とだ*やすこの「いまここ@島本」

暮らしの豊かさ最優先!
ひとが主役のまちづくり!

大阪府島本町議会議員
とだ*やすこの活動報告

マイナンバー制度を考えよう

2013年05月11日 | とだ*やすこの活動日記
11日(土)午後、高槻市市民会館で行われた講演会「共通番号」制を問う!~危険な「IT社会の国民総背番号制」~(主催:共通番号制を考える会)に参加、講師は、白石孝さん(プライバシーアクション代表)。マイナンバー法案は既に5月9日付で衆議院で可決され(一部修正)参議院に送られています。

マイナンバー法案はいわば通称で、そのもとになる「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(番号法案)に加えて、3法案がセットで審議されのですが、わたし自身も、ほとんどの国民も、その法案の詳細や背景、なにが問題で、どこが修正されたのか、詳細については把握できていないのが現実です。

反対、賛成と意見を述べる前に、議論をする前に、まずは、わたしたちが知らないこと、知らされていないこと、経験していないことが多いことを自覚しておく必要があります。多様な価値観、多様な属性の者が議会に属し、そこでの議論から問題が浮き彫りになることが重要ですが、現状はそのようにはなっていません。民主主義は数というような力任せで、法案は衆議院を賛成大多数で通過しました。

住民基本台帳カードと異なるものが提案されているわけですが、調べてみると住民基本台帳カードの所持率(普及率といえる)は、5月14日現在島本町で4.79%。島本町における有効住基カード枚数1257枚を15歳以上の人口を割ったものです。全国的にもほぼ同じ状況のようです。住民、納税者側からの目線でみれば、費用対効果という点で疑問があって当然でしょう。

住民基本台帳ネットワークシステム導入後約10年、便利さや効率、公平制などを理由して、また異なる番号制度が新たに導入されようとしています。「住基ネットでは、便利ではない、なにか」を検証しておく必要があります。

国民ひとりひとり(赤ちゃんも、正規滞在の外国人も)を対象としている
同一人物には唯一無二の一番号
民・民・官で利用が拡大される計画
公表する・公表される

などが住基ネット制度と異なるマイナンバー制度の特徴と、今日の講演会で確認できました。韓国の先進事例からも、民間企業からの情報の大量の漏えい、成り済まし詐欺事件の多発など、問題が多すぎ危険性が指摘されていることも理解できました。

わたしは、香港で生活していた時代、IDカード(11歳以上)を所持していたこともあり、実は個人的にはIDカードの存在に抵抗感がありません。一方で、申請等の手続きがすべての暮らしに優先されることも経験しました。一日仕事の申請、会場の大混雑、多国籍風景を肌で知っています。会場の外に溢れる列に、灼熱のなか外国人として並び続けた記憶があります。これを島本町でやるのですかぁ?という疑問が素朴にわいてきます。

もちろん日本のマイナンバー制度と同じではありませんし、もとより香港の制度を詳細に把握しているわけでもありませんが、香港では銀行口座を開設するのにも、クレジットカードを作成するのにもIDカードは必須でした(家族の入院、手術の際も提示したかもしれない)。民間企業や医療機関などと番号を共有するというということがどういうことか、感覚的にわかります。

既に住基ネットがあるにもかかわらず、それほど利用されていない(=便利だと認識されていない)にもかかわらず、マイナンバー制度を新たに導入する大きな目的は、民・民・官での利用拡大ではないかとわたしは考えています。

また、一個人の経験に過ぎませんが、一度ブラックリストに載った(雇用者が一筆手紙を書くだけで充分以上の効果があると思われる)外国人労働者は、たとえ次の就職先が決まってもビザが下りない、場合によっては通告や密告(ときに些細なこと)で、即日、本国へ強制送還されるという現実を知っています。公園のママ友(香港の子どもの保護者はママではなく、ほとんどがメイドとして雇用されたフィリピン女性)、仲良くしていたフィリピン人が、忽然といなくなるという「日常」を経験してきました。

わたしは駐在員の帯同家族として「組織」に守られていましたが、もしも「個人」でここに住めば、彼女たちと同じ立場であることは明白でした。そして、一旦雇用者という立場になれば、即刻、雇用者を本国へ強制送還できる側に立つ(立てる、立ってしまう)ことも実感しました。

効率的に、合法的に、一括して個人を把握できるIDカードの存在は、実に「便利に」「迅速に」これら(名寄せして、人をデータで判断すること)を可能にします。活気があり、自由でエネルギッシュ、頑張る者(翻せば、頑張れる者だけ)が報われる社会の一面でした。

いずれにしても、生活のあらゆる場面で個人情報が一括されるe-JAPAN。問題点をしっかり把握しておかなければなりません。ところが、実はシステムの詳細さえ決まってないままに法案が衆議院を通過しているといいます。システム構築に5000億円との推計もあった初期費用(政府答弁で2000億~3000億円に圧縮できるとの見通しが明らかになったとの報道も)、その積算根拠にも費用対効果にも、リスクの大きさにも疑問が残ったまま参議院で可決されようとしています。

マイナンバー制度について、身近に学び、考える機会をくださった主催者のみなさんに感謝します。


画像は、この日の午前、万緑の大山崎で
雨に潤う樹木に癒されました

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする