(1)6種類の遺伝子組み換え(GM)稲が、日本で野外栽培される。独立行政法人・農業生物資源研究所の試験栽培に今年度新たに加わるのは、6種類だ。
(a)GMタバコ1種類
(b)GM稲5種類
(2)タバコは、「害虫抵抗性」の性質を付与したもので、稲は
(a)「複合病害抵抗性稲」1種類
(b)「開花期制御稲」3種類
(c)「スギ花粉症治療稲」1種類・・・・従来の「スギ花粉ペプチド含有稲(花粉症緩和稲)」とは異なり、新たに開発されたもの。
(3)(1)と併せて次の3種類のGM作物も栽培される。
(d)「スギ花粉ペプチド含有稲」・・・・昨年も試験栽培。
(e)除草剤耐性大豆・・・・毎年栽培。
(f)除草剤耐性と殺虫性の性質を併せ持ったトウモロコシ・・・・展示栽培。
(4)農業生物資源研究所は、(1)および(3)のように今年度9種類ものGM作物を栽培する。
今回の特徴は、(2)のGM稲の栽培だ。これまでに6種類ものGM稲を栽培することはなかった。
(2)-(a)は、いもち病など複数の病気への防御機能を活性化させる遺伝子を導入したもの。
(2)-(b)は、開花誘導ホルモンに関連する遺伝子を導入したもの。
これらの稲はまだ実験段階であり、これから生物多様性への影響や食品としての安全性などが評価される。
しかし、日本の研究者が稲を中心にGM作物開発を進めていくことが、改めて示された、といえる。
(5)海外では、現在、正式にGM稲を栽培している国はない。
(a)かつてイランで「殺虫性稲」が商業栽培されたことがあるが、現在は作付けされていない。
(b)中国では、湖南省の一部の地域で「殺虫性稲」が作付けされているが、非合法だ。
(c)米国では以前に、独バイエル・クロップサイエンス社の除草剤耐性稲の種子が違法流通し、通常の稲に混入して作付けされ、同社が多額の賠償金を払う、という事件が起きた。
(6)今年フィリピンで、GM稲の初めての大規模な商業栽培が行われる可能性が高まっている。
スイス・シンジェンタ社が開発した「ゴールデンライス」(通称「ビタミンAライス」)がそれで、ベータカロチンを増やした稲だ。ベータカロチンは体内に入った際にビタミンAとなることから、飢餓で苦しむアフリカの子どもたち(ビタミンA不足で失明の危機にある)への人道的支援が前面に掲げられ、売り込みが図られてきた。
しかし、それはGM稲を売り込むための手段にすぎないことが、明らかになった。
それを裏付けたのが、米タフツ大学の研究者によって中国で行われた人体実験だった。GM稲の安全性評価を、いきなり人間で、それも中国の子どもに食べさせる実験を行ったのだ。中国の研究者が名を連ねていた。人道支援と言いながら、研究者にその視点はない。
(7)ゴールデンライスの市場化には、稲が小麦と並んで世界の人が主食としている穀物であることから、GM稲や小麦の市場化を目指す狙いがある。
食の安全に疑問のあるGM稲の市場化が近づきつつある。
□天笠啓祐「間近になったGM稲の商業栽培 アジア市場が狙われている」(「週刊金曜日」2014年4月11日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【食】バングラデシュで遺伝子組み換えナスの栽培始まる ~GM食品の拡大~」
(a)GMタバコ1種類
(b)GM稲5種類
(2)タバコは、「害虫抵抗性」の性質を付与したもので、稲は
(a)「複合病害抵抗性稲」1種類
(b)「開花期制御稲」3種類
(c)「スギ花粉症治療稲」1種類・・・・従来の「スギ花粉ペプチド含有稲(花粉症緩和稲)」とは異なり、新たに開発されたもの。
(3)(1)と併せて次の3種類のGM作物も栽培される。
(d)「スギ花粉ペプチド含有稲」・・・・昨年も試験栽培。
(e)除草剤耐性大豆・・・・毎年栽培。
(f)除草剤耐性と殺虫性の性質を併せ持ったトウモロコシ・・・・展示栽培。
(4)農業生物資源研究所は、(1)および(3)のように今年度9種類ものGM作物を栽培する。
今回の特徴は、(2)のGM稲の栽培だ。これまでに6種類ものGM稲を栽培することはなかった。
(2)-(a)は、いもち病など複数の病気への防御機能を活性化させる遺伝子を導入したもの。
(2)-(b)は、開花誘導ホルモンに関連する遺伝子を導入したもの。
これらの稲はまだ実験段階であり、これから生物多様性への影響や食品としての安全性などが評価される。
しかし、日本の研究者が稲を中心にGM作物開発を進めていくことが、改めて示された、といえる。
(5)海外では、現在、正式にGM稲を栽培している国はない。
(a)かつてイランで「殺虫性稲」が商業栽培されたことがあるが、現在は作付けされていない。
(b)中国では、湖南省の一部の地域で「殺虫性稲」が作付けされているが、非合法だ。
(c)米国では以前に、独バイエル・クロップサイエンス社の除草剤耐性稲の種子が違法流通し、通常の稲に混入して作付けされ、同社が多額の賠償金を払う、という事件が起きた。
(6)今年フィリピンで、GM稲の初めての大規模な商業栽培が行われる可能性が高まっている。
スイス・シンジェンタ社が開発した「ゴールデンライス」(通称「ビタミンAライス」)がそれで、ベータカロチンを増やした稲だ。ベータカロチンは体内に入った際にビタミンAとなることから、飢餓で苦しむアフリカの子どもたち(ビタミンA不足で失明の危機にある)への人道的支援が前面に掲げられ、売り込みが図られてきた。
しかし、それはGM稲を売り込むための手段にすぎないことが、明らかになった。
それを裏付けたのが、米タフツ大学の研究者によって中国で行われた人体実験だった。GM稲の安全性評価を、いきなり人間で、それも中国の子どもに食べさせる実験を行ったのだ。中国の研究者が名を連ねていた。人道支援と言いながら、研究者にその視点はない。
(7)ゴールデンライスの市場化には、稲が小麦と並んで世界の人が主食としている穀物であることから、GM稲や小麦の市場化を目指す狙いがある。
食の安全に疑問のあるGM稲の市場化が近づきつつある。
□天笠啓祐「間近になったGM稲の商業栽培 アジア市場が狙われている」(「週刊金曜日」2014年4月11日号)
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【参考】
「【食】バングラデシュで遺伝子組み換えナスの栽培始まる ~GM食品の拡大~」