語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>首都圏に降り注いだストロンチウム

2011年10月22日 | 震災・原発事故
 毒性はセシウムの10倍とも100倍ともいわれるストロンチウム。
 これが、横浜市の3ヵ所で検出された。市によれば、ストロンチウム89(半減期50日)とストロンチウム90(半減期30年)の合計値は、
 (a)港北区のマンション屋上と近くの堆積物・・・・管理組合の了解が得られないため非公開
 (b)同区大倉山の道路側溝・・・・129Bq/kg
 (c)JR新横浜駅近くの噴水底部・・・・59Bq/kg
 なお、セシウム137も、(b)(c)の2地点から21,385Bq/kgと17,008Bq/kgが検出された。

 ストロンチウムの分析には、専門的知識に加えて測定に時間を要する。このため、国や東電の測定は不十分だ。自治体なども検査機器がないため、測定を後回しにしてきた。マンションの屋上や側溝には放射性物質が集まって濃縮されるので、高い数値が出やすい。これまで測定していないだけで、福島により近い場所で採取すれば、もっと高い数値が出る可能性がある。首都圏では、どこで検出されてもおかしくない。【小出裕章・京都大学原子炉実験所助教】

 4月21日、福島沖で採取したマダラから0.03Bq/kgのストロンチウムが検出された。
 食品のストロンチウム検査はほとんど行われていない。
 食品については文科省と調整していないので、何とも言えない。【横浜市健康福祉局担当者】
 ストロンチウムは、セシウムより植物に移行しやすい。セシウムは粘土質の土に吸着され、地表5cmほどに溜まるが、ストロンチウムはそれほど吸着されずに地底にも浸透する。つまり、土壌の深浅を問わず、いずれからも植物に吸収されやすい。野菜などに注意が必要だ。【白石久二郎・元放射線医学総合研究所内部被ばく評価室長】

 ストロンチウムとセシウムの比率は、福島とほとんど変わらない。原発から離れても、ほぼ同じ割合だ。関東全域の土壌、特に田畑の汚染状況と併せて住民の被曝実態も調べる必要がある。食品にも、セシウムの数百分の1の割合でストロンチウムが含まれていると想定したほうがいい。【野口邦和・日本大学仙人講師】
 セシウムが体内に入っているとすれば、ストロンチウムも一定の割合で入っている可能性がある。しかし、ストロンチウムのβ線による被曝は、γ線しか測れない現在の測定器では調べようがない。ただし、子どもの抜け落ちた乳歯を調べる方法はある。乳歯には、骨同様、ストロンチウムが溜まりやすい。今回の検出場所の子どもの乳歯を調べたら、汚染実態がある程度わかるかもしれない。【崎山比早子・元放射線医学総合研究所主任研究官】

 以上、記事「首都圏に降り注いだストロンチウム」(「サンデー毎日」2011年10月30日号)に拠る。

 【参考】「【震災】原発>プルトニウムとストロンチウムの飛散範囲 ~100km圏超~
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