アベノミクスが失敗し、安倍政権は追い詰められた【注】。
7~9月期GDPマイナス・ショックがこれを決定的なものにした。
ただでさえ、
・集団的自衛権容認
・特定秘密保護法
・武器輸出解禁
・原発再稼働
などに反対の有権者は多数を占める。
それに加えて、看板政策であるアベノミクスが失敗となれば、安倍政権の致命傷になってもおかしくはない。
安倍首相はしかし、今、この劣勢からの大逆転を夢見ている。野党の選挙態勢がまったく整わないうちに、奇襲解散総選挙で寝首をかこう、というわけだ。
今のところ、その戦略は当たっている。
自民党がダメだとしても、一体、誰に投票したらいいのか見当がつかず、やはり自民党しかないのか、と途方にくれる有権者が多いのだ。
そこで、政党ごとに評価をし直してみる。選挙に向けて。
(1)自民党
日本経済がここまで低迷したのは、1990年代からの自民党政治のせいだ。
官僚主導的政治で、農協、医師会、電力会社などの既得権と癒着して、成長のために必要な改革、思い切った改革ができず、「失われた20年」を作ってしまった。
返り咲いた安倍政権は、表面的には変わったように見えた。
しかし、第三の矢と称する成長戦略はちっとも出てこなかった。理由は、昔の自民党と全く同じ。これから先も、変われる見込みはない。
となれば、タカ派政策の賛否以前に、安倍自民党は選択肢から外れる。
(2)公明党
安倍自民党を助ける公明党に、未来はない。
(3)民主党
政権にあった3年間、何の改革もできなかった。信用できない。
経済政策以外でも、電力総連の圧力で大飯原発を再稼働させ、原発ゼロの閣議決定もできなかった。
連合に迎合して、公務員改革も逆行。
安保政策でも党内はバラバラ。安倍首相と同じくらいのタカ派も多い。
(4)維新の党
改革派が多い。
しかし、タカ派が多数派で、安倍政権の暴走の歯止め役にはなりにくい。結いの党出身のメンバーにはハト派が多いが、圧倒的少数派だ。
党内の旧・大阪維新の会メンバーは、大飯原発再稼働を叫んで橋下徹・大阪市長を再稼働容認に転向させた実績がある。脱原発政策も大いに不安だ。
(5)共産党
ハト派としてはもっとも安心できそうだが、同党に日本経済を任せるとバラマキ政策で日本が破綻してしまう不安がある。
(6)その他
みんなの党は解党する。(3)~(5)を除く野党は、存在感が全くない。
今回は棄権したい、と思う人も多いだろう。
しかし、棄権が増えれば、組織票中心の自民党勝利に手を貸すことになる。
その結果、
・原発再稼働
・集団的自衛権行使
・特定秘密保護法施行
・武器輸出
・原発輸出
・残業代ゼロ
・派遣拡大
・・・・などの安倍政権の不人気政策全てにお墨付きを与えてしまう。
「全部国民の承認を得た」と胸を張る安倍首相の姿を想像してみたまえ。背筋が寒くならないか。
棄権は絶対ダメだ。
安倍政権の暴走を止めると同時に、日本経済の成長を実現してくれる政治を夢見る有権者は、「八方ふさがり」の状況だ。では、どうすればいいか。
政党で選ぶのは諦めたほうがいい。
一方、野党の中に少数だが、「改革はするけれども戦争はしない」と思える政治家を探すことは可能だ。
・原発再稼働に無条件で反対と言えるか。
・ペルシャ湾での機雷掃海もダメと言えるか。
抽象的な文言ではなく、具体的な踏み絵を踏ませよう。
最悪、納得できなくても、今回は仕方ない。ダメな順に消去していって、最後に残った候補に目をつぶって投票する。「我慢の選挙」だ。
そして、選挙の後に、彼らを集めて新たな形の野党再編につなげるのだ。
【注】
「【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走」
「【政治】解散の裏にある動き ~妄想と暴走~」
「【政治】安倍晋三の最大リスクは健康不安 ~個利個略&失政・疑惑隠し選挙~」
「【政治】巨大脱税疑惑隠しの自分勝手解散 ~安倍晋三~」
□古賀茂明「総選挙を棄権するつもりの人へ ~官々愕々第133回~」(「週刊現代」2014年12月6日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走」
「【古賀茂明】文書通信交通滞在費と維新の法案」
「【古賀茂明】宮沢経産相は「官僚の守護神」 ~原発再稼働~」
「【古賀茂明】再生エネルギー買い取り停止の裏で」
「【古賀茂明】女性活用に本気でない安部政権」
「【古賀茂明】【原発】中間貯蔵施設で官僚焼け太り」
「【古賀茂明】御嶽山で多数の死者が出た背景 ~政治家の都合、官僚と学者の利権~」
「【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~」
「【古賀茂明】イスラム国との戦争 ~集団的自衛権~」
「【古賀茂明】「地方創生」は地方衰退への近道 ~虚構のアベノミクス~」
「【古賀茂明】【原発】原子力ムラの最終兵器」
「【古賀茂明】【原発】凍らない凍土壁に税金を投入し続けたわけ」
「【古賀茂明】【原発】勝俣恒久・元東電会長らの起訴 ~検察審査会~」
「【古賀茂明】安倍政権の武器輸出 ~時代遅れの「正義の味方」~」
「【古賀茂明】またも折れそうな第三の矢 ~医薬品ネット販売解禁の大嘘~」
「【古賀茂明】「1年後の夏」に向けた布石 ~集団的自衛権~」
「【古賀茂明】法人減税で浮き彫りにされる本当の支配者 ~官僚と経団連~」
「【古賀茂明】都議会「暴言問題」の真実 ~記者クラブによる隠蔽~」
「古賀茂明】集団的自衛権とワールドカップ」
「【古賀茂明】野党再編のカギは「戦争」」
「【古賀茂明】電力会社の歪んだ「競争」 ~税金をもらって商売~」
「【原発】【古賀茂明】規制委員会人事とメディアの責任」
「【古賀茂明】医師と官僚の癒着の構造」
「【古賀茂明】電力会社「値上げ救済」の愚 ~経営難は自業自得~」
「【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~」
「【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~」
「【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~」
「【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~」
「【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~」
「【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~」
「【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働」
「【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~ 」
「【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~」
「【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~」
「【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~」
「【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと」
「【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~」
「【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~」
「【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~」
7~9月期GDPマイナス・ショックがこれを決定的なものにした。
ただでさえ、
・集団的自衛権容認
・特定秘密保護法
・武器輸出解禁
・原発再稼働
などに反対の有権者は多数を占める。
それに加えて、看板政策であるアベノミクスが失敗となれば、安倍政権の致命傷になってもおかしくはない。
安倍首相はしかし、今、この劣勢からの大逆転を夢見ている。野党の選挙態勢がまったく整わないうちに、奇襲解散総選挙で寝首をかこう、というわけだ。
今のところ、その戦略は当たっている。
自民党がダメだとしても、一体、誰に投票したらいいのか見当がつかず、やはり自民党しかないのか、と途方にくれる有権者が多いのだ。
そこで、政党ごとに評価をし直してみる。選挙に向けて。
(1)自民党
日本経済がここまで低迷したのは、1990年代からの自民党政治のせいだ。
官僚主導的政治で、農協、医師会、電力会社などの既得権と癒着して、成長のために必要な改革、思い切った改革ができず、「失われた20年」を作ってしまった。
返り咲いた安倍政権は、表面的には変わったように見えた。
しかし、第三の矢と称する成長戦略はちっとも出てこなかった。理由は、昔の自民党と全く同じ。これから先も、変われる見込みはない。
となれば、タカ派政策の賛否以前に、安倍自民党は選択肢から外れる。
(2)公明党
安倍自民党を助ける公明党に、未来はない。
(3)民主党
政権にあった3年間、何の改革もできなかった。信用できない。
経済政策以外でも、電力総連の圧力で大飯原発を再稼働させ、原発ゼロの閣議決定もできなかった。
連合に迎合して、公務員改革も逆行。
安保政策でも党内はバラバラ。安倍首相と同じくらいのタカ派も多い。
(4)維新の党
改革派が多い。
しかし、タカ派が多数派で、安倍政権の暴走の歯止め役にはなりにくい。結いの党出身のメンバーにはハト派が多いが、圧倒的少数派だ。
党内の旧・大阪維新の会メンバーは、大飯原発再稼働を叫んで橋下徹・大阪市長を再稼働容認に転向させた実績がある。脱原発政策も大いに不安だ。
(5)共産党
ハト派としてはもっとも安心できそうだが、同党に日本経済を任せるとバラマキ政策で日本が破綻してしまう不安がある。
(6)その他
みんなの党は解党する。(3)~(5)を除く野党は、存在感が全くない。
今回は棄権したい、と思う人も多いだろう。
しかし、棄権が増えれば、組織票中心の自民党勝利に手を貸すことになる。
その結果、
・原発再稼働
・集団的自衛権行使
・特定秘密保護法施行
・武器輸出
・原発輸出
・残業代ゼロ
・派遣拡大
・・・・などの安倍政権の不人気政策全てにお墨付きを与えてしまう。
「全部国民の承認を得た」と胸を張る安倍首相の姿を想像してみたまえ。背筋が寒くならないか。
棄権は絶対ダメだ。
安倍政権の暴走を止めると同時に、日本経済の成長を実現してくれる政治を夢見る有権者は、「八方ふさがり」の状況だ。では、どうすればいいか。
政党で選ぶのは諦めたほうがいい。
一方、野党の中に少数だが、「改革はするけれども戦争はしない」と思える政治家を探すことは可能だ。
・原発再稼働に無条件で反対と言えるか。
・ペルシャ湾での機雷掃海もダメと言えるか。
抽象的な文言ではなく、具体的な踏み絵を踏ませよう。
最悪、納得できなくても、今回は仕方ない。ダメな順に消去していって、最後に残った候補に目をつぶって投票する。「我慢の選挙」だ。
そして、選挙の後に、彼らを集めて新たな形の野党再編につなげるのだ。
【注】
「【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走」
「【政治】解散の裏にある動き ~妄想と暴走~」
「【政治】安倍晋三の最大リスクは健康不安 ~個利個略&失政・疑惑隠し選挙~」
「【政治】巨大脱税疑惑隠しの自分勝手解散 ~安倍晋三~」
□古賀茂明「総選挙を棄権するつもりの人へ ~官々愕々第133回~」(「週刊現代」2014年12月6日号)
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【参考】
「【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走」
「【古賀茂明】文書通信交通滞在費と維新の法案」
「【古賀茂明】宮沢経産相は「官僚の守護神」 ~原発再稼働~」
「【古賀茂明】再生エネルギー買い取り停止の裏で」
「【古賀茂明】女性活用に本気でない安部政権」
「【古賀茂明】【原発】中間貯蔵施設で官僚焼け太り」
「【古賀茂明】御嶽山で多数の死者が出た背景 ~政治家の都合、官僚と学者の利権~」
「【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~」
「【古賀茂明】イスラム国との戦争 ~集団的自衛権~」
「【古賀茂明】「地方創生」は地方衰退への近道 ~虚構のアベノミクス~」
「【古賀茂明】【原発】原子力ムラの最終兵器」
「【古賀茂明】【原発】凍らない凍土壁に税金を投入し続けたわけ」
「【古賀茂明】【原発】勝俣恒久・元東電会長らの起訴 ~検察審査会~」
「【古賀茂明】安倍政権の武器輸出 ~時代遅れの「正義の味方」~」
「【古賀茂明】またも折れそうな第三の矢 ~医薬品ネット販売解禁の大嘘~」
「【古賀茂明】「1年後の夏」に向けた布石 ~集団的自衛権~」
「【古賀茂明】法人減税で浮き彫りにされる本当の支配者 ~官僚と経団連~」
「【古賀茂明】都議会「暴言問題」の真実 ~記者クラブによる隠蔽~」
「古賀茂明】集団的自衛権とワールドカップ」
「【古賀茂明】野党再編のカギは「戦争」」
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「【古賀茂明】医師と官僚の癒着の構造」
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「【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~」
「【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~」
「【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~」
「【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~」
「【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~」
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「【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~」
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「【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~」
「【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと」
「【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~」
「【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~」
「【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~」