経産相に就いた小渕優子は、官僚に従順だったし、官僚は暴走した。最悪の組み合わせだった【注】。
その小渕は、あっという間に辞任してした。
安倍首相が後任として投入したのが宮沢洋一だが、この人もまた就任直後から
・SMバーへの政治資金支出
・外国人株主が過半を占める企業から受けた献金
の問題などで追究を受けている。
一方、安倍政権や自民党はもとより、マスコミ政治部の記者たちの中に、こんな下らないことにエネルギーを割かないで政策論議をすべきだ、という声も出ている。
ところが、安倍内閣の最大の問題は、カネの問題ではない。実は、行政を適切に執行する能力に大きな疑いがある閣僚が多数いる点にある。
経産相の前後任二人の能力を比較すると、
(1)小渕の能力のなさは、国会答弁、記者会見のやり取りなどで、マスコミや霞が関官僚の間では評判となっていた。経産相という重責を担えないことは既にハッキリしていた。早めにクビにできたことは、安倍政権にとって不幸中の幸いであった。
(2)では、財務官僚OBで、永田町では「政策通」と言われる宮沢が進める政策は信頼できるか。心配なのは、
(a)東電株を保有している。福島の大事故以後、まじめな政治家なら、東電との癒着を疑われないよう、株を売却するものだ。しかし、宮沢の東電株は含み損状態なので、持ち続けて東電株を持っていたらしい。そんな人が経産相をやるのは、完全な利益相反だ。株式を信託して売却できないようにした、と言い訳しているが、何の意味もない。売却しなくても、東電に都合のより政策を連発して、東電株が値上がりすれば宮沢にとって万々歳だからだ。
(b)福島に行ったことがなかった。菅官房長官は、宮沢が復興支援に尽力したというが、震災からすでに3年半。1回も行ってないのは奇妙だ。宮沢はおそらく財務官僚の典型なのだろう。現場は見ずに、机の後ろにふんぞり返って、国民からの陳情に応えてやっている、という上からの目線。こんな人に住民目線の政策は期待できない。
(c)【最大の問題】宮沢が「官僚の守護神」であることだ。<例>公務員改革法案を徹底的に骨抜きにしようと画策した。宮沢は「過去官僚」として、官僚にとって何が重要かを最もよく分かっている政治家の一人として、官僚を守るため必死に働いた。
宮沢は、今後、原発再稼働も含め、経産省が抱える諸問題の処理に当たって、経産官僚の利権をうまく温存することによって彼らに大きな恩を売れば、それを自分の利権につなぐことができる。
経産省の立場から見れば、官僚の利害を熟知した大臣であれば、修羅場で想定外の事態になっても応用動作が可能で、その場で官僚をうまく守る振る舞いができる・・・・と期待する。それこそが、霞が関のいわゆる「政策通」だ。
小渕のスキャンダル辞任で暗雲が垂れ込めたかに見えた原発再稼働。
宮沢経産相がスキャンダルをうまく乗り切ってくれれば・・・・。
経産官僚は、そう願っているだろう。
【注】「【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~」
□古賀茂明「宮沢経産相は「官僚の守護神」 ~官々愕々第130回~」(「週刊現代」2014年11月15日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【古賀茂明】再生エネルギー買い取り停止の裏で」
「【古賀茂明】女性活用に本気でない安部政権」
「【古賀茂明】【原発】中間貯蔵施設で官僚焼け太り」
「【古賀茂明】御嶽山で多数の死者が出た背景 ~政治家の都合、官僚と学者の利権~」
「【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~」
「【古賀茂明】イスラム国との戦争 ~集団的自衛権~」
「【古賀茂明】「地方創生」は地方衰退への近道 ~虚構のアベノミクス~」
「【古賀茂明】【原発】原子力ムラの最終兵器」
「【古賀茂明】【原発】凍らない凍土壁に税金を投入し続けたわけ」
「【古賀茂明】【原発】勝俣恒久・元東電会長らの起訴 ~検察審査会~」
「【古賀茂明】安倍政権の武器輸出 ~時代遅れの「正義の味方」~」
「【古賀茂明】またも折れそうな第三の矢 ~医薬品ネット販売解禁の大嘘~」
「【古賀茂明】「1年後の夏」に向けた布石 ~集団的自衛権~」
「【古賀茂明】法人減税で浮き彫りにされる本当の支配者 ~官僚と経団連~」
「【古賀茂明】都議会「暴言問題」の真実 ~記者クラブによる隠蔽~」
「古賀茂明】集団的自衛権とワールドカップ」
「【古賀茂明】野党再編のカギは「戦争」」
「【古賀茂明】電力会社の歪んだ「競争」 ~税金をもらって商売~」
「【原発】【古賀茂明】規制委員会人事とメディアの責任」
「【古賀茂明】医師と官僚の癒着の構造」
「【古賀茂明】電力会社「値上げ救済」の愚 ~経営難は自業自得~」
「【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~」
「【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~」
「【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~」
「【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~」
「【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~」
「【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~」
「【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働」
「【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~ 」
「【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~」
「【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~」
「【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~」
「【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと」
「【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~」
「【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~」
「【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~」
その小渕は、あっという間に辞任してした。
安倍首相が後任として投入したのが宮沢洋一だが、この人もまた就任直後から
・SMバーへの政治資金支出
・外国人株主が過半を占める企業から受けた献金
の問題などで追究を受けている。
一方、安倍政権や自民党はもとより、マスコミ政治部の記者たちの中に、こんな下らないことにエネルギーを割かないで政策論議をすべきだ、という声も出ている。
ところが、安倍内閣の最大の問題は、カネの問題ではない。実は、行政を適切に執行する能力に大きな疑いがある閣僚が多数いる点にある。
経産相の前後任二人の能力を比較すると、
(1)小渕の能力のなさは、国会答弁、記者会見のやり取りなどで、マスコミや霞が関官僚の間では評判となっていた。経産相という重責を担えないことは既にハッキリしていた。早めにクビにできたことは、安倍政権にとって不幸中の幸いであった。
(2)では、財務官僚OBで、永田町では「政策通」と言われる宮沢が進める政策は信頼できるか。心配なのは、
(a)東電株を保有している。福島の大事故以後、まじめな政治家なら、東電との癒着を疑われないよう、株を売却するものだ。しかし、宮沢の東電株は含み損状態なので、持ち続けて東電株を持っていたらしい。そんな人が経産相をやるのは、完全な利益相反だ。株式を信託して売却できないようにした、と言い訳しているが、何の意味もない。売却しなくても、東電に都合のより政策を連発して、東電株が値上がりすれば宮沢にとって万々歳だからだ。
(b)福島に行ったことがなかった。菅官房長官は、宮沢が復興支援に尽力したというが、震災からすでに3年半。1回も行ってないのは奇妙だ。宮沢はおそらく財務官僚の典型なのだろう。現場は見ずに、机の後ろにふんぞり返って、国民からの陳情に応えてやっている、という上からの目線。こんな人に住民目線の政策は期待できない。
(c)【最大の問題】宮沢が「官僚の守護神」であることだ。<例>公務員改革法案を徹底的に骨抜きにしようと画策した。宮沢は「過去官僚」として、官僚にとって何が重要かを最もよく分かっている政治家の一人として、官僚を守るため必死に働いた。
宮沢は、今後、原発再稼働も含め、経産省が抱える諸問題の処理に当たって、経産官僚の利権をうまく温存することによって彼らに大きな恩を売れば、それを自分の利権につなぐことができる。
経産省の立場から見れば、官僚の利害を熟知した大臣であれば、修羅場で想定外の事態になっても応用動作が可能で、その場で官僚をうまく守る振る舞いができる・・・・と期待する。それこそが、霞が関のいわゆる「政策通」だ。
小渕のスキャンダル辞任で暗雲が垂れ込めたかに見えた原発再稼働。
宮沢経産相がスキャンダルをうまく乗り切ってくれれば・・・・。
経産官僚は、そう願っているだろう。
【注】「【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~」
□古賀茂明「宮沢経産相は「官僚の守護神」 ~官々愕々第130回~」(「週刊現代」2014年11月15日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【古賀茂明】再生エネルギー買い取り停止の裏で」
「【古賀茂明】女性活用に本気でない安部政権」
「【古賀茂明】【原発】中間貯蔵施設で官僚焼け太り」
「【古賀茂明】御嶽山で多数の死者が出た背景 ~政治家の都合、官僚と学者の利権~」
「【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~」
「【古賀茂明】イスラム国との戦争 ~集団的自衛権~」
「【古賀茂明】「地方創生」は地方衰退への近道 ~虚構のアベノミクス~」
「【古賀茂明】【原発】原子力ムラの最終兵器」
「【古賀茂明】【原発】凍らない凍土壁に税金を投入し続けたわけ」
「【古賀茂明】【原発】勝俣恒久・元東電会長らの起訴 ~検察審査会~」
「【古賀茂明】安倍政権の武器輸出 ~時代遅れの「正義の味方」~」
「【古賀茂明】またも折れそうな第三の矢 ~医薬品ネット販売解禁の大嘘~」
「【古賀茂明】「1年後の夏」に向けた布石 ~集団的自衛権~」
「【古賀茂明】法人減税で浮き彫りにされる本当の支配者 ~官僚と経団連~」
「【古賀茂明】都議会「暴言問題」の真実 ~記者クラブによる隠蔽~」
「古賀茂明】集団的自衛権とワールドカップ」
「【古賀茂明】野党再編のカギは「戦争」」
「【古賀茂明】電力会社の歪んだ「競争」 ~税金をもらって商売~」
「【原発】【古賀茂明】規制委員会人事とメディアの責任」
「【古賀茂明】医師と官僚の癒着の構造」
「【古賀茂明】電力会社「値上げ救済」の愚 ~経営難は自業自得~」
「【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~」
「【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~」
「【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~」
「【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~」
「【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~」
「【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~」
「【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働」
「【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~ 」
「【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~」
「【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~」
「【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~」
「【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと」
「【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~」
「【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~」
「【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~」