《甲》創味食品「創味のつゆ」・・・・カラメル色素は着色や風味目的で添加される食品添加物。4種類の製造方法があり、Ⅰは従来の方法で問題はないが、Ⅱ・Ⅲ・Ⅳはアンモニウム化合物や亜硫酸化合物で生成され、変異原性や染色体異常、ビタミンB破壊などの問題点が指摘されている。カラメル色素の表記からは、どのカラメルが使用されているか不明で不安。
《乙》キッコーマン食品「濃いだし 本つゆ」・・・・添加物扱いではないが、使用されているブドウ糖果糖液糖は砂糖よりもさわやかな甘味を持ち、血糖値の急上昇が懸念されている成分。添加されているアルコールは防腐目的と推定される。
《丙》にんべん「つゆの素」・・・・一括名表示の酸味料が添加されている。使用が認められている成分には、染色体異常や下痢、未熟児への中毒などの指摘もあり、どの成分が使われているか分からないという不安がある。
《丁》ヤマキ「鰹節屋のだし めんつゆ」・・・・《乙》と同様、ブドウ糖果糖液糖が使われ、さらにたん白加水分解物が使用されている。たん白加水分解物は化学反応によって作られる物質。塩酸や酵素で加水分解して作られ、塩酸の場合は天然に存在しないさまざまな物質が生まれ、酵素の場合は安全性の確認されない不純物の問題がある。
(1)麺の温・冷つゆ、丼物、天つゆ、おでん、煮物、鍋物など、和食メニューに欠かせない「めんつゆ」。原液を希釈すれば煮物でもおでんでも、いとも簡単に作れる。だが、その裏がある。
《甲》から《丁》は、希釈用で使用法はほぼ同じ。違いがあるとすれば、値段と原材料。
共通して使われている材料は、醤油、砂糖、食塩、調味料(アミノ酸等)だ。醤油、砂糖、食塩は食品で、調味料(アミノ酸等)は合成添加物だ。
調味料(アミノ酸)は実に多くの食品に添加されており、昨今、添加されていない食品を探すのは困難だ。そんなに多くの食品に添加されているのに、なぜこの商品を買ってはいけないかというと、「つゆ」は和食の基本となる調味料だからだ。菓子や飲料などの嗜好食品と異なり、家庭での使用頻度がきわめて高い。醤油代わりの利用も勧められており、和食料理はこの「つゆ」1本で作ることができるといっても過言ではないほど、家庭での使用機会が多い。使用機会が多いということは、そこに含有されている添加物を多く摂取することにつながり、健康被害が懸念される。
(2)「調味料(アミノ酸)」の健康被害の始まりは、1960年代の米国で発表された「中華料理店症候群」だ。アミノ酸の主たる成分は「グルタミン酸ナトリウム(MSG:Monosodium Glutamate)」で、昆布のうま味成分だ。当時、MSGを多量に使う中華料理店で腕や首のしびれ、頭痛などの症状が発生し、社会問題となった。多量摂取が原因とわかり、改善されたが、その後「調味料(アミノ酸)」が添加されている食品を多食すると、痛風を引き起こす、乳幼児の脳細胞を損傷する、目の損傷、塩分の過剰摂取、食用油との加熱で変異原性物質発生・・・・などの懸念が次々と報告されている。
(3)「調味料(アミノ酸)」の多量摂取による塩分過多について。
アミノ酸の主成分MSGは、うま味と同時に塩味を和らげる働きを持っている。アミノ酸と一緒になると塩のトゲトゲした味はまろやかになり、塩分濃度が高くても塩辛さをあまり感じない。海水は塩辛く感じるが、海水よりはるかに塩分濃度が高い醤油は、そんなに塩辛く感じない。これは醤油に含まれる大豆由来のアミノ酸の働きによる。熟成の過程で生まれたアミノ酸が、塩味の緩和に働くためで、この作用は「アミノ酸による塩なれ効果」と呼ばれている。
塩分量が高くとも、MSGと一緒に摂ると塩辛さは和らぐ。さらにMSGは「グルタミン酸のナトリウム塩」なので、体内に入るとナトリウム(食塩に含まれる塩分の一部)として働く。つまり、「調味料(アミノ酸)」が添加されている「つゆ」は、原材料に食品として使われている食塩に、ナトリウムがプラスされることになる。
(4)塩分過多が高血圧を招き、動脈硬化を促進させるという因果関係はすでに認知度が高く、多くの人が塩分量に注意した食生活を実践している。しかし、塩味を和らげる「調味料(アミノ酸)」について無関心&無知であると、塩分を減らす努力をしていても、知らずに塩分過多になってしまう危険性が高いのだ。特に「つゆ」のように日常的に利用する調味料からの摂取量は、決して低いとはいえない。
MSGが添加されている「つゆ」をできるだけ摂らないためには、買ってはいけない。
ちなみに、1日の塩分摂取量の目標値は「男性8g未満、女性7g未満」(2015年版)と、基準は年々厳しくなっている。健康&美味の観点からも、基本の調味料は手作りがよい。素性の確かな食品で作る「濃縮つゆ」【注】は、希釈することでどんな和食料理にも対応でき、水を使わないので常温保存ができる。
【注】「濃縮つゆ」の作り方
●材料
かつお節(50g)、干しシイタケ(4~5個)、昆布(長さ15cmくらい3枚)、醤油(500ml)、みりん(500ml)
●作り方
①鍋に材料を全部入れて一晩置く。
②鍋ごと弱火にかけ、沸騰したら弱火のまま4~5分煮る。
③熱いうちに漉し、冷めたら清潔な容器に入れる(濃縮つゆ)。
④漉した後の材料に水5カップを加え、強火にかける。
⑤沸騰したら強火のまま4~5分煮る。
⑥熱いうちに漉し、冷めたら清潔な容器に入れる(二番つゆ)。
●メモ
・濃縮つゆは水を一滴も使用していないので常温で保存が可能(冷ます時はフタをすると水滴が落ちてしまうのでフタをしないで)。
・二番つゆは冷蔵庫で保存する。
・残ったかつお節は干して粉末に。干しシイタケと昆布は刻んで炊き込みご飯などに。
□沢木みずほ「毎日口にする和食こそ「めんつゆ」には頼らずに作りたい ~新買ってはいけない233~」(「週刊金曜日」2017年4月7日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【食】冬の強い味方「しょうが湯」は手作りがよい」
「【食】これは塩辛というより単なる「イカ和え」 ~添加物たっぷりの市販の塩辛~」
「【食】豆腐でない豆腐、添加物たっぷり ~目にも涼やかな枝豆豆腐~」
「【食】市販のトマトケチャップの添加物 ~原材料が問題~」
「【食】野菜不足解消によい「浅漬け」は添加物まみれ」
「【食】市販の「塩こんぶ」のうまみは昆布のうまみとは別もの」
「【食】「チャーハンの素」で健康被害 ~添加物~」
「【食】「とけるチーズ」 ~食品添加物満載のチーズもどき~」
「【食】赤色がよいか、褐色がよいか? ~ベーコン~」
「【食】植物油脂が超心配 ~塗るだけ簡単な「パン工房」~」
「【食】アイスクリームやキャラメルの抹茶色 ~着色料~」
「【食】気軽に使っていいのか? ~種類豊富な「麺だれ」~」
「【食】口当たりがよいタイプほど増える添加物 ~豆乳~」
「【食】復活した「魚肉ソーセージ」 ~添加物満載~」
「【食】「フレンチトーストのもと」に含まれる大量の添加物」
「【食】やはり添加物が多い市販品 ~栗甘露煮~」
「【食】市販品には添加物が多数 ~鮭フレーク~」
「【食】「チャーハンの素」で健康被害 ~添加物~」
「【食】農薬が添加物扱い ~バナナに使われるポストハーベト~」
「【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~」
「【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~」
「【食】塩酸処理と添加物多用 ~みかんの缶詰~」
《乙》キッコーマン食品「濃いだし 本つゆ」・・・・添加物扱いではないが、使用されているブドウ糖果糖液糖は砂糖よりもさわやかな甘味を持ち、血糖値の急上昇が懸念されている成分。添加されているアルコールは防腐目的と推定される。
《丙》にんべん「つゆの素」・・・・一括名表示の酸味料が添加されている。使用が認められている成分には、染色体異常や下痢、未熟児への中毒などの指摘もあり、どの成分が使われているか分からないという不安がある。
《丁》ヤマキ「鰹節屋のだし めんつゆ」・・・・《乙》と同様、ブドウ糖果糖液糖が使われ、さらにたん白加水分解物が使用されている。たん白加水分解物は化学反応によって作られる物質。塩酸や酵素で加水分解して作られ、塩酸の場合は天然に存在しないさまざまな物質が生まれ、酵素の場合は安全性の確認されない不純物の問題がある。
(1)麺の温・冷つゆ、丼物、天つゆ、おでん、煮物、鍋物など、和食メニューに欠かせない「めんつゆ」。原液を希釈すれば煮物でもおでんでも、いとも簡単に作れる。だが、その裏がある。
《甲》から《丁》は、希釈用で使用法はほぼ同じ。違いがあるとすれば、値段と原材料。
共通して使われている材料は、醤油、砂糖、食塩、調味料(アミノ酸等)だ。醤油、砂糖、食塩は食品で、調味料(アミノ酸等)は合成添加物だ。
調味料(アミノ酸)は実に多くの食品に添加されており、昨今、添加されていない食品を探すのは困難だ。そんなに多くの食品に添加されているのに、なぜこの商品を買ってはいけないかというと、「つゆ」は和食の基本となる調味料だからだ。菓子や飲料などの嗜好食品と異なり、家庭での使用頻度がきわめて高い。醤油代わりの利用も勧められており、和食料理はこの「つゆ」1本で作ることができるといっても過言ではないほど、家庭での使用機会が多い。使用機会が多いということは、そこに含有されている添加物を多く摂取することにつながり、健康被害が懸念される。
(2)「調味料(アミノ酸)」の健康被害の始まりは、1960年代の米国で発表された「中華料理店症候群」だ。アミノ酸の主たる成分は「グルタミン酸ナトリウム(MSG:Monosodium Glutamate)」で、昆布のうま味成分だ。当時、MSGを多量に使う中華料理店で腕や首のしびれ、頭痛などの症状が発生し、社会問題となった。多量摂取が原因とわかり、改善されたが、その後「調味料(アミノ酸)」が添加されている食品を多食すると、痛風を引き起こす、乳幼児の脳細胞を損傷する、目の損傷、塩分の過剰摂取、食用油との加熱で変異原性物質発生・・・・などの懸念が次々と報告されている。
(3)「調味料(アミノ酸)」の多量摂取による塩分過多について。
アミノ酸の主成分MSGは、うま味と同時に塩味を和らげる働きを持っている。アミノ酸と一緒になると塩のトゲトゲした味はまろやかになり、塩分濃度が高くても塩辛さをあまり感じない。海水は塩辛く感じるが、海水よりはるかに塩分濃度が高い醤油は、そんなに塩辛く感じない。これは醤油に含まれる大豆由来のアミノ酸の働きによる。熟成の過程で生まれたアミノ酸が、塩味の緩和に働くためで、この作用は「アミノ酸による塩なれ効果」と呼ばれている。
塩分量が高くとも、MSGと一緒に摂ると塩辛さは和らぐ。さらにMSGは「グルタミン酸のナトリウム塩」なので、体内に入るとナトリウム(食塩に含まれる塩分の一部)として働く。つまり、「調味料(アミノ酸)」が添加されている「つゆ」は、原材料に食品として使われている食塩に、ナトリウムがプラスされることになる。
(4)塩分過多が高血圧を招き、動脈硬化を促進させるという因果関係はすでに認知度が高く、多くの人が塩分量に注意した食生活を実践している。しかし、塩味を和らげる「調味料(アミノ酸)」について無関心&無知であると、塩分を減らす努力をしていても、知らずに塩分過多になってしまう危険性が高いのだ。特に「つゆ」のように日常的に利用する調味料からの摂取量は、決して低いとはいえない。
MSGが添加されている「つゆ」をできるだけ摂らないためには、買ってはいけない。
ちなみに、1日の塩分摂取量の目標値は「男性8g未満、女性7g未満」(2015年版)と、基準は年々厳しくなっている。健康&美味の観点からも、基本の調味料は手作りがよい。素性の確かな食品で作る「濃縮つゆ」【注】は、希釈することでどんな和食料理にも対応でき、水を使わないので常温保存ができる。
【注】「濃縮つゆ」の作り方
●材料
かつお節(50g)、干しシイタケ(4~5個)、昆布(長さ15cmくらい3枚)、醤油(500ml)、みりん(500ml)
●作り方
①鍋に材料を全部入れて一晩置く。
②鍋ごと弱火にかけ、沸騰したら弱火のまま4~5分煮る。
③熱いうちに漉し、冷めたら清潔な容器に入れる(濃縮つゆ)。
④漉した後の材料に水5カップを加え、強火にかける。
⑤沸騰したら強火のまま4~5分煮る。
⑥熱いうちに漉し、冷めたら清潔な容器に入れる(二番つゆ)。
●メモ
・濃縮つゆは水を一滴も使用していないので常温で保存が可能(冷ます時はフタをすると水滴が落ちてしまうのでフタをしないで)。
・二番つゆは冷蔵庫で保存する。
・残ったかつお節は干して粉末に。干しシイタケと昆布は刻んで炊き込みご飯などに。
□沢木みずほ「毎日口にする和食こそ「めんつゆ」には頼らずに作りたい ~新買ってはいけない233~」(「週刊金曜日」2017年4月7日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【食】冬の強い味方「しょうが湯」は手作りがよい」
「【食】これは塩辛というより単なる「イカ和え」 ~添加物たっぷりの市販の塩辛~」
「【食】豆腐でない豆腐、添加物たっぷり ~目にも涼やかな枝豆豆腐~」
「【食】市販のトマトケチャップの添加物 ~原材料が問題~」
「【食】野菜不足解消によい「浅漬け」は添加物まみれ」
「【食】市販の「塩こんぶ」のうまみは昆布のうまみとは別もの」
「【食】「チャーハンの素」で健康被害 ~添加物~」
「【食】「とけるチーズ」 ~食品添加物満載のチーズもどき~」
「【食】赤色がよいか、褐色がよいか? ~ベーコン~」
「【食】植物油脂が超心配 ~塗るだけ簡単な「パン工房」~」
「【食】アイスクリームやキャラメルの抹茶色 ~着色料~」
「【食】気軽に使っていいのか? ~種類豊富な「麺だれ」~」
「【食】口当たりがよいタイプほど増える添加物 ~豆乳~」
「【食】復活した「魚肉ソーセージ」 ~添加物満載~」
「【食】「フレンチトーストのもと」に含まれる大量の添加物」
「【食】やはり添加物が多い市販品 ~栗甘露煮~」
「【食】市販品には添加物が多数 ~鮭フレーク~」
「【食】「チャーハンの素」で健康被害 ~添加物~」
「【食】農薬が添加物扱い ~バナナに使われるポストハーベト~」
「【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~」
「【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~」
「【食】塩酸処理と添加物多用 ~みかんの缶詰~」