JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
新京成電鉄 車内補充券
戴き物ですが、新京成電鉄の車内補充券です。
橙色JPRてつどう地紋の地図式券で、山口証券印刷で調製されたものです。
同社では比較的早い時期に車内での精算業務を廃止しているようで、いつ頃まで車内精算が行われていたかが定かではなく、御紹介の券が最終様式であるかも定かではありませんが、掲載されている路線図は現在の路線図とは異なっており、
・北初富駅が北総開発鉄道(現・北総鉄道)との接続駅になっている
・新鎌ヶ谷駅が未開業
・北総鉄道の千葉ニュータウン中央駅以遠が未開業
・京成電鉄京成千葉および千葉中央駅がある
などの様子から、国鉄民営化の昭和62年以降~平成3年以前に設備されたものと推測されます。
裏面です。国鉄およびJRとの連絡運輸を考慮していないタイプの標準的な内容かと思います。
新前橋駅発行 佐渡4号 急行券・グリーン券
1982(昭和57)年9月、新前橋駅で発行された、佐渡4号の急行券・グリーン券の一葉券です。
若草色こくてつ地紋のD型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
急行佐渡号は上野~新潟間を結ぶ急行列車で、準急列車として登場した当初は80系電車で運転されていましたが、その後165系電車に置き換えられています。
この券が発売された当時はグリーン車を4号車と5号車に連結した12両編成が4往復運転されていましたが、東北・上越新幹線が開業した同年11月のダイヤ改正にて1往復減便の3往復になり、編成もサロ1両の10両編成に減車されています。
その後、1985(昭和60)年3月のダイヤ改正によって急行佐渡号は廃止されてしまっています。
川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム Fシアター入館券
今回は、鉄道とは関係ない「古紙」を御紹介致しましょう。
川崎市多摩区の向ヶ丘遊園跡地にある「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」のFシアター入館券です。
鉄道の乗車券で言えばA型とB型の間くらいの大きさの半硬券で、黄色いミュージアムのマークを使った地紋が入っています。
地紋部分の拡大です。
ミュージアムの公式ブログによりますと、デザインは51種類もあるそうです。
また、入場する時に「F」の字をかたどったパンチで入鋏されますが、もう1種類(ドラえもんの形です)があるそうです。
裏面です。発売をして数量精算をするものではなく、記念券的な要素のものですから、券番などはありません。
お休みの日にでも川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムに行って、「家族サービス兼きっぷ蒐集」は如何でしょう?
羽後本荘駅発行 薬師堂駅ゆき片道乗車券
1985(昭和60)年9月に、羽越本線の羽後本荘駅で発行された、薬師堂駅ゆきの片道乗車券です。
若草色こくてつ地紋の特別補充券で発行して頂いています。
薬師堂駅は国鉄矢島線の1駅目で、無人駅になります。同駅の最短区間の乗車券は、券売機券になってしまいますので、記念用として補充券での発券をして頂いています。
当時の同駅には羽越本線の他に矢島線が乗り入れていましたが、この券が発行された9月30日を以って矢島線は営業を終了し、翌10月1日からは由利高原鉄道鳥海山ろく線に移管されています。
由利高原鉄道 久保田から前郷ゆき 片道乗車券
2018(平成30)年10月に由利高原鉄道久保田駅で発行された前郷ゆきの片道乗車券です。
青色由利高原鉄道自社地紋のA型一般式大人・小児用券で、関東交通印刷で調製されたものと思われます。
この券は矢島駅の売店で「使用済硬券」として売られていた袋の中に入っていた1枚です。
久保田駅は国鉄矢島線から同社に移管された際に開業した乗車券を発売していない無人駅ですので、この券を見つけた時には違和感を感じました。
裏面を見ると、ますます違和感を感じました。
なんと、券番が0000です。
セットを購入した時、久保田駅で乗車券の臨時発売をしたかどうかを矢島駅の方にお伺いしましたが、そのような事実はなく、どうやら、1年前の2018(平成30)年10月21日に矢島駅で「矢島駅開業80周年記念乗車券セット」という記念硬券乗車券セットが発売されていて、久保田から前郷ゆきの乗車券はその中の1枚であるとのことでした。
本来であれば、券番0000番の券は会社で保存するような見本券であったものなのかもしれませんが、何かの間違いで使用済硬券セットに紛れてしまったのではないかと推測され、これは有り難くコレクションとして頂戴させていただいた次第です。
羽後矢島駅発行 普通入場券
1984(昭和59)年11月に羽後矢島(うごやしま。現・由利高原鉄道矢島駅)で発行された普通入場券です。
白色無地紋のB型大人・小児用券で、民間印刷券となっています。前回エントリーの前郷駅のものと同じ日に購入したもので、この券が発売された10か月後には、国鉄八島線は第1次特定地方交通線に指定されたうえで廃線となり、1985(昭和60)年10月に由利高原鉄道鳥海山ろく線に引き継がれています。
羽後矢島(やしま)駅は国鉄の前身である鉄道省矢島線の駅として1938(昭和13)年10月21日に開業した駅で、地名である矢島は「やじま」ではなく「やしま」と読むことから、四国にある高徳線屋島(やしま)駅と区別するために旧国名を冠した羽後矢島駅になったようですが、由利高原鉄道に移管される際、矢島駅に改称されています。
〇委 前郷駅発行 普通入場券
1984(昭和59)年11月に矢島線(廃止。現・由利高原鉄道)前郷駅で発行された普通入場券です。
白色無地紋のB型大人・小児用券で、新潟印刷場から移管された民間印刷券となっています。
当時の同駅は交換設備のない停留場のような駅でしたが、もともとは貨物取扱駅として矢島線内の中では比較的利用客がある駅で、交換設備が撤去されたうえで、国鉄末期まで業務委託駅として駅員が配置されていました。
矢島線はこの券が発売されてから約10か月後の1985(昭和60)年9月に廃止され、第3セクターの由利高原鉄道鳥海山ろく線の駅として移管され、同時に交換設備が復活し、現在では交換可能な有人駅となっています。
JR東日本 桜木町駅発行 観光記念入場券(小児用)
前回エントリーでJR東日本根岸線桜木町駅で発行された観光記念入場券の大人専用券を御紹介致しましたが、小児専用券もありましたので御紹介致しましょう。
大人専用券と同じ1989(平成元)年9月に発行されたもので、様式的には大人専用券と全く同じで、「小」の影文字が入っているくらいの違いしかありません。
裏面です。これは小児専用券のものですが、大人専用券も同じです。小児専用券が1600番台であるのに対し、大人専用券が3500番台となっておりましたので、小児専用券は大人専用券の半分くらいしか発売されていないようです。
大人専用券と小児専用券のデザインが全く同じであり、双方を購入する購入意欲があまり湧かなかったのでしょう。大人専用券と小児専用券のイラストを違うものにすれば、もう少し売り上げが向上したかも知れません。
JR東日本 桜木町駅発行 観光記念入場券
1989(平成元)年9月に、JR根岸線桜木町駅で発行された、観光記念入場券です。
白色無地紋のD型大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。
同駅の硬券入場券は国鉄時代の比較的早い時期の軟券化によって発売されていませんでしたが、同年3月25日から10月1日に開催された横浜博覧会YES'89に合わせて観光入場券が設備されていたようです。この券を購入したときは、みどりの窓口に観光入場券を発売している旨のポスターが貼られている程度で、大々的なPRはしていなかったと記憶しています。まだ国鉄時代の慣習が抜けていなかったのでしょう。
券は左半分が入場券となっており、右半分は観光記念のイラストとなっており、桜木町だから桜の木なのでしょうが、かなり安直です。
当時はまだ、ベイブリッジが開通したばかりで、みなとみらい地区の住所表記が「みなとみらい」に決定された頃で、横浜ランドマークタワーやパシフィコ横浜などはありませんでしたがコスモクロック21という大観覧車はありましたので、もう少し何とかならなかったのかというイラストです。
品川駅発行 東京山手線内から伊豆急下田ゆき 片道連絡乗車券
1981(昭和56)年3月に、品川駅で発行された伊豆急下田ゆきの片道連絡乗車券です。
青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
乗車経路は東京山手線内各駅~(東海道本線)~熱海~(伊東線)~伊東~(伊豆急行)~伊豆急下田となっており、途中東海道線区間については新幹線の利用も可能です。
通常の国鉄長距離乗車券の様式に準じていますが、東京印刷場では小児運賃の収受に関する営業事故を防止する目的で、連絡乗車券については小児運賃が記載されているため、特徴的な様式になっています。
これは、この券の運賃である2,510円が国鉄運賃1,700円と伊豆急行運賃810円の合算になっており、これを小児運賃に変換すると、国鉄運賃850円と伊豆急行運賃405円の10円未満切り上げの410円の合算で1,260円になるということですが、国鉄の小児運賃は10円未満切り捨てであるのに対し、私鉄の小児運賃は10円未満切り上げとなる計算の煩雑さから、2,510円を2で割って算出された1,255円を切り捨てた1,250円ではないということを表しています。
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