを強く願っています。

 世界中のみなさん、「核兵器禁止条約」のさらなる普遍化と核兵器廃絶の国際条約の締結を目指し、核兵器の非人道性を感性で受け止めることのできるような原爆体験の証言の場を各国で開いてください。とりわけ核兵器国とそれらの同盟国の市民の中にしっかりと核兵器は人類と共存できない、共存させてはならないという信念が根付くこと、自国の政府の核政策を変えさせる力になることを私たちは願っています。

 人類が核兵器で自滅することのないように!!

 そして核兵器も戦争もない世界の人間社会を求めて共に頑張りましょう!!

 ありがとうございました。

ⓒノーベル財団、ストックホルム、2024年

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この田中さんの演説のノーカット版動画もアップロードされています。(テレビ東京公式Youtubeチャンネル)

「核兵器は一発たりとも持ってはいけない 被爆者の心からの願い」ノーベル平和賞「日本被団協」【ノーカット】


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【管理人よりお知らせ】国際情勢の激動に伴い、カテゴリ再編を実施しました

2024-12-08 23:30:54 | 運営方針・お知らせ

管理人よりお知らせです。

韓国で、「非常戒厳」発令による軍事独裁体制への復帰を狙った大統領の「軍事クーデター」が失敗させられたのに続き、今度はシリアで父親から2代にわたって強権を振るってきたアサド大統領による独裁体制が崩壊しました。

シリア情勢に関しては稿を改めますが、今、世界で紛争の起きている地域に炎マークを付けてみると、以下のようになります。ウクライナとパレスチナ・ガザという、地図の最北と最南で始まった2つの戦争が、両者の間の地域を挟み込むように、逆「く」の字型に拡大しているのがわかります。ジョージア(旧ソ連・グルジア共和国)でも、EUから距離を置き、ロシアに最接近しようとする首相が親EU派のデモを弾圧する事態が進行しています(参考記事:「ジョージア野党指導者を警察が連行 首相は親EU派の抗議を「暴力」と非難」BBC)。

「世界はすでに第三次世界大戦に入っている」というエマニュエル・トッド氏の発言を「毀誉褒貶の激しい歴史家の戯言」だと思っていましたが、事態はトッド氏の「予言」通りになってきたのではないかと思います。来年-2025年は、世界人類が滅亡を防ぎ、生き残れるかの岐路になると思います。来年起きる出来事が、この先半世紀(21世紀後半)の行く末を決めることになるのではないか――そんな予感がしてきました。

この世界情勢の激動を受け、カテゴリ再編を実施することにしました。具体的には、記事数が300を超え、収拾がつかなくなっていた「その他社会・時事」カテゴリを分割し、「その他(国内)」「その他(海外・日本と世界の関係)」に分けます。

本当は、この分割はもっと早く手を付けたかったのですが、「イスラエルによるパレスチナ人虐殺に抗議して東京で行われた集会・デモ」「日本国内の政治改革につなげるため、海外で行われた選挙結果をどう評価すべきか」のような記事を国内・海外のどちらとするか、後々の記事検索の利便性まで考えると決断できずに今日まで来ました。しかし事態は一刻の猶予も許されなくなっています。

今日1日、考えた末、国内・海外の区別については、分割後の両カテゴリの記事数なども勘案し、以下の通りとします。

<「その他(海外・日本と世界の関係)」カテゴリ>

・日本と世界の関係について論じた記事

・国内で行われた集会・デモであっても、その原因となった出来事が海外である場合

<「その他(国内)」カテゴリ>

・外国人をめぐる諸問題のうち、日本政府や日本人の人権意識が原因で発生しているもの(例:入管における外国人収容者問題、外国人差別、ヘイトスピーチ、日本国内の人権問題に関する国際機関からの勧告など)

結果として、「イスラエルによるパレスチナ人虐殺に抗議して東京で行われた集会・デモ」の記事は「その他(海外・日本と世界の関係)」カテゴリで、日本国内での外国人に対するヘイトスピーチ問題は「その他(国内)」カテゴリで扱うことになります。要するに、「その問題の根本がどこで発生しているか」を基本とする「発生地主義」の考え方で対応したいと思います。

   ◇   ◇   ◇

当ブログの名称を、諸事情により「安全問題研究会」から現在、旧「人生チャレンジ20000km」に戻しています。この措置は一時的なものであり、年明け以降、「安全問題研究会」に再変更する予定でしたが、取りやめます。今後しばらくは国際情勢に力を入れる必要があるとの判断からです。

また、今回のカテゴリ分割によって、本来であればカテゴリ数は1つ増え、14となる予定でしたが、最後の更新から10年以上経過し、最近は活用もされていない「福島原発事故に伴う放射能測定値」カテゴリを非表示扱いとしました。このため、表示されているカテゴリ数は13のまま変わっていません。

「福島原発事故に伴う放射能測定値」カテゴリの記事データ自体は残していますが、今後は「再び原発事故が起きる」などよほどの情勢変化がない限り再公開は考えていません。とはいえ、放射能測定値データを見たいという向きもあるかもしれないので、安全問題研究会ホームページ「原発問題資料集」にデータを掲載しました。むしろ、このような掲載方法とすることで、より見やすくなったのではないかと思います。

今後とも当ブログをよろしくお願いいたします。


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【転載記事/韓国情勢】尹錫悦大統領の戒厳令その後

2024-12-06 22:10:20 | その他(海外・日本と世界の関係)

韓国情勢をめぐって、信じられない情報が入ってきました。この情報が事実であれば、事態は尹錫悦大統領主導の軍事クーデターです。李泳采・恵泉女学院大学(日韓・日朝関係論)による解説です。なお、引用に当たり、読みにくいため適宜、改行を入れました。

NPA-TV緊急速報【韓国情勢】尹錫悦大統領の戒厳令その後

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尹大統領による「内乱」「親衛クーデター」は3日目(6日)になって少しずつ全貌が明らかになってきています。

特殊軍隊を国会に280名、選挙管理委員会に270名などを派遣し、李在明民主党代表、韓東勲与党代表、ウウォンシキ国会議長など80名の政治家や社会著名人の逮捕者名簿、彼らの収用刑務所まで決まっていたことが明らかになりました。国会に派遣されていた、707特殊部隊は、北朝鮮首脳部を斬首することを特別目的とする韓国軍隊最高精鋭部隊でした。

戒厳司令官も知らない布告文1号は、政治家、市民運動、メディア、労働運動などすべてを、親共、反乱勢力と断定し、逮捕、「処断」すると書いてありました。何より、自分の国民を「処断」の対象として見ている、一国の大統領が考え得るものとは到底信じられない内容でした。

言論社の『JTBC』『MBC』、150万のサポーター持つYOUTUBE『ニュース工場』、その市民世論調査機関「花」、そしてその代表である金オジュンなどメディアへの逮捕組が事務所にまで駆け付けました。緻密に作られていたこの親衛クーデターの企画は、思った以上に早く、またより多くの市民が国会に集まったこと、議員たちがたまたまソウル市内の近くでイベントがあり早期に集まれたこと、などにより「奇跡的」にクーデターを短時間のうちに失敗に追い込むことができました。

しかし、首謀者尹大統領をふくめて、軍、警察、検察、政府の内乱首謀者たちがそのまま席に留まりながら、証拠隠滅と、明日の弾劾投票の前に今晩「第2のクーデター」を企画しているという噂まで広がっています。クーデターは終わったのでなく、始まりにすぎなかったことがこの二日間で明らかになりました。

国会が戒厳軍に占領されていたら、ただちに政治犯らの逮捕、そして流血騒ぎになることは予想されていました。負傷者たちを運んで隠ぺいするための軍の病院施設も用意されていました。

クーデター失敗の4日、6野党は国会で「尹大統領退陣」を求める集会を開き、翌日の5日夜、「尹大統領弾劾案」を上程しました。7日の夜7時にその議決投票が行われます。その投票を阻止すべく、もう一回総力戦で戒厳令を実施するという大統領側の内部告発などの情報が、今民主党に伝わっています。今晩(6日の夜)韓国は国会を守ること、明日(7日、土)は、全国民がキャンドルデモで「弾劾投票」の死守、「尹大統領の緊急逮捕」を求めて全国から集まることとなっています。

アメリカの国務省はすぐに声明を出し、尹大統領に「戒厳令」解除への圧力をかけました。無謀で間違っているという指摘でした。ヨーロッパでも、台湾でも連帯する議員などの声明発表がありました。日本政府はそれほど親しい尹大統領であれば、もっと何かを言える立場だと思いますが、沈黙を維持しているのは「クーデター」を支持している、という意味でしょうか。日本の国会議員が尹大統領へ圧力をかける声明を出すことを期待するのは無理なのでしょうか。

3日間、一睡もせず、ニュースを検索し、海外学者の署名を呼び掛けて、情報分析をしていました。私だけでなく、国内外の多くの人々が、眠れない毎日を祈りながら過ごしています。40年間闘い、今日に至るまで多くの若者や民衆が犠牲になってきた韓国。80年5月光州虐殺、87年6月民主化大抗争を経て、創り上げてきた民主主義の遺産、21世紀経済第10位の大国、文化強国、IT先進国のこの国で、ここまで築いてきた国のあり方や民主主主義を、一握りにもならない権力を持った一人が、またもや40年前のように軍隊を出して権力を維持しようとしていること、この国のすべてを壊そうとしているこの姿は信じられません。悲しい現実を悲しいと感じる暇もなく、次々と明らかになってくるクーデターの全貌に唖然としているだけです。

昨夜ソウル大学で、70年戒厳令の時代のように、何十年ぶりかで1万名の学生集会がありました。全国で1カ月間1万名以上の教授や研修者たちが尹大統領退陣の声明を出しました。海外での学者や同胞たちの連帯運動も広がっています。国民がこの寒さでもキャンドルを持ち上げて「大統領弾劾可決」を訴える全国規模の集会が予定されています。

しかし、残念ながらいま、その可決の見込みはまだ不透明な状況です。危機感に包まれている与党議員たちは、自分たちの国会が武装軍人に踏みつぶされて逮捕される直前であったのにも関わらず、いまだに尹大統領を守ろうとしています。それは権力交代が起こると、自分たちの議員権力も危うくなるという恐れ、自身の保身を図りたいという気持ちの表れでしょう。クーデターの共犯勢力です。

弾劾案は、議員の2/3賛成で200票が必要ですが、野党だけでは8票が足りません。韓国社会の力だけでは、今のこの事態を止めるのは無理なようにも見えます。正気を失った子どもが銃を持って何をするかわからない「尹大統領」の現状は「殺人武器」でしかありません。

韓国の今回のクーデターは、法制度のなかで、緊急条項という権力者の特殊権限を利用して、議会と言論を止めるクーデターです。アメリカのトランプ政権でも、日本など世界のどの民主主義国家でも活用できる新しいタイプのクーデターです。このタイプを許してしまうと、どの国でもその悲劇が起き得ます。韓国でこれを認めるわけにはいかない、という責任感もあります。

> 韓国が「反日国へ回帰」
> 左翼による国会制圧に対する尹大統領の対応としての戒厳令
> 日本も緊急条項を検討すべき
> 韓野党の左翼政権になると親北となり、日米韓の安保に亀裂
> 日本の安全保障はまたも危険
  
といった日本のメディアの論調をみていると、絶望感が先になりますが、韓国市民社会へ連帯する日本市民の皆さんの声は、大きな力と日本政府への圧力にもなると思います。

メディア報道への抗議と、尹政権への批判は力にもなり、日本を“大好きな”韓国「国民の力」保議議員たちへの圧力にもなると思います。どの国でも独裁者や、民主主義を破壊し権力を維持しようとする人に対し、民主主義を標榜している日本国としては、反対を表明すべきだと思います。

政治政党は権力を獲得するための活動ですが、それは憲法や民主主義ルールの上で自由競争をすることを意味しています。そのルールを破壊しながら権力を維持していく人を、いくら日韓友好関係を作った親しい友人だと言っても認めることはできないでしょう。それは自分の民主主義への理解、品格を見せるものではないでしょうか。NPAの皆さんにも、連帯を呼びかけます。宣伝に協力してください。あすは、「歴史的な日」になると思います。

いつもいたその場にいることが出来ない自分が悔しいですが、今自分がいる立場でできることを頑張ります。思いのまま書きつづりましたが、いつもの「ヨン様」の心情で声をあげさせていただきました。引き続きよろしくお願いします。
 
新時代アジアピースアカデミー(NPA)
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【転載記事】「日韓和解と平和プラットフォーム」が会見、韓国市民への緊急連帯声明

2024-12-06 19:03:22 | その他(海外・日本と世界の関係)

引き続き緊迫が続く韓国情勢です。レイバーネット日本の記事を転載します。写真は省略していますので、見たい方はリンク先に飛んでください。

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「日韓和解と平和プラットフォーム」が会見、韓国市民への緊急連帯声明

 12月5日「日韓和解と平和プラットフォーム」の記者会見があり、「尹錫悦政権の「戒厳令」措置の暴挙に抗議する韓国市民への緊急連帯声明」が発表されました。(下に全文掲載)

 いきなりの尹錫悦政権の「戒厳令」発令に対し、多くの市民が国会に駆けつけて抗議し、国会議員により解除要求が決議されました。

 来年2025年は、日韓基本条約締結60年、日本の敗戦80年と韓国・朝鮮の解放80年です。11月14日~16日、日本で行われた準備会議に参加する予定だった日韓プラットフォーム韓国側代表が、韓国からの出国を拒否されました。戒厳令の前兆でもあったのかと話されていました。

 韓国の戒厳令、80年代はいきなり銃撃でした。民主労総慶南地域本部の本部長キム・ウニョンさんはメールでこのように伝えています。

 「韓国は今大変です。おそらくニュースなどで知っているでしょうが…。尹錫悦の非常戒厳令により、ものすごい状態です。正直、労組の幹部や活動家は皆逮捕されるんじゃないか、殺されるんじゃないか、とまで思いました。民主労総では一度事務所で対策を話し合い、市民向けの街宣車放送を準備し、夜通しビラを準備して2千部印刷、出勤途中の人たちに手渡し緊急記者会見、ストライキ、決意大会、民主党とも一緒になった全道民(県民)時局会議など…。」

 「大丈夫です」と伝えていましたが、本当に大変だったようです。12月7日(土)には100万人規模のデモが準備されているとのこと。

 参議院議員会館で行われた記者会見には、許すな!憲法改悪・市民連絡会の高田健さんやピースボートの野平晋作さん、総がかり行動の菱山南帆子さん、宗教者の方や日韓ネットの渡辺健樹さんなどが参加されていました。自由と民主主義のために果敢に戦う韓国の民衆に心から連帯したいと話していました。

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尹錫悦政権の「戒厳令」措置の暴挙に抗議する韓国市民への緊急連帯声明

わたしたちは日本と韓国、そして朝鮮をはじめ、東アジアの真の平和を求め、これまで日韓の市民連帯を続けてきました。

一昨日12月3日、午後10時半頃、韓国の尹錫悦大統領は緊急談話を発表しながら、政権に対する弾劾訴追をはじめとする政治家、官僚をはじめ韓国市民の抗議の声を封殺するために非常戒厳発を宣布する措置を断行しました。それに対し、韓国国会では直ちに190名全員が昨日午前1時頃、「非常戒厳令」解除要求を決議し、その結果、午前5時頃、尹錫悦政権は「非常戒厳令」の解除を発表しました。

この非常戒厳令措置に対し、大韓弁護士協会、韓国金属労働組合、韓国女性団体連合、や韓国カトリック主教会議議長、そして「ユン・ソクヨル違法戒厳令糾弾、内乱罪のユン・ソクヨル退陣 、国民主権実現のための全面的抵抗運動を宣言する全国民緊急行動」などの諸団体から抗議声明が発出され、市民運動の闘いは広がっています。

非常戒厳令宣布はおよそ6時間半後に解除されたとはいえ、尹錫悦政権はこの度の理不尽な非常戒厳令宣布措置によって憲法の保障する市民的権利を蹂躙した責任を追及する声は一層高まりつつあります。さらに国会における尹錫悦大統領に対する弾劾訴追に至るまでの事態をこれまで招いた政治責任追及の動きはこれまで以上に高揚することが予想されます。

わたしたちは今、日韓基本条約締結60年、そして日本の敗戦80年と韓国・朝鮮の解放80年となる来年2025年に向けて日本と韓国・朝鮮とが真の和解と平和の構築のために日韓市民のさらなる相互理解と連帯を深めようとしています。わたしたちは、この東アジアにおいて疑心暗鬼と敵意をあおり、いたずらに軍事拡大に暴走し、南北朝鮮と東アジアの緊張をかえって激化させる日韓両政府の軍事同盟化の道に断固反対します。

わたしたちは、憲法9条の精神を尊重し、対話による平和外交と市民の連帯こそが東アジアの平和構築の唯一最善の道と確信します。 その理念を共有する韓国市民が尹錫悦政権の失政と暴挙に対し抗議しながら退陣を要求する自由と民主主義の闘いに、私たちは熱い連帯の意志をここに表明します。

2024年12月5日
日韓和解と平和プラットフォーム日本運営委員会


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