語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【片山善博】図書館の可能性を考える

2017年06月28日 | ●片山善博
★菅谷明子『未来をつくる図書館 ニューヨークからの報告』(岩波新書、2003)

 図書館を“暇人用の無料貸本屋”と揶揄する人がいる。図書館を「賑わい空間」に変える試みもあるが、「見てくれ」重視からか、天井まで届く書架にダミー本を詰め込んだ光景は、もはや図書館とは似て非なる存在でしかない。
 本来、図書館は知の拠点であり、万人の知的自立を支援する場だ。企業人やビジネスマンなど忙しく働いている人たちも図書館サービスを享受してほしい。それによって個人が力を付け、やがては社会全体を潤すことになる。これこそが図書館がもたらす恵沢といえる。市民の才能を芽吹かせるために図書館はどんな役割を果たせるか、市民にはどんな利用が可能か。
 本書が紹介する米ニューヨーク公共図書館での取り組みは、わが国にも大いに参考になる。

□片山善博(慶應義塾大学教授)「図書館の可能性を考える  ~名著味読再読~」(「週刊ダイヤモンド」2017年7月1日号)を引用
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 【参考】
【片山善博】「東京大改革」とは何か ~小池知事への疑問~
【片山善博】「男子の本懐」を遂げるには ~浜口雄幸『随感録』~
【片山善博】古今の政治を“透徹”する ~マキャヴェッリ『ディスコルシ「ローマ史」論』~
【片山善博】小池都政を「一輪車」にしてはならない ~都議会の無責任を示す一例~
【片山善博】【豊洲】市場問題 ~都議会のなすべきこと~
【片山善博】今も変わらぬ社会の病理 ~福翁自伝~
【片山善博】都議会改革は都庁改革 ~都の政策に責任を持つのは誰か~
【片山善博】情報公開が首長を守る ~舛添都知事辞任の教訓~
【片山善博】大切なことに時間を使う ~セネカ『人生の短さについて』~
【片山善博】二度も続いた東京都知事の失脚-その教訓を都政の改革に生かす
【片山善博】参議院選、鳥取島根ほかの「今回の合区は憲法違反」
【片山善博】教育、図書館、議会の力 ~カーネギー自伝~
【片山善博】らの鼎談 違法性がなくても知事の適性がない ~舛添は日本の恥(2)~
【片山善博】&増田寛也&上脇博之 舛添知事は日本の恥だ ~辞任勧告~
【片山善博】舛添都知事問題は自治システム改善の教材
【社会】防災体制の点検、真剣に ~平素の備えが大切~
【片山善博】口利き政治の弊害と政治家本来の役割
【片山善博】選挙権年齢引下げと主権者教育のあり方
【片山善博】TPPから見える日本政治の悪弊 ~説明責任の欠如~
【片山善博】政権与党内の議論のまやかし ~消費税軽減税率論議~
【経済】今導入すると格差が拡大する ~外形課税=赤字法人課税~
【片山善博】【沖縄】辺野古審査請求から見えてくる国のモラルハザード
【片山善博】川内原発再稼働への知事の「同意」を診る
【片山善博】違憲と不信で立ち枯れ ~安保法案~
【片山善博】【五輪】新国立競技場をめぐるドタバタ ~舛添知事にも落とし穴~
【片山善博】「ベトナム反中国暴動」報道への違和感
【片山善博】文部科学省の愚と憲法違反 ~竹富町教科書問題~
【片山善博】都知事選に見る政党の無責任 ~候補者の「品質管理」~
【片山善博】JR北海道の安全管理と道州制特区
【政治】地方議会における口利き政治の弊害 ~民主主義の空洞化(3)~
【政治】住民の声を聞こうとしない地方議会 ~民主主義の空洞化(2)~
【政治】福島県民を愚弄する国会 ~民主主義の空洞化(1)~
【社会】教育委員は何をなすべきか ~民意を汲みとる~
【社会】教育委員会は壊すより立て直す方が賢明
【社会】「教員駆け込み退職」と地方自治の不具合
【政治】何事も学ばず、何事も忘れない自民党 ~公共事業~




【南雲つぐみ】首を冷やさないで ~扁桃の免疫機能~

2017年06月28日 | 医療・保健・福祉・介護
 昔から「首を冷やすと風邪をひく」といわれ、風邪のひき始めに首や背中が震えることがある。頭の後ろから背中にかけて、「風門」「風池」「風府」と、「風」という字のつぼが三つ並んでいる。東洋医学ではこの場所を通って、体内に風邪が入ると考えられていた。
 現代医学では、喉(咽喉)にある「扁桃」が外敵から体を守る免疫器官の最前線と考えられることが多い。扁桃はリンパ節の集合体で、リンパ球やマクロファージなどの白血球がたくさん集まって、細菌やウイルスなどの外敵を待ち構えている。
 空気や食べ物に混ざって細菌やウイルスなどが体内に入ると、マクロファージが外敵を発見し、リンパ球が外敵にとりついて除去する。これで一件落着なのだが、喉が冷えていると、マクロファージやリンパ球がうまく働かず、免疫力が下がってしまう。
 エアコンの風があまり首や背中に当たらないようにしたい。冷えを防ぐことで、リンパ球やマクロファージが働いてくれる体内環境をつくろう。

□南雲つぐみ(医学ライター)「首を冷やさないで ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年6月22日)を引用
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【南雲つぐみ】日本人の睡眠 ~世界で2番目に短い~

2017年06月28日 | 医療・保健・福祉・介護
 OECD統計(2014年)によれば、調査した29カ国のうちで日本人の睡眠時間は韓国に次いで2番目に短い。また、NHK「国民生活時間調査」によれば、1995年以降、平日、土曜日、日曜日とも睡眠時間が減少し、日本人の睡眠不足が進みつつあったが、2015年の同調査では、それにストップがかかったようだ。
 1日の睡眠時間の平均は平日7時間15分、土曜日7時間42分、日曜8時間3分(国民全体)。これを10年前の同調査と比べてみると、平日はどの年代でもほぼ同じで、土日はほとんどの世代で微増している。
 平日の睡眠時間が短いのは50代女性の6時間31分で、逆に、休日に一番よく寝ているのは、10代女性の9時間2分だった。
 男女の世代別にみると、睡眠時間が短いのは仕事や家事などで忙しい平日の男性30~50代、女性40~50代。曜日による睡眠時間の差を見ると、男女とも10~50代は平日と土曜・日曜の差が大きく30分から1時間近い差があるが、60代以上では差がほとんど見られない。

□南雲つぐみ(医学ライター)「日本人の睡眠 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年6月17日)を引用
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【欧州】のゴミ箱扱いに憤慨する東欧諸国 ~深まるEUの東西分裂~

2017年06月28日 | 社会
 (1)欧州を東西に分断した鉄のカーテンが開かれたとき、チェコやスロバキア(当時はチェコスロバキア)の国民は隣のオーストリアへなだれ込んだ。映画でしか見られなかった西欧の製品を手にとって買えるようになったからだ。
 西欧の企業はこぞって「製品」を東欧へ売り込んだ。
 しかし、同じ名前がついていても、西欧の「製品」の質と東欧のそれとは違った。1989年にベルリンの壁が崩れてから28年経った今も、その事情に変化はない。

 (2)その事例。
  (a)ダノン、ネスレ、ペプシコなど、欧米の多国籍企業は同じブランド名を冠しながらも、東欧では人口甘味料を多用し、肉・魚肉の含有量を低くし、高い脂肪分の原料を使っている。さらに、西欧では健康に害を及ぼす可能性があるため使用をやめた部分水素化油脂を、東欧では使用している企業が多い。
  (b)チェコで売られているネスティ-レモン(ネスレとコカ・コーラの共同製品のアイスティー)に入っている紅茶成分のエッセンスは、ドイツのものよりも40%も少ない。
  (c)ドイツで売られているスプライトは砂糖だけで甘みを出しているが、チェコのものはシロップと人口甘味料で味付けされている。
  (d)欧州冷凍食品大手のイグロ・グループのフィッシュ・フィンガース(魚肉の冷凍食品)も、魚肉の含有率がオーストリアでは65%なのに対して、スロバキアとハンガリーでは58%だ。
  (e)独ライプニッツ社のビスケットも、ドイツでは12%のバターを含んでいるが、ポーランドではたった5%な上に、ドイツでは使用していないパーム油(バター代用品)を使っている。

 (3)多国籍企業は、現地人の好みに合わせて現地の人が使い慣れたレシピを使用している、と反論するが、東欧向け製品のコスト削減を行っているのは明白だ。
 さらに、製品の広告をドイツのベルリンで見て、チェコのプラハで買う人もいる。同じ製品の品質がドイツとチェコで全く違えば、消費者をだましたといわれても弁明の余地はない。

 (4)「東欧は欧州のゴミ箱の扱いを受けている」と憤慨するチェコ、スロバキア、ハンガリー、ポーランドの東欧4ヵ国からなる地域協力機構「ヴィシェグラード・グループ」は、2016年末から食品の東西格差を調査している。彼らは欧州委員会に対して、「一つの史上、一つの基準」を貫くべきだ、と働きかける予定だ。
 反欧州連合(EU)を掲げて国家主義を進展させたいハンガリーのヴィクトル政権にとって、この「最大級のスキャンダル」は、国民に訴えかける格好の題材だ。

 (5)しかし、食品をはじめとする消費財は、主に中流家庭をターゲットにしている。中流といっても、西欧と東欧の購買力には倍近くの差がある。EU統計局のユーロスタッフによれば、2015年時点の食品価格はポーランドではEU平均の63%だが、オーストリアでは平均の120%だ。東欧では価格を抑えなければ買ってもらえないのが現実なのだ。
 EUは、食の安全は規制するものの、多国籍企業からの圧力もあって、企業の品質管理には関与しないスタンスを崩さないだろう。
 しかし、「ヴィシェグラード・グループ」は、「東欧への食の人種差別」の解消に向け、断固たる姿勢を貫く構えだ。EU内の東西分裂の溝は、深まる一方だ。

□竹下誠二郎(静岡県立大学経営情報学部教授)「「欧州のゴミ箱」扱いに憤慨する東欧諸国 深まるEUの東西分裂」(「週刊ダイヤモンド」2017年7月1日号)
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 【参考】
【英国】の地政学的優位性がBrexitで喪失 ~領内で高まる独立気運~
【欧州】北欧も難民入国規制強化へ ~形骸化するシェンゲン協定~
【スウェーデン】文化多元主義の限界 ~移民問題~