学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

泉鏡花の紀行文

2014-12-22 19:20:23 | 読書感想
先日から泉鏡花の『鏡花紀行文集』(岩波文庫)を少しずつ読んでいます。近年、泉鏡花の復刊がやたら多いですね。泉鏡花は随分前に『高野聖』を読んで以来。紀行文は好きなので、さて読んでみようと思ったら、思うように前に進まない。文語体、というのか、文体がなかなかに厄介。すらすらとは読ませてくれず、何を言っているのかわからないところさえある…(笑)

もっとも初めの紀行文は、ちょうど今ぐらいの年の瀬の神奈川県の小田原。小田原は私も行ったことがあるので、なんとなく親しみがわきます。年の暮れの馬の鈴の音、笛の音、神社のすす払いなどが描写されていて、気ぜわしい街の様子が伝わってきます。前述したように泉鏡花の文語体はなかなか厄介ではあるのですが、そのぶん一文字一文字丁寧に読めますので、ゆっくり読書を楽しみにはちょうどいいのかもしれません。

紀行文の地図を見て思ったのは、鏡花は結構旅行に出ているんだなあということ。神経質だったという鏡花。あまり東京から動かないイメージがありましたが、東は青森、西は京都付近まで足を運んでいるようです。新しい発見でした。

寒い夜は読書に限る。今日もこたつに入って、読書を楽しむことにします。