ネット社会の台頭は、この国の文化を根底から変えてしまった。
私は、目を疑った。
「10人のお坊さん」という、15分のミニ番組だ。
私はこのニッポンという国の数ある素晴らしさの中でも、他人を慮る心を本当に誇りに思う。
世界の人達からすれば、
「本音を言わないなんて、損してる。そんなんじゃ生き残れない」
と思われるかもしれないが、それを言ったら相手が傷付くかも、と表現をソフトにしたりオブラートに包んだり、あるいはいっそ言わない、という配慮は日本の心だと思っている。
しかし、昨今のネット社会では匿名を理由に言いたい放題。その記事を見たヤツが悪い、という時代になってしまった。
悪名高い「5ちゃんねる」やいわゆるヤフコメも、悪意に満ちた匿名のコメントに満ちあふれている。
芸能人の間では、
「エゴサーチなんてするな。ロクな事を書いてないから」
というのが常識だそうな。
この
「情報を送るのは、こちらの勝手。受けたヤツが悪い」
という悪しき文化は、個人間の通信にまで侵食し始めている。
もう今はどこの会社でも、プロジェクトチームごとにLINEのグループが組まれ、バンバンやり取りがなされている。
少しスマホを見ていない間に驚くほどタイムラインが進み、置いてきぼりを食らう。
そんな中、夜中にバンバングループLINEを飛ばしてくるメンバーがいたので私は苦言を呈したのだが、なんと目を疑う返信がさらに夜中に飛んできた。
私は、目を疑った。
いやいやいやいや、PCメールならまだPCを開かないと見られないのでこの言い分はアリだが、LINEはスマホアプリであり、すなわちこの時間は間違いなく枕元で充電されている。
寝ていて起こされる事だってあるし、コレから寝るぞというタイミングで思いっきり仕事の話をされたら、心がザワついて安眠出来たものではない。
この返信者に言わせれば、LINEですらもその時間の通知を切って寝なかったヤツが悪い、とでも言うのだろうか…?
そんな中、朝ドラ待機でNHK-BSを観ていると今週は7時からこんな番組をやっている。
「10人のお坊さん」という、15分のミニ番組だ。
ネット社会で荒んだ現代人の心を、10人のお坊さんがそれぞれの宗派の立場から教えを説き、癒やしてくれるという番組だ。
今朝は「承認欲求」をテーマに数人のお坊さんが説教をしていたが、宗派を問わずおっしゃっている事は
「とにかく自分の思うようにやりなさい。誰かに認められるためにやっているわけではない。あなたが自分の思うように頑張っていれば、そのうち誰かがあなたを認める」
というような事だ。
ごくごく当たり前の事かもしれないが、このように仏教的見地からお坊さんの口で語られると、一周回って心に沁みる。
コレは、ある意味私が最も求めていた番組かもしれない…