<日本の政治・社会の行方を考えると、まだまだ森友問題に対する徹底した追求が必要ではないか。そう思っていた矢先、作家・中島京子氏の毎日新聞への寄稿(4月2日朝刊・コラム「時代の風」)を読み、裨益するところ、大きなものがあった。
「子どもたちが「教育勅語」を唱和する姿は、まさに『洗脳』という言葉を思わせて背筋が凍った」。「事件に関連して名前の挙がった人たちは、みなこの塚本幼稚園の教育を知って・・・・賛同していたという。昭恵氏は(そこでの)講演で、この幼稚園で培われた芯が、公立の小学校へ行って損なわれてしまう危険がある、だから「瑞穂の國記念小学校」が必要だという旨の発言をしていた。首相の妻が、日本の公教育を否定しているわけで、私は、100万円を寄付するより深刻だと思っている」。「私たちが「昭恵氏は私人か公人か」などというさまつなことにとらわれているうちに、気がつくと日本国中が森友学園みたいな学校だらけになっているのではないかと想像して、私は怖い。森友問題が重要なのは、その危険を私たちに教える事件だったからなのだ」>
【注】中島京子(作家)「森友問題の本質 ~時代の風~」(毎日新聞 2017年4月2日 東京朝刊)
「森友問題の本質 ~時代の風~」
<(前略)もう一つ、戦時中よく使われた言葉を紹介したい。「暴支膺懲(ぼうしようちょう)」というもので、「暴れる支那を懲らしめる」という意味だ。日本が戦争を始める理由として使ったのがこの言葉だった。塚本幼稚園の園児宣誓と似ている。
私が恐ろしいのは、戦時中の思想に帰ろうとする政治運動に賛同している人たちが、日本の教育を変えようとしている事実、そのものだ。関与が取りざたされた政治家の誰一人として、「教育勅語」を否定しなかった。それどころか擁護発言が相次いだ。園児たちのヘイトスピーチを批判する発言も、なかった。籠池泰典氏がしつこいとかうそつきとかいう話は出たし、森友学園の経営や設置認可をめぐる強引さにも批判が集中したが、教育方針を批判した発言は、渦中の政治家からは出なかった。
政権の中枢にある政治家、官僚、民間企業(学校法人)が、ある偏ったイデオロギーに染まり、国民の共有財産の使い方を勝手に決めて、「彼ら」の信奉するイデオロギー教育を実践する施設を作ろうとしていた。そういう事件に私には見える。かつて、「教育勅語」を掲げ、「暴支膺懲」を叫び、戦争に突き進んだ過去を持つこの国で。(後略)>
□神保太郎「メディア批評 第114回」(「世界」2017年月号)の「(1)「森友問題」・共謀罪--本質見抜き、社会を守れ」から引用
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【参考】
「【神保太郎】「見たいもの」だけ報じるメディア ~パラリンピック、首相とともに海をわたる「記者クラブ」~」
「【メディア】批評by神保太郎 ~参院選後--メディアは国民をどこに誘うのか~」
「【メディア】日本国憲法の国際性 ~人権無法国家ニッポンの落日(2)~」
「【メディア】人権無法国家ニッポンの落日」
「【メディア】現場主義が薄情な安倍政治をストップ ~「日本死ね!!!」(2)~」
「【メディア】「日本死ね!!!」という立憲・民主主義 ~ネットの力~」
「【メディア】安倍政権による行政指導の誤り ~放送電波停止発言~」
「【メディア】官邸癒着メディアと「機敏な反撃」(2) ~新聞と原子力ムラ~」
「【メディア】官邸癒着メディアと「機敏な反撃」(1) ~新聞と官邸~」
「【メディア】“愚者の砦”と化したNHK(2) ~かすかな希望~」
「【メディア】“愚者の砦”と化したNHK(1) ~強行採決を中継しない不作為~」
「【メディア】と広がる安倍政権追撃の戦線(4) ~読売・NHKは?~」
「【メディア】と広がる安倍政権追撃の戦線(3) ~新聞はどう報じたか~」
「*」
「【メディア】と広がる安倍政権追撃の戦線(2) ~違憲が争点に~」
「【メディア】と広がる安倍政権追撃の戦線(1) ~SNS上の痛烈な批判~」
「【メディア】集票キャンペーンの検証が課題 ~橋下劇場の終幕~」
「【メディア】とTPPの「壁」を突き崩す調査報道(2)」
「【メディア】とTPPの「壁」を突き崩す調査報道」
「【政治】「国連憲章」再読 ~安倍事態(アベノリスク)(2)~」
「【政治】どんどん言葉が死んでいく ~安倍事態(アベノリスク)~」
「【沖縄】をメディアはどう報道しているか(2) ~翁長知事の訪米~」
「【沖縄】をメディアはどう報道しているか(1) ~翁長知事冒頭発言~」
「【テレビ】に対する政権の圧力(2) ~テレ朝問題(9)~」
「【テレビ】に対する政権の圧力(1) ~テレ朝問題(8)~」
「【新聞】活字文化没落の序曲 ~朝日叩き~」
「【新聞】再生の出発点は現場 ~経営判断を誤ったジャーナリズム~」
「【新聞】記者の質問能力の低下 ~朝日新聞社長の記者会見~」
「【新聞】頑張る地方紙 ~「与党メディア」への対抗~」
「【新聞】分断される中央紙 ~「与党メディア」の勃興~」
「【NHK】「クローズアップ現代」事件 ~メディア・スキャンダル~」
「【NHK】が権力に隷従 ~「ニュースウォッチ9」~」
「【NHK】が危ない! ~組織に漂う負の雰囲気~」
「【政治】「第三の矢」の実態 ~アベノミクスの末路~」
「【集団的自衛権】とイラク情勢」
「【NHK】波乱の「籾井新体制」スタート ~「世界」のメディア批評~」
「【NHK】誤報の隠蔽 ~タガのはずれた安部政権~」
「【NHK】呆れた新会長会見、幼稚で傲慢な偏向報道」
「【新聞】経営者の関心は秘密保護法より軽減税率」
「【政治】安倍“異次元”政権の思想と行動 ~「馬脚をあらわす」兆候~」
「【政治】選挙目当ての「所得倍増計画」 ~検証が必要~」
「【政治】見えてきた安部政権自壊のシナリオ ~生放送の威力~」
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【注】中島京子(作家)「森友問題の本質 ~時代の風~」(毎日新聞 2017年4月2日 東京朝刊)
「森友問題の本質 ~時代の風~」
<(前略)もう一つ、戦時中よく使われた言葉を紹介したい。「暴支膺懲(ぼうしようちょう)」というもので、「暴れる支那を懲らしめる」という意味だ。日本が戦争を始める理由として使ったのがこの言葉だった。塚本幼稚園の園児宣誓と似ている。
私が恐ろしいのは、戦時中の思想に帰ろうとする政治運動に賛同している人たちが、日本の教育を変えようとしている事実、そのものだ。関与が取りざたされた政治家の誰一人として、「教育勅語」を否定しなかった。それどころか擁護発言が相次いだ。園児たちのヘイトスピーチを批判する発言も、なかった。籠池泰典氏がしつこいとかうそつきとかいう話は出たし、森友学園の経営や設置認可をめぐる強引さにも批判が集中したが、教育方針を批判した発言は、渦中の政治家からは出なかった。
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【参考】
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