「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」 西行法師
西行は、以下の歌を生前に詠み、その歌のとおり、陰暦2月16日、釈尊涅槃の日の翌日に入寂したといわれている。
桜の季節になると思い出すのが親父の葬式である。もう9年も前になるが4月7日に菩提寺で葬式を出したが、丁度桜が満開で参列した人が口を揃えて「桜が綺麗でとてもいいお葬式でした」と 言ってくれたものである。
昔の葬式は夏の暑い時か、冬の寒い時と相場が決まっていたのだが、冷暖房が行き渡って葬式も季節感がなくなったようである。
さて、小生はかつて国家公務員であったが、その退職者の会に加入していて毎月会報が送られてくるが一番関心をもって見るのが敬弔欄である。必ず知った人の名前が何人も出てくる。あの人も死んだ、この人も死んだと顔を思い出しながら念仏を唱えておく。ナンマンダブ、ナンマンダブ。
4月号はいつもより人数が多くて90名の名前が記載されていた。ちなみに自分より同い年以下の人数を数えてみると9名いた。つまり1/10の死亡率の範疇に入ってきた、いや、身体はもともと蒲柳の質だからリスクはもっと高い。
仏教を学んできて死ぬ覚悟はつけてあるが、願わくば母親を先に見送ってから死にたいものである。