9月22日、国連本部で演説した際、野田佳彦首相は「原子炉の冷温停止を年内に達成すべく全力を挙げている」と述べた【注】。
しかし、これは単なる希望的観測にすぎない。
たしかに、原子炉は冷却しつつある。その要因は、
(a)これまでの注水方法は「給水系」だったが、9月から燃料棒のある炉心の上に直接シャワーのように散水する「炉心スプレー系」に変えた。
(b)循環冷却システムも、東芝が中心の「サリー」に変えてからうまく作動するようになり、注水量を増やしても汚染水が溢れ出さなくなった。
気候がよくなり、さまざまな環境が改善されていくので、今後さらに改善が見込める。
ただし、年内に冷温停止を実現できる、と言える状況ではない。
(1)原子炉建屋は放射線量が高くて中に入れず、様子が十分に分からない。
(2)燃料棒のありかすら判然としない。「炉心スプレー系」の冷却も、さまざまなデータやこれまでの経験をもとにした勘で「このへんがいいだろう」と注水しているだけだ。燃料棒が飛び散っている可能性さえある。
(3)冷却が進む3号機も、100度以下に下がったかと思うと、また上昇する、という状態が続いている。
(4)地震の影響で建屋がかなりの亀裂が走り、地下水が流入している。6号機がそうだし、1~4号機も同様だと推定される。1~4号機は6号機より古くて耐震性に劣るから亀裂もひどく、流入する地下水も6号機より多い(推定)。福島第一原発で35,00トン(9月21日の東電発)。流入が大量になると、注水量を減らさねばならない。亀裂は地震によって生じた。本社は、地震のダメージを公表したくないから、地下水について語りたがらず、雨水だと言い訳してきた。
要するに、年内の汚染水処理も冷温停止も、ハードルが高すぎる。
【注】記事「「原子炉の冷温停止、年内めど」野田首相が国連で演説」(2011年9月23日1時30分 asahi.com)
以上、本誌取材班「原発は年内に冷温停止しない」(「週刊朝日」2011年10月7日号)に拠る。
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しかし、これは単なる希望的観測にすぎない。
たしかに、原子炉は冷却しつつある。その要因は、
(a)これまでの注水方法は「給水系」だったが、9月から燃料棒のある炉心の上に直接シャワーのように散水する「炉心スプレー系」に変えた。
(b)循環冷却システムも、東芝が中心の「サリー」に変えてからうまく作動するようになり、注水量を増やしても汚染水が溢れ出さなくなった。
気候がよくなり、さまざまな環境が改善されていくので、今後さらに改善が見込める。
ただし、年内に冷温停止を実現できる、と言える状況ではない。
(1)原子炉建屋は放射線量が高くて中に入れず、様子が十分に分からない。
(2)燃料棒のありかすら判然としない。「炉心スプレー系」の冷却も、さまざまなデータやこれまでの経験をもとにした勘で「このへんがいいだろう」と注水しているだけだ。燃料棒が飛び散っている可能性さえある。
(3)冷却が進む3号機も、100度以下に下がったかと思うと、また上昇する、という状態が続いている。
(4)地震の影響で建屋がかなりの亀裂が走り、地下水が流入している。6号機がそうだし、1~4号機も同様だと推定される。1~4号機は6号機より古くて耐震性に劣るから亀裂もひどく、流入する地下水も6号機より多い(推定)。福島第一原発で35,00トン(9月21日の東電発)。流入が大量になると、注水量を減らさねばならない。亀裂は地震によって生じた。本社は、地震のダメージを公表したくないから、地下水について語りたがらず、雨水だと言い訳してきた。
要するに、年内の汚染水処理も冷温停止も、ハードルが高すぎる。
【注】記事「「原子炉の冷温停止、年内めど」野田首相が国連で演説」(2011年9月23日1時30分 asahi.com)
以上、本誌取材班「原発は年内に冷温停止しない」(「週刊朝日」2011年10月7日号)に拠る。
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