徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

高効率で燃費のいい住宅を創るには…たかが庇されど庇

2016-09-06 08:47:08 | 建築家と酒田・鶴岡・庄内地方に家を建てる
 ここまで断熱性能のアップと窓の性能について述べてきた。窓も含めた断熱性能が高い住宅は、北国で暮らしている人だけでなく全国共通の必要住宅性能である。

 断熱性能が高い住宅というのは、温めた熱や冷やした熱を逃がしにくいということ。しかし裏を返せば、冬の寒気や夏の直射日光を室内に受け入れてしまえば、その熱を逃がし難いとも言える。

 特に窓という透明で快適な開口部は、太陽の光をを受け入れるためにできている。万人が言う「日当たりのいい」南向きの部屋は時として、暑すぎてどうにもならない部屋と化す。真夏の直射日光は断熱性能をアップした住宅には敵となるのだ。

 

 その敵を室内に侵入させないためには、窓上部に庇を設置すること、あるいは庇に変わる何かを設置することである。この庇なるものが直射日光を遮ってくれる。

 真夏の太陽高度は計画地の緯度ですぐ計算できる。その太陽高度から庇の長さ(奥行き)を決めるが、ただ長ければいいというものでなく、冬の貴重な直射日光は積極的に取り入れたい。夏の日差しを遮り、冬の日差しは取り込む長さに設定することが大事。

 長さを調整した庇によって冷暖房の負荷も低燃費で運転できる状況が整う。室温が30℃の部屋を25℃まで冷やすのと、室温28℃の部屋を25℃まで冷やすのでは明らかに後者の方がパワーがいらないことは明白。逆に室内を温めることも同じ。

 

 空調負荷のために設置する庇であるが、その庇を工夫すればデザイン上のファクターともなり住宅の表情もまったく変わる。

 たかが庇、されど庇である…。


 ~つづく~

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