(1)沖縄県教育委員会(宮城奈々・委員長)は、5月21日、定例会で、竹富町教育委員会を教科用図書八重山教科書採択地区から分離し、今後は単独採択地区とすることを決定した。
「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(教科書無償法)」の一部改定案が、参議院本会議で4月9日、賛成多数(自民・公明・維新、みんな)で可決され、竹教委の離脱が可能になった。同教委もその意向を示したため、県教委が判断。文科省の担当(初等中等教育局企画係)によると、「違法状態は解消される」。
(2)下村博文・文部科学相は、5月23日の会見で、「採択地区の設定は地域の自然的、文化的、経済的な諸条件や、教科書の調査研究体制の有無等を考慮して行うべき」であるとして、今回の「変更は法の趣旨を十分に踏まえたものとは言いがたく、遺憾」という見解を示した。
5月20日、玉津博克・教育長(石垣市)が文科省で上野通子・政務官と面会。「八重山地方は教育だけでなく、行政や経済も一体」で、「竹富町の単独採決は理解できず、好ましくない」と「直訴」した。
玉津は、「国や沖縄県が決めることに私たちが反対・賛成などと言う立場にない」としつつ、教科書無償法の改定は「基本的に良いこと」と肯定する。
一見、竹教委に有利に働いたかのように見える今回の法改定だが、文科省その他「保守系」文教族にとって何が「良いこと」なのか。
(3)そもそも、「矛盾多い教科書の共同採択制度」など、「採択地区の分割」を求めてきたのは「つくる会」系側だった。竹富町の「ごり押し」に見せかけて、自分たちの支持自治体の拡大を狙う法改定の意図が透けて見える。
教科書無償法の改定は、文科省の「教科書改革実行プラン」(2013年11月15日)に基づいて行われた。骨子は、次のようなもの。
(a)共同採択の際の構成都市町村による協議ルールを明確化する。
(b)「市郡」単位となっていた採択地区の設定単位を「市町村」に柔軟化する。
(c)採択結果や理由など、教科書採択に関する情報の公表を求める。
(b)を巡っては、今後、竹富町以外の各地でも、単独採択地区としての「独立」や共同採択地区の再編など、見直しの加速が予想される。
(4)一市二町から成る八重山諸島では、2011年8月、中学生向け「公民」教科書の採択に際し、同採択地区協議会総会で「つくる会」系の「育鵬社」版教科書が選定された。
だが、これを推す石垣市・与那国町両教委に反対して竹教委は「東京書籍」版を採択。3教委が平行線を辿る中、同年9月、共同採択地区の教委全員による八重山教育委員協議会臨時総会は「育鵬社」版を不採択とし、「東京書籍」版を採択した。しかし、この協議も文化省は無効と判断。以後、竹富町は教科書無償法の適用外とさてた。
(5)慶田盛・竹富町教育長によれば、「私たちの主張は一貫している」。「教科書無償法第13条第4項によれば、地区内に複数の市町村がある場合、同一教科書を使用する、とある。一方、地方教育行政法第23条第6項は、各市町村の教委に教科書選択の決定権がある、としている。2つの法律が矛盾していた」。
江川三津江・前石垣市教育長/「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」共同代表は、「今後の動きを注視したい」と慎重だ。「歴史認識の改変や愛国心などを盛り込む道徳の教科化、首長が国の方針をもとに『教育大綱』を決定し、教育委員会を従属させる教委制度改定など、一連の動きの中で今回もとらえる必要がある」。
□内藤英聡「予断許さない八重山教科書問題 沖縄県竹富町、法改定で単独採択可能に」(「週刊金曜日」2014年5月30日号)
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【参考】
「【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~」
「【片山善博】文部科学省の愚と憲法違反 ~竹富町教科書問題~」
「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(教科書無償法)」の一部改定案が、参議院本会議で4月9日、賛成多数(自民・公明・維新、みんな)で可決され、竹教委の離脱が可能になった。同教委もその意向を示したため、県教委が判断。文科省の担当(初等中等教育局企画係)によると、「違法状態は解消される」。
(2)下村博文・文部科学相は、5月23日の会見で、「採択地区の設定は地域の自然的、文化的、経済的な諸条件や、教科書の調査研究体制の有無等を考慮して行うべき」であるとして、今回の「変更は法の趣旨を十分に踏まえたものとは言いがたく、遺憾」という見解を示した。
5月20日、玉津博克・教育長(石垣市)が文科省で上野通子・政務官と面会。「八重山地方は教育だけでなく、行政や経済も一体」で、「竹富町の単独採決は理解できず、好ましくない」と「直訴」した。
玉津は、「国や沖縄県が決めることに私たちが反対・賛成などと言う立場にない」としつつ、教科書無償法の改定は「基本的に良いこと」と肯定する。
一見、竹教委に有利に働いたかのように見える今回の法改定だが、文科省その他「保守系」文教族にとって何が「良いこと」なのか。
(3)そもそも、「矛盾多い教科書の共同採択制度」など、「採択地区の分割」を求めてきたのは「つくる会」系側だった。竹富町の「ごり押し」に見せかけて、自分たちの支持自治体の拡大を狙う法改定の意図が透けて見える。
教科書無償法の改定は、文科省の「教科書改革実行プラン」(2013年11月15日)に基づいて行われた。骨子は、次のようなもの。
(a)共同採択の際の構成都市町村による協議ルールを明確化する。
(b)「市郡」単位となっていた採択地区の設定単位を「市町村」に柔軟化する。
(c)採択結果や理由など、教科書採択に関する情報の公表を求める。
(b)を巡っては、今後、竹富町以外の各地でも、単独採択地区としての「独立」や共同採択地区の再編など、見直しの加速が予想される。
(4)一市二町から成る八重山諸島では、2011年8月、中学生向け「公民」教科書の採択に際し、同採択地区協議会総会で「つくる会」系の「育鵬社」版教科書が選定された。
だが、これを推す石垣市・与那国町両教委に反対して竹教委は「東京書籍」版を採択。3教委が平行線を辿る中、同年9月、共同採択地区の教委全員による八重山教育委員協議会臨時総会は「育鵬社」版を不採択とし、「東京書籍」版を採択した。しかし、この協議も文化省は無効と判断。以後、竹富町は教科書無償法の適用外とさてた。
(5)慶田盛・竹富町教育長によれば、「私たちの主張は一貫している」。「教科書無償法第13条第4項によれば、地区内に複数の市町村がある場合、同一教科書を使用する、とある。一方、地方教育行政法第23条第6項は、各市町村の教委に教科書選択の決定権がある、としている。2つの法律が矛盾していた」。
江川三津江・前石垣市教育長/「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」共同代表は、「今後の動きを注視したい」と慎重だ。「歴史認識の改変や愛国心などを盛り込む道徳の教科化、首長が国の方針をもとに『教育大綱』を決定し、教育委員会を従属させる教委制度改定など、一連の動きの中で今回もとらえる必要がある」。
□内藤英聡「予断許さない八重山教科書問題 沖縄県竹富町、法改定で単独採択可能に」(「週刊金曜日」2014年5月30日号)
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【参考】
「【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~」
「【片山善博】文部科学省の愚と憲法違反 ~竹富町教科書問題~」