福岡市議会・議会改革調査特別委員会では、昨年10月から議会改革に関する審議が行われている。しかし、市民の関心が高かった「議事録への発言者名記載」についての議論は突然中断され、結論が出ない状態のまま、4月からは「イ議会活動に対する住民理解の促進に関すること」の審議に入った。(下表参照)
先月5月19日の委員会では、請願の取り扱いについて話し合われ、「継続審査」の採用が決まった。だが、問題は「継続審査」を採用するかしないかではない。市民から出された請願が闇に葬られてしまっているところが問題なのだ。本質的な議論がされず、問題がすり替わってしまったことに、傍聴者からは不満が噴出していた。斯くいう私も口を挟みたくなる衝動に駆られたが。
ところで、先日5月30日、西日本新聞のこだま欄に「熟議しているか 請願継続審査」という寄稿文が掲載されていた。まさに的を得たご意見なので、ここに紹介したい。
転載はじめ。
【本文】
昨秋から始まった福岡市議会の議会改革調査特別委員会。今月19日に開かれた会合で、請願の取り扱いについて従来通り「継続審査」を採用することで一致した、と報道された。
たしかにすべての請願に対して賛成か反対か結論を出すのは難しいというのは理解できる。多数決は最後の手段であって、熟議のために継続審査することは必要だ。しかし、問題の本質は「本当に熟議をしているのか?」という点だ。
この議論の発端は「継続審査と言いつつ、実際にはほとんど議論されず、実質的な不採択になっている」と問題視する声から始まっている。継続審査をなくして、賛成か反対かの結論を出すかどうかが本質ではない。
議員同士の討議を活発にし、そこに市民も参画できる仕組みを作れるかどうかが議会改革の鍵だと考える。行政側はパブリックコメントや審議会への市民公募など、少しずつ市民参画が進んでいるのに比べ、議会は大きく遅れている。市民は傍で聴く存在(傍聴者)ではない。主権者だ。市民からの意見や提案に対する議会の姿勢が、いま問われている。
(本河 知明、39歳、福岡市早良区)
転載終わり。
第6回議会改革調査特別委員会(平成28年4月18日)で傍聴者に配布されたスケジュール表
《関連記事》
・請願「継続審査」従来通り 福岡市議会、改革特別委が一致(西日本新聞 2016.5.20)
《関連資料》