語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【経済】カジノよりずっとあくどい「胴元」が牛耳る日本のギャンブル

2014年11月10日 | 社会
 カジノでは掛けたカネの一部が胴元に流れる。その一部のことをテラ銭といい、テラ銭の割合を控除率という。韓国のカジノでは、ゲームによって若干の違いはあるが、控除率は5%前後だ。
 <例>1,000円を掛ければ、50円前後が胴元=カジノにとられ、残りが配分される。以後も5%ずつ胴元のフトコロに収まっていく。

 日本では、刑法が賭博を禁じているにも拘わらず、巷には博打が溢れかえっている。競馬、競輪、競艇、オートレースといった公営ギャンブルに加えて、パチンコ、宝くじだって立派な賭博だ。
 その控除率たるや、パチンコはおおむね十数%とされ、競艇といった公営ギャンブルは25%。宝くじの控除率に至っては何と50%。
 しかも、公営ギャンブルの巨大利権は、各省庁の役人がガッチリ握り、関係団体への天下りといった形で甘い汁を吸い上げている。
 <例>パチンコ・・・・近年は警察の利権と化し、関係団体が警察官僚の天下り先になっている。

 かくのごとく、日本のギャンブルは悪徳博打だ。
 こんなものに貴重なカネを捨てるお人好しはいない・・・・はずなのだが、それどころか、日本全体のギャンブル(競馬やパチンコなど)の粗利益は合計3兆6千億円。ギャンブル都市マカオの粗利益が4兆7千億円だから、日本も立派なギャンブル大国だ。
 「ギャンブル依存症」の疑いのある人の数は、推計で成人の4.8%(536万人)。これは米国の1.6%や韓国の0.8%に比べて格段に高い。

 そんな日本で今、カジノを含む統合型リゾート(IR)の導入をめざす法案(いわゆるカジノ法案)が検討され、賛否両論が巻き起こっている【注】。
 政権、与党幹部、地方自治体の長らは「経済効果」の喧伝に躍起となり、反対派は「ギャンブル依存症や治安悪化などの悪弊を考慮すべきだ」と批判する。

 反対派の声にも一理あるが、親方日の丸のボッタクリ賭博をのさばらせ、大量の「ギャンブル依存症」を生み出しつつ、いまさら「悪弊」といっても聞く者は鼻白む。なんだかカマトトっぽい。
 それよりも、この際、公営ギャンブルを含めた賭博のありようを再検討し、異様に高い控除率や役人の利権に根本的なメスを入れてみてはどうか。
 チャレンジの価値はある。 

 【注】閣僚スキャンダルが続出し、政府提出法案ですら見通しが立たない中、議員立法による法案処理が難しくなり、安倍が「成長戦略の目玉」と位置づけた通称カジノ法案の成立はなくなった。【後藤謙次「内閣改造の失敗で環境一変 カジノ法案も成立は困難に ~永田町ライブ 216~」(「週刊ダイヤモンド」2014年11月8日号)】

□青木理「カジノよりずっとあくどい「胴元」が牛耳る日本のギャンブル ~ジャーナリストの目 第227回~」(「週間金曜日」2014年11月15日号)
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コメント (1)
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