(1)4月23日、米国バーモント州上院が、圧倒的多数(26対2)でGM(遺伝子組み換え)食品表示法案を可決し、法案は議会を通過した。
5月12日、ピーター・シュムリン州知事が、この表示法案に署名することを表明し、同州が米国で最初にGM食品表示を行う州となることが確実になった。
2016年7月1日から施行される。
(2)GM食品表示を義務化する州が米国に誕生したことは、他の州に大きな影響を及ぼすだろう。TPPなどで、連邦政府が各国に加えているGM食品表示撤廃圧力を殺ぐことにもなりそうだ。
米国では、昨年、コネチカット州とメイン州でGM食品表示法が成立したが、周辺の州が同様の法律を定めなければ施行されない、など、厳しい条件が付けられた。
昨年は、それらの州を含めて32州で110のGM食品表示法案が提出され、そのうち幾つかが未決になっている。
今年初めの時点では、25州において67の法案が審議される予定だったが、そのうち12がすでに一院を通過している。
最近では、4月24日、新たにミネソタ州でもGM食品表示法案をめぐる審議が開始された。この日、法案を提出したカレン・クラーク・下院議員が趣旨説明を行った。今後、消費者、生産者、食品メーカーなどの意見を聞く公聴会が開催される予定だ。
(3)米国でもう一つ注目されているのが、ハワイ州議会における動きだ。
同州では昨年末、カウアイ島地方議会が新しいGMO(遺伝子組み換え作物)の試験栽培やそれに伴う新たな農薬 の使用を規制する条例案を可決。さらに12月にはビリー・ケイノイ・カウアイ島市長がこの条例に署名し、正式に発効した。ちなみに、カウアイ島にはデュポン、シンジェンタなどのバイテク企業の試験圃場が集中している。
(4)米国でさらにもう一つ注目されているのが、オレゴン州における攻防戦だ。
同州ジャクソン郡で、GMO栽培禁止条例をめぐって住民投票が行われた。提案したのは有機農家で、これに対してバイテク企業が激しい反対運動を組織してきた。この戦いは「ダビデとゴリアテの闘い」に喩えられ、注目されてきた。
この小さな地域での住民投票でも、一昨年のカルフォニア州や、昨年のワシントン州で行われたGM食品表示法案をめぐる住民投票と同様に、バイテク企業が資金を集め、テレビCM戦略に打って出た。バイテク6社で合計455,000ドル。巨人は資金力にものを言わせて否決を図った。
モンサント社183,294ドル
デュポン・パイオニア社129,647ドル
シンジェンタ社75,000ドル
バイエル社22,353ドル
BASF社22,353ドル
ダウ・アグロサイエンス社22,353ドル
(5)カルフォニア州やワシントン州ではテレビCM戦略で、住民の提案した表示法案は否決されてしまった。
しかし、ジャクソン州では住民側が勝利した。有機農家が巨人を倒したのだ。
このように、徐々にではあるが、米国では市民の力が社会を動かしている。
□天笠啓祐「GM作物規制で住民が相次ぎ勝利 米国で起きている「NO!」の声」(「週刊金曜日」2014年6月13日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【原発】【食】健康食品「青汁」の回収 ~放射能照射食品~」
「【食】来年から始まる弁当の健康認証マーク ~コンビニ弁当も健康?~」
「【食】消費者庁が健康食品の機能性表示案を提示」
「【食】遺伝子組み換え食品、農薬まみれ食品 ~TPPで規制撤廃(2)~」
「【食】米国産「危険食品」が大量流入 ~TPPで規制撤廃~」
「【食】アジア市場が狙われている ~GM稲の商業栽培~」
「【食】バングラデシュで遺伝子組み換えナスの栽培始まる ~GM食品の拡大~」
「【食】農薬類は微量・低濃度でも安全とはいえない」
「【中国】現地取材で痛感 やっぱり危ない中国産食品」
「【中国】実録・猛毒食品「僕らだって怖い!」 ~中国人は語る~」
「【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~」
「【食】危険な除草剤の増加 ~除草剤耐性GM作物~」
「【食】イオンの産地偽装 ~中国猛毒米~」【食】農薬が添加物扱い ~バナナに使われるポストハーベト~
「【中国】汚染大国 ~PM2.5、農薬、重金属まみれの野菜~」
「【食】中国における食品汚染事件 ~悪質ケース50(抄)~」
「【食】「危ない中国産」を見破る法 ~ジュース・菓子~」
「【食】中国産ウナギ肝から国際基準の1.5倍のカドニウム」
「【食】外食、どのメニューに中国産が入っているか ~中国食品を見破れ(3)~」
「【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~」
「【食】中国産から身を守るためのQ&A ~中国食品を見破れ(2)~」
「【食】中国食品を見破れ ~スーパー・外食~」
「【食】中国猛毒食品(2) ~アサリ・エビ・ピーナッツ・漬物・ウナギ~」
「【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~」
「【中国】影の銀行つぶし ~アベノミクスの行方を左右する中国の政策~」
「【中国】凄まじい貧富の格差」
「【中国】政経一体システム ~今後どうビジネスを展開するか~」
「【中国】政府から独立している軍隊 ~尖閣をめぐる軍事的問題~」
「【中国】外交と国内問題との関係 ~今後の展望~」
「【中国】改善されない環境問題 ~大気汚染・水質汚染・食品汚染~」
「【中国】恐るべき階級社会 ~農村戸籍と都市戸籍~」
「【中国】5大リスク ~不衛生・格差・バブル崩壊・少子高齢化・軍の暴走~」
「【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~」
「【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~」
「【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?」
「【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~」
「【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後」
「【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド」
5月12日、ピーター・シュムリン州知事が、この表示法案に署名することを表明し、同州が米国で最初にGM食品表示を行う州となることが確実になった。
2016年7月1日から施行される。
(2)GM食品表示を義務化する州が米国に誕生したことは、他の州に大きな影響を及ぼすだろう。TPPなどで、連邦政府が各国に加えているGM食品表示撤廃圧力を殺ぐことにもなりそうだ。
米国では、昨年、コネチカット州とメイン州でGM食品表示法が成立したが、周辺の州が同様の法律を定めなければ施行されない、など、厳しい条件が付けられた。
昨年は、それらの州を含めて32州で110のGM食品表示法案が提出され、そのうち幾つかが未決になっている。
今年初めの時点では、25州において67の法案が審議される予定だったが、そのうち12がすでに一院を通過している。
最近では、4月24日、新たにミネソタ州でもGM食品表示法案をめぐる審議が開始された。この日、法案を提出したカレン・クラーク・下院議員が趣旨説明を行った。今後、消費者、生産者、食品メーカーなどの意見を聞く公聴会が開催される予定だ。
(3)米国でもう一つ注目されているのが、ハワイ州議会における動きだ。
同州では昨年末、カウアイ島地方議会が新しいGMO(遺伝子組み換え作物)の試験栽培やそれに伴う新たな農薬 の使用を規制する条例案を可決。さらに12月にはビリー・ケイノイ・カウアイ島市長がこの条例に署名し、正式に発効した。ちなみに、カウアイ島にはデュポン、シンジェンタなどのバイテク企業の試験圃場が集中している。
(4)米国でさらにもう一つ注目されているのが、オレゴン州における攻防戦だ。
同州ジャクソン郡で、GMO栽培禁止条例をめぐって住民投票が行われた。提案したのは有機農家で、これに対してバイテク企業が激しい反対運動を組織してきた。この戦いは「ダビデとゴリアテの闘い」に喩えられ、注目されてきた。
この小さな地域での住民投票でも、一昨年のカルフォニア州や、昨年のワシントン州で行われたGM食品表示法案をめぐる住民投票と同様に、バイテク企業が資金を集め、テレビCM戦略に打って出た。バイテク6社で合計455,000ドル。巨人は資金力にものを言わせて否決を図った。
モンサント社183,294ドル
デュポン・パイオニア社129,647ドル
シンジェンタ社75,000ドル
バイエル社22,353ドル
BASF社22,353ドル
ダウ・アグロサイエンス社22,353ドル
(5)カルフォニア州やワシントン州ではテレビCM戦略で、住民の提案した表示法案は否決されてしまった。
しかし、ジャクソン州では住民側が勝利した。有機農家が巨人を倒したのだ。
このように、徐々にではあるが、米国では市民の力が社会を動かしている。
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「【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~」
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「【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~」
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