《甲》中本農園「南高梅しそ漬け」・・・・煮干しエキスとこんぶエキスの材料と質の抽出方法がわからない。
《乙》新進「しんしん 味梅(うす塩味)」・・・・原材料の梅が中国産。砂糖の約250倍の甘みを持つ甘味料のステビアは、キク科ステビアの葉から抽出したもので、純度が低いものに不妊症・精子減少・変異原性の疑いが指摘されている。日本では特に規制はないが、禁止や条件付き使用の国もある。調味料、香料は一括名表示の添加物のため、どの成分が使われているか分からない。
《丙》中田食品「豊熟梅はちみつ」・・・・中国産の梅。甘味料のステビア。一括表示の酸味料に使用されている成分が分からない。
《丁》やまう「かつお梅」・・・・中国産の梅は農薬基準が明確でなく問題。着色料赤102は、タール色素の一つで、ジンマシン・アレルギー・貧血などの健康被害が報告されている。
(1)最近の梅干しはしょっぱくない。それもそのはず、見た目は梅干しでも、中身はしょっぱさや酸っぱさを取り除いた「梅干しモドキ」。そのため、添加物に頼らないと、品質が保てないのだ。
(2)梅干しは、梅の果実を塩蔵し(あるいは塩水に漬け)、日干しした保存食品だ。収穫した梅を梅雨期に塩漬けし、その後夏の土用(7月末から8月初め)に日干しして作るのが昔ながらの梅干し作りだ。原材料は「梅の果実、塩」の2点のみ。赤紫蘇で色と香りを付ける場合は、「赤ジソ」が原材料に加わる。
梅干しの保存性は塩分含有と大きく関わってくるので、昔ながらの梅干しは「しょっぱい」のが身上だ。しかし、現代人の多くは「塩からい」「酸っぱい」味覚が苦手で、さらに塩分過多を敬遠する風潮もあいまって、今や本来の梅干しのシェアはほんの数%。いつのまにかスーパーの棚から「梅干し」の姿は消え、代わりに塩分控えめで甘み・うま味の「調味梅干し」が主役よろしく鎮座するようになった。
(3)梅干しと調味梅干しの違いは何か。
農産物漬物の日本農林規格によると、
(a)梅干し・・・・梅漬けを干したもの。梅漬けとは、梅の果実を漬けたもの、またはこれを梅酢もしくは梅酢に塩水を加えたものに漬けたもの(シソの葉で巻いたものを含む)。
(b)調味梅干し・・・・梅干しを砂糖類、食酢、梅酢、香辛料等もしくはこれらに削り節等を加えたものに漬けたもの、または調味梅漬けを干したもの(シソの葉で巻いたものを含む)。
簡単にいうと、梅干しとは「干す」という工程が組み込まれて作られたもので、調味梅干しは梅干しをさまざまな調味液に漬けたもの、あるいはそれを干したもの、と定義されている。
調味液に漬けられる調味梅干しは、
「梅干しを水洗いして塩抜きする→水切りして液に漬け込む→液を切る」
の工程で作られるのが一般的です。梅干しの塩抜き工程では、酸性水や温水など使用の低温で殺菌され、調味液に漬けられる。調味液の内容はメ-カーによって異なるが、一般的には還元水あめ、醸造酢、タンパク加水分解物、発酵調味料、異性化液糖やブドウ糖などがブレンドされて作られ、この調味液に漬けられた梅干しは、味も効能も保存性も昔ながらの梅干しとは似ても似つかぬ梅干しモドキとして生まれ変わる。
(4)調味梅干しは塩分含有8~6%と、消費者好みの減塩のため体によさそうな印象で購入する消費者が多いのだが、本来しょっぱい梅干しを口あたりのよい調味梅干しにするには、添加物の力を借りなければ作ることができない。
塩抜きされている調味梅干しは、カビや細菌などが増殖しやすく、商品として流通させるためには保存性を高める必要があり、保存料として使われるのがビタミンB1だ。ここで使われるビタミンB1は、実は「ビタミンB1ラウリル硫酸塩」という天然には存在しない合成化合物。高い抗菌作用を持つため、水分の多い食品や惣菜などに合成保存料として使用されている。
(5)本来保存食品である梅干しの塩分含有は、梅の重量に対して20%前後の塩が使われている。この塩分濃度が思わず口がつぼんでしまうほどの「しょっぱさ」の原因なのだが、このしょっぱさが殺菌、疲労回復、食欲増進、脳の若返り、体の生理機能を整える、などに働き、先人たちの健康維持に貢献してきた。
しかし、食品添加物のうま味や甘みになれた現代人の味覚には受け入れられず、梅干しの栄養や効能が期待できないばかりか、健康被害さえも引き起こしかねない調味梅干しが市場のシェを占めているのは、残念なことだ。
甘酸っぱさの甘みは発酵調味料、アミノ酸、甘味料などで、酸っぱさは酸味料を添加。梅干しの色は色素で着色し、香りは香料でつけ、色落ち防止には酸化防止剤を添加・・・・調味梅干しは人工的に作られた職員(扱い)と添加物が満載の食品だ。塩分過多を気にして昔ながらの梅干しを敬遠し、口あたりの良い添加物満載の調味梅干しを好む現代人の味覚は、いずれ、深刻な健康被害となって自分に降りかかってくるのではないか。
(6)常温保存が可能な昔ながらの梅干しの保存期間は、事実上無期限だとされる。
一方、調味梅干しは冷蔵保存で期間は平均数ヵ月間。1年を通して梅干しの効能で健康を維持してきた先人たちの健康管理の知恵を飽食といわれる現代こそ見習いたい。
しょっぱい梅干しは、熱中症対策(塩分補給が必要な重症度Ⅰの熱中症)にひと肌脱いでくれる。
作り方はいたって簡単。麦茶1リットルの中に梅干し1個を入れるだけ。ノンカフェン&ミネラル豊富な熱中症予防ドリンクを冷やしすぎず、100ミリリットルくらいをこまめに取るのがベストな飲み方だ。
□沢木みずほ「ウィークポイントは添加物でカバーした「調理梅干し」 ~新買ってはいけない236~」(「週刊金曜日」2017年6月2日号)
↓クリック、プリーズ。↓
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【参考】
「【食】手作りのたれがオススメ ~焼き肉のたれ【補遺】~」
「【食】容器も味も進化(?)する ~焼き肉のたれ~」
「【食】冬の強い味方「しょうが湯」は手作りがよい」
「【食】これは塩辛というより単なる「イカ和え」 ~添加物たっぷりの市販の塩辛~」
「【食】豆腐でない豆腐、添加物たっぷり ~目にも涼やかな枝豆豆腐~」
「【食】市販のトマトケチャップの添加物 ~原材料が問題~」
「【食】野菜不足解消によい「浅漬け」は添加物まみれ」
「【食】市販の「塩こんぶ」のうまみは昆布のうまみとは別もの」
「【食】「チャーハンの素」で健康被害 ~添加物~」
「【食】「とけるチーズ」 ~食品添加物満載のチーズもどき~」
「【食】赤色がよいか、褐色がよいか? ~ベーコン~」
「【食】植物油脂が超心配 ~塗るだけ簡単な「パン工房」~」
「【食】アイスクリームやキャラメルの抹茶色 ~着色料~」
「【食】気軽に使っていいのか? ~種類豊富な「麺だれ」~」
「【食】口当たりがよいタイプほど増える添加物 ~豆乳~」
「【食】復活した「魚肉ソーセージ」 ~添加物満載~」
「【食】「フレンチトーストのもと」に含まれる大量の添加物」
「【食】やはり添加物が多い市販品 ~栗甘露煮~」
「【食】市販品には添加物が多数 ~鮭フレーク~」
「【食】「チャーハンの素」で健康被害 ~添加物~」
「【食】農薬が添加物扱い ~バナナに使われるポストハーベト~」
「【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~」
「【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~」
「【食】塩酸処理と添加物多用 ~みかんの缶詰~」
《乙》新進「しんしん 味梅(うす塩味)」・・・・原材料の梅が中国産。砂糖の約250倍の甘みを持つ甘味料のステビアは、キク科ステビアの葉から抽出したもので、純度が低いものに不妊症・精子減少・変異原性の疑いが指摘されている。日本では特に規制はないが、禁止や条件付き使用の国もある。調味料、香料は一括名表示の添加物のため、どの成分が使われているか分からない。
《丙》中田食品「豊熟梅はちみつ」・・・・中国産の梅。甘味料のステビア。一括表示の酸味料に使用されている成分が分からない。
《丁》やまう「かつお梅」・・・・中国産の梅は農薬基準が明確でなく問題。着色料赤102は、タール色素の一つで、ジンマシン・アレルギー・貧血などの健康被害が報告されている。
(1)最近の梅干しはしょっぱくない。それもそのはず、見た目は梅干しでも、中身はしょっぱさや酸っぱさを取り除いた「梅干しモドキ」。そのため、添加物に頼らないと、品質が保てないのだ。
(2)梅干しは、梅の果実を塩蔵し(あるいは塩水に漬け)、日干しした保存食品だ。収穫した梅を梅雨期に塩漬けし、その後夏の土用(7月末から8月初め)に日干しして作るのが昔ながらの梅干し作りだ。原材料は「梅の果実、塩」の2点のみ。赤紫蘇で色と香りを付ける場合は、「赤ジソ」が原材料に加わる。
梅干しの保存性は塩分含有と大きく関わってくるので、昔ながらの梅干しは「しょっぱい」のが身上だ。しかし、現代人の多くは「塩からい」「酸っぱい」味覚が苦手で、さらに塩分過多を敬遠する風潮もあいまって、今や本来の梅干しのシェアはほんの数%。いつのまにかスーパーの棚から「梅干し」の姿は消え、代わりに塩分控えめで甘み・うま味の「調味梅干し」が主役よろしく鎮座するようになった。
(3)梅干しと調味梅干しの違いは何か。
農産物漬物の日本農林規格によると、
(a)梅干し・・・・梅漬けを干したもの。梅漬けとは、梅の果実を漬けたもの、またはこれを梅酢もしくは梅酢に塩水を加えたものに漬けたもの(シソの葉で巻いたものを含む)。
(b)調味梅干し・・・・梅干しを砂糖類、食酢、梅酢、香辛料等もしくはこれらに削り節等を加えたものに漬けたもの、または調味梅漬けを干したもの(シソの葉で巻いたものを含む)。
簡単にいうと、梅干しとは「干す」という工程が組み込まれて作られたもので、調味梅干しは梅干しをさまざまな調味液に漬けたもの、あるいはそれを干したもの、と定義されている。
調味液に漬けられる調味梅干しは、
「梅干しを水洗いして塩抜きする→水切りして液に漬け込む→液を切る」
の工程で作られるのが一般的です。梅干しの塩抜き工程では、酸性水や温水など使用の低温で殺菌され、調味液に漬けられる。調味液の内容はメ-カーによって異なるが、一般的には還元水あめ、醸造酢、タンパク加水分解物、発酵調味料、異性化液糖やブドウ糖などがブレンドされて作られ、この調味液に漬けられた梅干しは、味も効能も保存性も昔ながらの梅干しとは似ても似つかぬ梅干しモドキとして生まれ変わる。
(4)調味梅干しは塩分含有8~6%と、消費者好みの減塩のため体によさそうな印象で購入する消費者が多いのだが、本来しょっぱい梅干しを口あたりのよい調味梅干しにするには、添加物の力を借りなければ作ることができない。
塩抜きされている調味梅干しは、カビや細菌などが増殖しやすく、商品として流通させるためには保存性を高める必要があり、保存料として使われるのがビタミンB1だ。ここで使われるビタミンB1は、実は「ビタミンB1ラウリル硫酸塩」という天然には存在しない合成化合物。高い抗菌作用を持つため、水分の多い食品や惣菜などに合成保存料として使用されている。
(5)本来保存食品である梅干しの塩分含有は、梅の重量に対して20%前後の塩が使われている。この塩分濃度が思わず口がつぼんでしまうほどの「しょっぱさ」の原因なのだが、このしょっぱさが殺菌、疲労回復、食欲増進、脳の若返り、体の生理機能を整える、などに働き、先人たちの健康維持に貢献してきた。
しかし、食品添加物のうま味や甘みになれた現代人の味覚には受け入れられず、梅干しの栄養や効能が期待できないばかりか、健康被害さえも引き起こしかねない調味梅干しが市場のシェを占めているのは、残念なことだ。
甘酸っぱさの甘みは発酵調味料、アミノ酸、甘味料などで、酸っぱさは酸味料を添加。梅干しの色は色素で着色し、香りは香料でつけ、色落ち防止には酸化防止剤を添加・・・・調味梅干しは人工的に作られた職員(扱い)と添加物が満載の食品だ。塩分過多を気にして昔ながらの梅干しを敬遠し、口あたりの良い添加物満載の調味梅干しを好む現代人の味覚は、いずれ、深刻な健康被害となって自分に降りかかってくるのではないか。
(6)常温保存が可能な昔ながらの梅干しの保存期間は、事実上無期限だとされる。
一方、調味梅干しは冷蔵保存で期間は平均数ヵ月間。1年を通して梅干しの効能で健康を維持してきた先人たちの健康管理の知恵を飽食といわれる現代こそ見習いたい。
しょっぱい梅干しは、熱中症対策(塩分補給が必要な重症度Ⅰの熱中症)にひと肌脱いでくれる。
作り方はいたって簡単。麦茶1リットルの中に梅干し1個を入れるだけ。ノンカフェン&ミネラル豊富な熱中症予防ドリンクを冷やしすぎず、100ミリリットルくらいをこまめに取るのがベストな飲み方だ。
□沢木みずほ「ウィークポイントは添加物でカバーした「調理梅干し」 ~新買ってはいけない236~」(「週刊金曜日」2017年6月2日号)
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【参考】
「【食】手作りのたれがオススメ ~焼き肉のたれ【補遺】~」
「【食】容器も味も進化(?)する ~焼き肉のたれ~」
「【食】冬の強い味方「しょうが湯」は手作りがよい」
「【食】これは塩辛というより単なる「イカ和え」 ~添加物たっぷりの市販の塩辛~」
「【食】豆腐でない豆腐、添加物たっぷり ~目にも涼やかな枝豆豆腐~」
「【食】市販のトマトケチャップの添加物 ~原材料が問題~」
「【食】野菜不足解消によい「浅漬け」は添加物まみれ」
「【食】市販の「塩こんぶ」のうまみは昆布のうまみとは別もの」
「【食】「チャーハンの素」で健康被害 ~添加物~」
「【食】「とけるチーズ」 ~食品添加物満載のチーズもどき~」
「【食】赤色がよいか、褐色がよいか? ~ベーコン~」
「【食】植物油脂が超心配 ~塗るだけ簡単な「パン工房」~」
「【食】アイスクリームやキャラメルの抹茶色 ~着色料~」
「【食】気軽に使っていいのか? ~種類豊富な「麺だれ」~」
「【食】口当たりがよいタイプほど増える添加物 ~豆乳~」
「【食】復活した「魚肉ソーセージ」 ~添加物満載~」
「【食】「フレンチトーストのもと」に含まれる大量の添加物」
「【食】やはり添加物が多い市販品 ~栗甘露煮~」
「【食】市販品には添加物が多数 ~鮭フレーク~」
「【食】「チャーハンの素」で健康被害 ~添加物~」
「【食】農薬が添加物扱い ~バナナに使われるポストハーベト~」
「【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~」
「【食】安いものにはウラがある ~成型肉の添加物~」
「【食】塩酸処理と添加物多用 ~みかんの缶詰~」