学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

銀の刷り

2014-12-13 20:24:25 | 展覧会感想
先日、栃木県は栃木市にある「とちぎ蔵の街美術館」で「歌麿と栃木」展を見てきました。歌麿、とは、もちろん江戸時代の浮世絵師喜多川歌麿のこと。歌麿は、栃木市の豪商善野家とつながりを持っていて、ときおり栃木市に訪れていたそうです。この展覧会の目玉は、パンフレットの表紙にもなっている歌麿の肉筆浮世絵《女達磨図》でしょう。達磨の赤い法衣を女性が身にまとう、ちょっと不思議な絵です。この《女達磨図》については、また後日ご紹介します。

さて、《女達磨図》もいいなあと思いましたが、なかなかどうして岳亭春信の《枋木連十番の内 傾城見立列仙伝》シリーズの4、5点もよかった。女性の着物のデザインがとてもモダン。何より、少し角度を変えると銀で刷った花や扇の模様が輝いてくる。銀、という色は好きです。金色ほどにぎらぎらした感じがなく、上品にまとまる感じがします。そういえば、酒井抱一の『夏秋草図屏風』の銀も美しいですね。

今年も年末。そろそろ木版画で年賀状を作ろうかと思案していたところですが、思案してばかりで未だ作らず。年賀状は銀を活かしたもので作ってみようかな、と思いつつある今日この頃です。