【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。
<大串章選>
①麦秋の刈り取られゆく光かな (東かがわ市)桑島正樹
②ひかへ目を己が色とし花樗(はなおうち) (合志市)坂田美代子
④青嵐の谷に駅舎の屋根一つ (名古屋市)池内真澄
⑥母の日の母を思ひて旅にあり (長崎市)徳永桂子
⑦信玄の隠れ湯に余花仰ぎけり (八王子市)大串若竹
⑩サングラス外して波の音を聞く (東京都)竹内宗一郎
【評】第一句。夏の日差しの中、麦刈りが進む。「光」が「刈り取られ」る、と言ったところが見どころ。第二句。「花樗」を詠みながら、どなたかのことを思っている。(後略)
<稲畑汀子選>
③緑蔭の座つてみたくなるベンチ(筑紫野市)多田蒼生
⑥晩年を心豊かに月朧 (荒尾市)鶴田幾美
【評】(前略)三句目。作者は緑蔭の心地よさそうなベンチに座ったのであろう。
<金子兜太選>
①水田の深き足跡てふアート (養父市)足立威宏
③九条のありて千枚の青田かな (石川県能登町)瀧上裕幸
⑥原発と同居してゐる暑さかな (川崎市)池田功
⑩ため息が曲がってばかりや五月闇 (清瀬市)峠谷清広
【評】足立氏。山国の水田に印(しる)された足跡は深く、芸術作品の如し。(中略)瀧上氏。九条ありてこそ平和、そして青田。十句目峠谷氏。ため息に幸いあれ。
<長谷川櫂選>
②あの人も人間失格桜桃忌 (飯塚市)釋蜩硯
⑤誰よりも吾が病床の明易し (岡崎市)鈴木信男
⑥朴の葉の子らに教ふる風車 (厚木市)石井修
⑦痛からう子規に五月の風が吹く (東京都)大網健治
【評】(前略)二席。恋の句、それも女性の詠んだ句なら余計おもしろいのだが、残念。(後略)
□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年6月5日)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~」
「【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~」
「【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~」
「【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~」
「【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~」
<大串章選>
①麦秋の刈り取られゆく光かな (東かがわ市)桑島正樹
②ひかへ目を己が色とし花樗(はなおうち) (合志市)坂田美代子
④青嵐の谷に駅舎の屋根一つ (名古屋市)池内真澄
⑥母の日の母を思ひて旅にあり (長崎市)徳永桂子
⑦信玄の隠れ湯に余花仰ぎけり (八王子市)大串若竹
⑩サングラス外して波の音を聞く (東京都)竹内宗一郎
【評】第一句。夏の日差しの中、麦刈りが進む。「光」が「刈り取られ」る、と言ったところが見どころ。第二句。「花樗」を詠みながら、どなたかのことを思っている。(後略)
<稲畑汀子選>
③緑蔭の座つてみたくなるベンチ(筑紫野市)多田蒼生
⑥晩年を心豊かに月朧 (荒尾市)鶴田幾美
【評】(前略)三句目。作者は緑蔭の心地よさそうなベンチに座ったのであろう。
<金子兜太選>
①水田の深き足跡てふアート (養父市)足立威宏
③九条のありて千枚の青田かな (石川県能登町)瀧上裕幸
⑥原発と同居してゐる暑さかな (川崎市)池田功
⑩ため息が曲がってばかりや五月闇 (清瀬市)峠谷清広
【評】足立氏。山国の水田に印(しる)された足跡は深く、芸術作品の如し。(中略)瀧上氏。九条ありてこそ平和、そして青田。十句目峠谷氏。ため息に幸いあれ。
<長谷川櫂選>
②あの人も人間失格桜桃忌 (飯塚市)釋蜩硯
⑤誰よりも吾が病床の明易し (岡崎市)鈴木信男
⑥朴の葉の子らに教ふる風車 (厚木市)石井修
⑦痛からう子規に五月の風が吹く (東京都)大網健治
【評】(前略)二席。恋の句、それも女性の詠んだ句なら余計おもしろいのだが、残念。(後略)
□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年6月5日)
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【参考】
「【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~」
「【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~」
「【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~」
「【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~」
「【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~」