NHK朝ドラの下期は大阪(BK)制作となり、今期は戸田恵梨香主演の「スカーレット」が始まって間もなく1ヶ月となる。
ここまでのところの第一印象としては、ここ10年のBKの名作と云われる「カーネーション」「あさが来た」などと肩を並べるデキの良さではないかと思っている。
私も朝ドラを真剣に観だしたのはこの10年ほどなのだが、申し訳ないが全体として西高東低の傾向を感じずにはいられない。
東京(AK)制作はキャストばかり豪華の割に、話をとっ散らけてしまいがちなのと何がなんでもヒロインを上京させるのだが上京後の人間関係にあまり共感を得にくい。
そのため「なつぞら」では十勝篇、「半分、青い。」では東美濃篇に比べ東京篇がつまらないと云われる。
ヒロインの故郷での人間関係が素敵であればあるほど、その傾向は顕著だ。
社会現象化した「あまちゃん」ですらも、北三陸篇に比べ東京篇は芸能界の闇をイヤというほど見せつけられ、正直しんどい時もあったのだが東日本大震災で里心がつき北三陸へ帰った事で救われた。
その意味で、「ひよっこ」は奥茨城県篇も東京篇も素敵な人物ばかりで、安心して観ていられた。私は「ひよっこ」の世界観は大好きだ。
話を戻して、スカーレット。
戸田恵梨香演じる喜美子の頑張りやさんぶりは、毎朝確実に元気をもらえる。薄給だが大家の大久保さん(三林京子)はじめ溝端淳平、水野美紀、羽野晶紀、木本武宏ら「荒木荘」の住人は地味だがとても味のある、BKらしいキャスティングだ。
この「故郷を離れて出て来てからの人間関係」が良いものかどうかで朝ドラの印象は随分変わるのだが、スカーレットは今のところ満点に近い。
大久保さんの厳しい仕込み方に最初は一種「ごちそうさん」のキムラ緑子的な要素を感じたが、実は喜美子をとても見込んでいる事がよくわかる。
満足な給料を出してあげられないからとストッキングの繕いの内職をさせてそのギャラを黙って取り置いておき、空き巣に入られた父・常治(北村一輝)が喜美子を頼って大阪へ出てきた際、大久保さんが内職のギャラを黙って手渡し、父と喜美子で分け合ったシーンには目頭が熱くなった。
この「酒に飲まれ、だらしないが優しい父」もBK朝ドラに欠かせない存在だ。代表的なところではカーネーションの善ちゃんであろう。
荒木荘に電話をして喜美子の元気な声を聞き泣き崩れたシーンには、共感を得たお父さんは多いのではなかろうか。
欲を言えば、中学時代までを過ごした信楽篇がもう少しあればと思う。幼なじみの林遣都、大島優子とのカラミがあまりないまま大阪に来てしまったのだが、喜美子は最終的に信楽に戻り陶芸家になるのだから焦らずに彼らの成長を楽しみにしておくべきか。
今のところ母役・富田靖子の優しさやBK御用達・飯島順子もガキ大将の母役というチョイ止まりであまり観られず、もう少し観たいものだ。
Superflyの主題歌も素晴らしい。
誰とは言わないが、誰かのようにひたすら技巧に走る事なく、伸びやかに歌いやすい曲である。
(余談だが、TBSが絶対にそんな事はしないと思うが今年のレコード大賞はスピッツの『優しいあの子』にしてほしいと真剣に願っている)
今週後半には、柔道師範である草間さんこと佐藤隆太もストーリーに復活するそうな。
どう展開するか、今後も楽しみである…