(1)健康食品の機能性表示の解禁は、安倍政権の規制改革路線の一環として検討されている。
昨年12月に消費者庁が検討会を立ち上げ、制度案を審議中だ。第5回会議(5月2日)で、ようやく機能性表示に関する対応方針(案)が提示された。
(2)機能性表示の解禁だからといって、なんでも企業の自由にさせるよう認めるわけではない。
(a)表示の必須条件として、現在の特定保健用食品(トクホ)に準じる最終製品でのヒト試験、または関与成分に関する既存のヒトでの試験の適切なレビュー(評価)が求められる。
(b)そこで効果が証明される、と企業が判断した場合、自己責任で機能性を表示できる。
(c)証拠の情報開示も必須となってくる。
(3)この制度が実施された場合、市販の健康食品はどう変わるか。・・・・これは実は、悩ましい問題だ。
本当に効果があるのかの検証は、やはり国が審査して許可する制度が本来の姿だ。EUではそうなっている。日本でもトクホがそうした制度だ。
しかし、日本では、トクホ以外の効能を暗示した健康食品であふれかえっている。中には、トクホの審査に落ちたサプリも堂々と販売されている。
規制がまったく機能していない実態にあって、規制緩和であっても、一部そうしたデタラメを是正する効果がある、と評価できる点がある。
(4)良い点。ヒトでの試験が1件もないようなものが明確になる。
<例>「夜スリムトマ美ちゃん」・・・・2013年暮れに景品表示法違反で問題になった。
これらの商品の事業者は、いざ消費者から証拠を見せろと要求されると、「効能を表示すると薬事法違反になるからお見せできない」という言い訳をしてきた。その言い訳ができなくなるから、信憑性が著しく落ちるだろう。
ただ、そのためには消費者も率先して証拠開示を求める必要がある。
(5)問題は、ヒトの試験で、「効果がある」という結果と、「効果がない」という論文が両方あるものだ。
企業の自己責任で判断しろ、ということになるだろうが、客観的に公正なものであるかのチェックが必要だろう。
日本健康・栄養食品協会(日健栄協)では、機能性評価の第三者認証制度を検討している。
食後の血糖値の上昇を抑える、という効能についてサラシアという成分の評価を実施し、今年4月23日に結果を公表した。ヒトでの論文10件中8:2で「効果あり」の方が多かった、という評価結果だった。
しかし、もとの論文の中には
(a)糖尿病の患者の試験が2件あった。健康食品の対象はあくまで健康な人、または病気の境界域の人までなので、データとしてふさわしくない。
(b)(a)のほか、日本で販売されているサプリメントの摂取量(1回80mg程度)をはるかに超える量(1回1,000mg)だけの試験が2件あり、それも日本の事業者が自社のサラシアサプリの証拠に使うにはふさわしくない。
(c)残り6件では4:2だが、「効果あり」と判断されたうち1件は、統計的に有意差が出ていないものがあり、「効果なし」と判断すべきものがあった。よって、最終的には3:3となり、明瞭に効果があるとは言えない。
(6)事業者のレビューで「証拠あり」と判断されても、鵜呑みにはできない。
その証拠を開示させるだけではなく、その真偽を検証する制度が必要だ。
□植田武智(科学ジャーナリスト)「消費者庁が健康食品の機能性表示案を提示 灰色の効果の判断はあいまいなまま」(「週刊金曜日」2014年5月30日号)
↓クリック、プリーズ。↓

昨年12月に消費者庁が検討会を立ち上げ、制度案を審議中だ。第5回会議(5月2日)で、ようやく機能性表示に関する対応方針(案)が提示された。
(2)機能性表示の解禁だからといって、なんでも企業の自由にさせるよう認めるわけではない。
(a)表示の必須条件として、現在の特定保健用食品(トクホ)に準じる最終製品でのヒト試験、または関与成分に関する既存のヒトでの試験の適切なレビュー(評価)が求められる。
(b)そこで効果が証明される、と企業が判断した場合、自己責任で機能性を表示できる。
(c)証拠の情報開示も必須となってくる。
(3)この制度が実施された場合、市販の健康食品はどう変わるか。・・・・これは実は、悩ましい問題だ。
本当に効果があるのかの検証は、やはり国が審査して許可する制度が本来の姿だ。EUではそうなっている。日本でもトクホがそうした制度だ。
しかし、日本では、トクホ以外の効能を暗示した健康食品であふれかえっている。中には、トクホの審査に落ちたサプリも堂々と販売されている。
規制がまったく機能していない実態にあって、規制緩和であっても、一部そうしたデタラメを是正する効果がある、と評価できる点がある。
(4)良い点。ヒトでの試験が1件もないようなものが明確になる。
<例>「夜スリムトマ美ちゃん」・・・・2013年暮れに景品表示法違反で問題になった。
これらの商品の事業者は、いざ消費者から証拠を見せろと要求されると、「効能を表示すると薬事法違反になるからお見せできない」という言い訳をしてきた。その言い訳ができなくなるから、信憑性が著しく落ちるだろう。
ただ、そのためには消費者も率先して証拠開示を求める必要がある。
(5)問題は、ヒトの試験で、「効果がある」という結果と、「効果がない」という論文が両方あるものだ。
企業の自己責任で判断しろ、ということになるだろうが、客観的に公正なものであるかのチェックが必要だろう。
日本健康・栄養食品協会(日健栄協)では、機能性評価の第三者認証制度を検討している。
食後の血糖値の上昇を抑える、という効能についてサラシアという成分の評価を実施し、今年4月23日に結果を公表した。ヒトでの論文10件中8:2で「効果あり」の方が多かった、という評価結果だった。
しかし、もとの論文の中には
(a)糖尿病の患者の試験が2件あった。健康食品の対象はあくまで健康な人、または病気の境界域の人までなので、データとしてふさわしくない。
(b)(a)のほか、日本で販売されているサプリメントの摂取量(1回80mg程度)をはるかに超える量(1回1,000mg)だけの試験が2件あり、それも日本の事業者が自社のサラシアサプリの証拠に使うにはふさわしくない。
(c)残り6件では4:2だが、「効果あり」と判断されたうち1件は、統計的に有意差が出ていないものがあり、「効果なし」と判断すべきものがあった。よって、最終的には3:3となり、明瞭に効果があるとは言えない。
(6)事業者のレビューで「証拠あり」と判断されても、鵜呑みにはできない。
その証拠を開示させるだけではなく、その真偽を検証する制度が必要だ。
□植田武智(科学ジャーナリスト)「消費者庁が健康食品の機能性表示案を提示 灰色の効果の判断はあいまいなまま」(「週刊金曜日」2014年5月30日号)
↓クリック、プリーズ。↓


