語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】稲妻は農作物にいい

2017年06月11日 | 医療・保健・福祉・介護
 高校の化学の授業で「北関東は落雷が多いので、農作物がよくできる」と聞いたことがあった。雷が起こると、その放電エネルギーにより、大気中の窒素がイオン化して雨とともに地面に降り注ぐ。雷の多い地域は、土中に窒素成分が多くなり、肥料分の多い肥えた土地になるというしくみのようだ。
 「稲妻」は「稲の夫(つま)」であり、イネが実る時期に雷がイネを育てるという意味があるという。本当に北関東に雷が多いのか、気象庁「雷の観測と統計」から年間の雷日数を見てみた。確かに宇都宮(栃木県)の雷日数は、全国10位に入っているが、年間の雷日数の多いのは東北から北陸地方にかけての日本海沿岸となっている。
 しかしこれを月別に見ると、日本海側では11月から2月までが多い。一方、宇都宮では、5月から8月と農作物の育つ時期に多くなっていた。前橋(群馬県)、熊谷(埼玉県)など関東の内陸部は夏の雷が多い。
 雷は農作物にはいいが、人には被害をもたらす。大きな建物やバス、電車などの乗り物に避難すると安全だという。

□南雲つぐみ(医学ライター)「稲妻の利点 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年6月3日)を引用
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【健康歳時記】梅雨のだるさ対策 ~6月11日は入梅~

2017年06月11日 | 医療・保健・福祉・介護
 ことしは梅雨入りが早いが、暦の上では今日が「入梅」。
 梅雨どきは、晴れたり曇ったりで、気温や湿度の変化が激しく、体調不良に陥りやすい。ぐずついた天候から、なんともいえないだるさやユーウツさを感じるものだ。
 これは新陳代謝、ホルモン分泌の乱れや、自律神経がうまく働かなくなることから発生する。頭痛や食欲不振になり、気がつけば風邪をひいていた、なんてことも。
 人の体は気候の変化に合わせて、体温を調整するようにできている。だがそれは、気候の変化に少し遅れてついていくので、気温に加えて湿度も急激に変わりやすいこの梅雨の時期は、一年の中でも最もだるさを感じやすい。
 こうした天候の寒暖に対応するためには、まず衣類で調整するのがいい。また、太陽が出ているときはしっかり当たって体内時計を整え、良質の睡眠を得ること。入浴で汗をかき、たまった疲れやだるさをリセットすることだ。

□「梅雨のだるさ対策 ~健康歳時記~」(「日本海新聞」 2017年6月11日)を引用
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【佐藤優】【加計学園疑惑】官邸最高レベル指示を「闇文書」にした理由

2017年06月11日 | ●佐藤優
 (1)加計学園問題で、5月17日付け「朝日新聞」は、同学園の新学部設立が安倍首相の意向を汲んだものである文書の存在をスクープした。
 <朝日新聞が入手した一連の文書には、「10/4」といった具体的な日付や、文科省や首相官邸の幹部の実名、「加計学園」という具体名が記されたものもある。加計学園による獣医学部計画の経緯を知る文科省関係者は取材に対し、いずれも昨年9~10月に文科省が作ったことを認めた。また、文書の内容は同省の一部の幹部らで共有されているという。
 文書のうち、「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」という題名の文書には、「平成30年(2018年)4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」と記載。そのうえで「これは官邸の最高レベルが言っていること」と書かれている。
 また、別の「大臣ご指示事項」との文書には、冒頭に「内閣府に感触を確認してほしい」とあり、加計学園が求めている獣医学部の18年4月の開学について、松野博一文科相が「大学として教員確保や施設設備等の設置認可に必要な準備が整わないのではないか。平成31年(2019年)4月開学を目指した対応とすべきではないか」とし、18年の開学は難しいとする考えを示したことが記載されている。>【注1】

 (2)このスクープ記事が出た5日後の5月22日、「讀賣新聞」朝刊が前川喜平・前文部科学事務次官が新宿歌舞伎町の出会い系バーに通っていたことを報道した。5月25日、前川氏は会見を行い、出会い系バーに行ったことを認めた上で、「女性の貧困について、ある意味実地の視察調査の意味合いがあった」と奇妙な釈明をした。
 官邸もしくはその意向を受けた政府筋が「讀賣」に前川氏の「破廉恥行為」に関する情報をリークし、「こんな人間の言うことは信用できない」という信用失墜工作を展開している、と目される。高級官僚の動静を公安警察が観察し、その情報を時の権力の意向に従って流す。
 このような手法は民主国家と馴染まない。

 (3)問題となっている文書について、首相官邸と文部科学省は嘘をつき通すつもりであるらしかった。
 <松野博一文部科学相は5日午前の衆院決算行政監視委員会で、加計学園の獣医学部新設問題をめぐり、文科省内で「官邸の最高レベルが言っている」などと伝えられた文書を共有していたとされる問題について、「文書の出所や入手経緯が明らかにされず、改めて調査を行うことは考えていない」と述べ、再調査を拒否した。民進党の今井雅人氏に答えた。(中略)
 加計学園の獣医学部新設問題で民進党は2日、文科省内で、内閣府から首相官邸の意向を踏まえて手続きを急ぐことを求められた文書が共有されていたことを示すとみられるメールを入手したと公表した。(中略)
 松野氏は先月19日、文科省が内閣府から「総理のご意向」などと言われたとする文書について「該当する文書の存在は確認できなかった」とする調査結果を発表。その後も前川喜平・前文科事務次官が記者会見などで、「文書は間違いない」「行政がゆがめられた」と証言したが、松野氏は「再調査は必要ない」として、野党の調査要求を拒否している。>【注2】

 (3)官僚はどんな状況において、正式の書式に則らない文書をあえて作成するのか。以下、外務省の事例だが、他の中央官庁でも事情は似たようなものだろう。
 外務省の文書は、公電(公務で用いる電報)、決裁書、報告・供覧、その他の調書、資料などに分かれる。
 首相官邸から幹部が話を聞いたときは、通常、報告・供覧という書式の文書を作成する。緑色の表紙の右側に主管課(室)の名称と起案者の名字と内線番号を記す。中央上に、当該文書を主管する局長以下幹部役職者のゴム印を押す(〈例〉北方領土問題・・・・欧州局長、(欧州局)審議官、ロシア課長、(ロシア課)首席事務官)。左側に大臣、副大臣、政務官、事務次官、(外務)審議官、官房長という役職があらかじめ印刷してある。回覧する必要のない役職者名に二重線を引く。さらに、回覧の必要がある役職者(国際法局長、北米局長など)の役職者印を押す。表紙の中央より若干下の場所に件名という欄があり、そこに事柄の重要性がわかる件名を記す(〈例〉「国後島における経済活動に関する〇〇総理補佐官からの要望」)。件名の下に要旨を記す。最後に右上の欄に秘密指定を示すゴム印を押す。通常は「秘(無期限)」だが、首相官邸幹部からの要請の場合は「極秘」となる場合も多い。極秘文書の場合、通し番号がつけられる(〈例〉「〇〇部の内××番」)。そして、原簿が作成される。実際にはコピーが配布されるが、回覧をチェックした後(外務省では印鑑ではなくサインが習慣になっていて、局長以上の幹部では花押のようなサインをする人が多い)、書類は作成した課に戻る。起案者は、読了のサインがついた表紙を原本と共にファイルに保存し、それ以外の文書は焼却(極秘の場合はシュレッダーにかけた上で焼却)する。

 (4)このような正規の手続きを踏まない「闇文書」が稀に作成されることがある。それは、万一流出したら深刻な事態になることが想定される内容の文書だ。
 〈例〉北方領土交渉に係るきわめて機微に触れる情報、外国インテリジェンス機関が非合法でな手段で入手した某国政府内部の情報、他省庁の動静に関する調査報告書、政治家から不当な要請がなされた場合。
 特に政治家に関連する文書については、外務省の幹部には、それぞれ庇護者となる政治家がいる。だから、この種の文書が政治家に流れる可能性がある。文書の内容によっては、露見すると首相官邸や有力政治家から「なんでこんな話を記録に残したんだ。内々に処理すればいいじゃないか」と圧力がかけられる場合がある。そのときに備えて、日付だけを書いて、主管課名も起案者名も書かないことがある。
 このようにして「詠み人知らず」の「怪文書型公文書」ができる。表に出ることになっても、出所不明の文書で確認不能」という話で、首相官邸も文書を作成した官庁も逃げることができる。
 どの省庁もこの種の「闇文書」を作成している。
 しかし、こうした「闇文書」は大きな間違いだ。なぜなら、外務省が持つ情報は、原則としてすべての主権者(国民)のものだからだ。官僚はこの情報を誠実に管理することが国民から委託されている。
 文科省が「これは官邸の最高レベルが言っていること」と記された文書を「闇文書」としたのは、この要請が不当だという認識があったからだ。

 【注1】記事「加計学園の新学部「総理のご意向」 文科省に記録文書」(朝日新聞デジタル 2017年5月17日)
 【注2】記事「「官邸の最高レベル」文書、文科相が再調査を拒否」(朝日新聞デジタル 2017年6月5日)

□佐藤優「官邸最高レベル指示を「闇文書」にした理由 ~飛耳長目 第132回~」(「週刊金曜日」2017年6月9日号)
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 【参考】
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【佐藤優】「イスラム国」の延命 ~米軍のシリア攻撃が可能にした~
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【佐藤優】トランプ大統領とロシアなら取引は可能だ ~ロシア~
【佐藤優】金正恩はなぜ金正男を殺したのか? ~その「内在論理」~
【佐藤優】盤石な北朝鮮の権力基盤を弱める ~金正男暗殺~
【佐藤優】沖縄報道の植民地主義的な認識 ~朝日新聞~
【佐藤優】マティス国防長官来日/尖閣は安保適用の範囲/北方領土との整合性は
【佐藤優】露外交官の追放問題に見るトランプ氏の能力
【佐藤優】北方領土交渉に必要な反日ロビー活動の封印
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【佐藤優】ウズベキスタンにIS流入の危険 ~カリモフ大統領死去~
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【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
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【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 
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