(1)平均的な厚生年金支給額は、月221,507円だ【注1】。現役男性の手取り収入の平均額(月35万円ほど【注2】)の6割強を保証している。
(2)高齢者の生活を支えるのは、年金だけではない。
高齢者世帯の9割以上は自宅を保有している。自宅保有者のうち、住宅ローンが残っているのは1割未満だ【注3】。
現役世帯のほとんどは家賃を払っているが、家を持っていても住宅ローンを返済中だ。
他方、持ち家に住み、住宅ローンもない高齢者世帯は、家賃相当額を支払わなくてよい分、同じ収入でも生活費に余裕が出る。この分を「帰属家賃」と呼び、収入と見なす考え方がある。高齢者世帯が得る「帰属家賃」は、平均して月68,225円だ。
(3)年金と「帰属家賃」を合わせると、高齢者世帯の標準的な収入は、月29万円となる。現役男性の手取り収入の8割を超える。
高齢者世帯は、これに加えて、退職金等を取り崩しながら生活している。
(4)高齢者世帯は、現在の社会保障制度上で「低所得者」とされ、各種の給付や減免を受けるための基準「住民税非課税」であることが多い。
住民税の課税標準算定にあたり、公的年金に多額の控除が認められ、「帰属家賃」は考慮されない。よって、「帰属家賃」込みで月29万円の収入がある標準的な高齢者世帯も、「低所得者」となり得る。
(5)税引き前の給与収入が月15万円(高卒初任給程度)で賃貸し住宅に住む単身者の暮らし向きは、「標準的な高齢者世帯」よりも明らかに厳しい。
しかし、「低所得者」とは扱われず、月15万円の中から税や社会保険料等を支払う。
【注1】2015年度、夫婦2人分の標準的な額、老齢基礎年金を含む。
【注2】厚生労働省「平成26年財政検証」。
【注3】総務省「平成21年全国消費者実態調査」における世帯主が65歳以上の「二人以上の世帯」の値)。以下同じ。
□是枝俊悟(大和総研金融調査部研究員)「帰属家賃を含めれば所得代替率は8割超 「高齢者=低所得者」は誤り ~数字は語る~」(「週刊ダイヤモンド」2015年3月14日号)
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(2)高齢者の生活を支えるのは、年金だけではない。
高齢者世帯の9割以上は自宅を保有している。自宅保有者のうち、住宅ローンが残っているのは1割未満だ【注3】。
現役世帯のほとんどは家賃を払っているが、家を持っていても住宅ローンを返済中だ。
他方、持ち家に住み、住宅ローンもない高齢者世帯は、家賃相当額を支払わなくてよい分、同じ収入でも生活費に余裕が出る。この分を「帰属家賃」と呼び、収入と見なす考え方がある。高齢者世帯が得る「帰属家賃」は、平均して月68,225円だ。
(3)年金と「帰属家賃」を合わせると、高齢者世帯の標準的な収入は、月29万円となる。現役男性の手取り収入の8割を超える。
高齢者世帯は、これに加えて、退職金等を取り崩しながら生活している。
(4)高齢者世帯は、現在の社会保障制度上で「低所得者」とされ、各種の給付や減免を受けるための基準「住民税非課税」であることが多い。
住民税の課税標準算定にあたり、公的年金に多額の控除が認められ、「帰属家賃」は考慮されない。よって、「帰属家賃」込みで月29万円の収入がある標準的な高齢者世帯も、「低所得者」となり得る。
(5)税引き前の給与収入が月15万円(高卒初任給程度)で賃貸し住宅に住む単身者の暮らし向きは、「標準的な高齢者世帯」よりも明らかに厳しい。
しかし、「低所得者」とは扱われず、月15万円の中から税や社会保険料等を支払う。
【注1】2015年度、夫婦2人分の標準的な額、老齢基礎年金を含む。
【注2】厚生労働省「平成26年財政検証」。
【注3】総務省「平成21年全国消費者実態調査」における世帯主が65歳以上の「二人以上の世帯」の値)。以下同じ。
□是枝俊悟(大和総研金融調査部研究員)「帰属家賃を含めれば所得代替率は8割超 「高齢者=低所得者」は誤り ~数字は語る~」(「週刊ダイヤモンド」2015年3月14日号)
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