学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

郷土愛へのつぶやき

2021-02-15 08:48:58 | その他
曇る空に霧が立ち込める朝。このところ、晴天が続いていたので、戸外が余計に暗く感じます。

さて、私が住んでいる街は現在普請中。街の中の道路を広げたり、古い家が取り壊されて空地になったりと、ずいぶん変化しています。そういう場面に通りかかると、街が新しくなっていくことへの期待とともに、郷土愛という言葉が頭に浮かびます。郷土愛とは、自分が生まれた故郷を愛する心のことで、近年は子供たちの郷土愛を育むことを目標に掲げている学校も多いようです。それらの学校では、もっぱら、その地域の歴史や産業などを学び、関心を持ってもらおうと試みていて、とても良いことだと思います。

私も学生時代のころには、郷土愛、という言葉は無かったように思いますが、同じように地域の歴史を学びました。ところが、私の場合、郷土愛というものがほとんどないのです。なぜなら、私が親しんだ田園風景は埋め立てられて住宅地に変わり、私が何度も通って見慣れた通学路の家々は、古くなったり、道路を広げるために、そのほとんどが取り壊されて無くなってしまったためです。私の故郷は永遠に消えてしまったというのが実感です。

いくら郷土愛の教育を学んでも、街並みが大きく変わってしまっては、そこに故郷を愛する心は育ちにくいのではないか、と、今の私が住んでいる街の変化を目の前にして思うのでした。ヨーロッパの街並みのような仕組みができないものでしょうか。今日は郷土愛への私のつぶやき、でした。