趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
京王帝都電鉄 渋谷から80円区間ゆき片道乗車券 ~その2
前回エントリーで京王帝都電鉄(現・京王電鉄)渋谷駅の多能式券売機で発行された80円区間ゆきの片道乗車券を御紹介いたしましたので、今回は単能式券売機で発行された券を御紹介いたしましょう。
昭和56年8月に単能式券売機で発行された、黄色けいおうていと旧自社地紋のA型金額式券売機券で、スミインク式となっています。
前回エントリーで申し上げましたように、同社では単能式券売機と多能式券売機では券の様式が異なっており、多能式券売機のものは現在でも見られる一般的な様式の金額式であるのに対し、単能式券売機のものは、発駅と金額の間を矢印ではなく「から」という文字で結んでいる、何となく硬券の様式を踏襲したような様式となっていました。
されに、他の駅では単能式券売機と多能式券売機に装填されている券紙は同じ桃色地紋の券紙が使用されていたのに対し、渋谷駅ではなぜか黄色地紋の券紙が使用されていました。
桃色地紋の券紙は横につながったロール紙となっていたのに対し、黄色地紋の券紙は縦につながったロール紙となっており、これは機種ごとに異なっていた挿入可能な券紙の種類によるものかもしれませんが、他にも使用例があったかとは推測しますが、私の記憶では渋谷駅以外で黄色地紋の券は見たことがなかったと記憶しています。
同駅では黄色地紋の券は昭和61年での発行例がありますが、スミインク式から感熱式に代替するタイミングで、黄色地紋の券は単能式券売機の消滅もしくは途中での券紙変更によって知らない間に姿を消してしまったようです。
京王帝都電鉄 渋谷から80円区間ゆき片道乗車券 ~その1
昭和56年6月に京王帝都電鉄(現・京王電鉄)井の頭線渋谷駅で発行された、渋谷から80円区間行きの片道乗車券です。
桃色けいおうていと旧自社地紋のA型金額式券売機券で、スミインク式の多能式機で発行されたものです。
当時は現在のようにPASMOやSuicaなどのIC乗車券などは無かったですから、渋谷駅のように常時混雑している駅の出札口には券売機が壮大に連なって並んでおり、多能式機(購入する券種を選んでボタンを押して購入する機種)のほかに、お金を入れたら決められた金額の乗車券しか発行されない単能式機が混在していました。
同社では多能式機と単能式機ではなぜか券の様式が全く違っており、どちらの機種で発行されたかが一見して判別できたのが特徴でした。
東京急行電鉄 桜木町駅発行 来駅記念入場券
今からちょうど13年前の平成15年4月25日に東京急行電鉄(現・東急電鉄)東横線桜木町駅で発行された来駅記念入場券です。
白色無地紋D型大人専用券となっています。
東京急行電鉄では「来駅記念」として主要駅でD型硬券の入場券を発売していた時期があり、この券はその中の1枚です。
券面左側には各駅の名物が描かれており、同駅分はみなとみらい地区を望む風景となっています。
同駅は平成16年1月31日午前1時5分、横浜~元町中華街間の横浜高速鉄道開業に伴う東横線の横浜~桜木町間の廃止によって、渋谷発の最終電車の到着を以って営業を終了し、同日付で廃止になってしまっています。
新線への付け替えに伴うとは言え、1日10万人が乗り降りする駅であったにもかかわらず、都会の大手私鉄の駅が廃止されるのは異例のことではなかったかと思います。
JR東日本 代々木駅発行乗車票 ~その2
前回エントリーで平成26年月にJR東日本代々木駅で発行された「乗車券購入・変更・払戻・Suica再発行乗車用」の乗車票を御紹介いたしましたが、平成30年2月に発行された現行券を御紹介致しましょう。
前回御紹介した券同様の白色無地紋で周遊券サイズの券ですが、平成26年版の券の目的駅が「原宿・新宿 / 四ツ谷 /( )」となっていましたが、現行では「渋谷 / 新宿 / 四ツ谷 」に変更されています。
これは、平成29年1月に原宿駅のみどりの窓口が閉鎖されたため、その代わりとして同駅が着駅から外され、1駅先の渋谷駅まで乗車可能区間が拡大されたための変更です。
大抵、どこの駅の分でも何等かの事情で任意の着駅が設定できるようにしているのでしょうか、着駅の最後には「( )」のように空欄が設けられていますが、この券には空欄がありません。
JR東日本 代々木駅発行乗車票 ~その1
平成26年11月にJR中央本線代々木駅で発行された、「乗車券購入・変更・払戻・Suica再発行乗車用」の乗車票です。
白色無地紋の周遊券サイズの券となっています。
この券は、同駅ではみどりの窓口が平成26年11月に閉鎖されています関係で乗車券の発行や変更の内容によっては制限があって取扱いできないため、みどりの窓口まで出向かなければならない場合、無料で近隣のみどりの窓口設置駅まで乗車するための乗車票です。
発行駅でスタンパーを捺印して往路みどりの窓口のある駅まで乗車し、用事が済んだあとは復路発行駅まで乗車することができます。
JRAの勝馬投票券
久しぶりに、乗車券類とは関係ない話題を。
競馬場やJRA(日本中央競馬会)の場外で購入することができる、俗に「馬券」と言われるものの正式名称は「勝馬投票券」と言います。今回は勝馬投票券のいろいろを御紹介いたしましょう。
最近、学生時代の友人から頂いた勝馬投票券で、すべて「ハズレ馬券」と呼ばれる紙切れ同様のものです。私は学生時代以来「馬券」を購入していませんでしたので、久しぶりに見た馬券にはQRコードがあるわ、「フォーメーション」だの「軸2頭ながし」だのと知らない用語があります。
まずは「フォーメーション」という買い方の馬券です。
これは3着までの馬をいくつかの組み合わせで予想するものです。
その他、「軸1頭ながし」や「軸2頭ながし」、「ボックス」など、面白い購入の仕方があります。
購入の仕方については置いておいて、これらの馬券を見た時、馬券の世界までが進化していることに驚きました。
まずはQRコードです。
以前は磁気券のような気がしたのですが、今ではQRコードで券の内容を読み取るようになっているようです。
鉄道乗車券の世界ではまだ磁気券が主流ですが、ゆいレールや東武鉄道のライナー券など、改札機に乗車券のQRコードをかざして改札を行うものも少数派ながらあります。
裏面です。QRコードを使用して識別するために以前のように裏面に磁気塗膜はなく、その代わり、払い戻し等の注意事項が印刷されています。
管理人の最大の興味は券のサイズです。
一見定期券サイズの券に見えますが、実際に計測してみますと、横辺は85mmで乗車券と同一であるものの、縦辺は53mmとなっており、乗車券の57.5mmよりも4.5mmほど小さいサイズでした。
JR東海 新城駅発行 豊橋接続新名古屋ゆき片道乗車券
民営化間もない、昭和62年12月にJR東海飯田線の新城駅で発行された、豊橋駅接続新名古屋(現・名鉄名古屋)ゆきの片道連絡乗車券です。
桃色こくてつ過渡期暫定地紋のB型一般式大人・小児用券で、名古屋印刷場で調製されたものです。
国鉄時代は静岡鉄道管理局管内であったため、国鉄末期には東京印刷場で調製された券も登場していましたが、JRとなってからは名古屋印刷場で調整された券に戻されているようです。
乗車経路は新城駅~(JR飯田線)~豊橋駅~(JR共用区間・平井信号所経由名鉄名古屋本線)~新名古屋駅という経路で、豊橋駅~平井信号場間はJR東海飯田線と名古屋鉄道本線との共用区間で事実上折り返し乗車となりますが、この区間内にある船町駅と下地駅はJR飯田線専用で名鉄の列車は伊奈駅まで停車しないことと、平井信号所では旅客の取扱いが無いことから豊橋駅での接続となり、重複乗車とはなりません。
同区間はJR東海が所有する下り線を飯田線と名鉄の下り列車(中部天竜・名鉄岐阜方面ゆき列車)が通り、名鉄が所有する上り線を名鉄と飯田線の上り列車(豊橋ゆき列車)が通ることになっています。これは昭和2年6月に愛知電気鉄道(現・名鉄名古屋本線)の豊橋駅延長開業の時、豊川鉄道(現・JR東海飯田線)線路を共用する協定が結ばれ、これが現在も継続していることに由来します。
ちなみに、共用区間の信号・電気・運行管理は上下線ともすべてJR東海が行い、名鉄はJRに業務を委託しているようです。
豊橋駅は開通した経緯から飯田線の2番線と名鉄線の3番線のホームが共用の構造になっており、JRの在来線ホームの中程に1本だけ名鉄線のホームがあるようになっています。ホーム上には乗換精算所はありますが、連絡乗車の需要は高く、飯田線豊橋口の有人駅には大抵名鉄線への連絡乗車券の設備があったように記憶しています。
しかし、現在ではICカード乗車券が一般的になっており、平成24年頃にJR東海と名古屋鉄道間の一般旅客に対する連絡運輸は廃止されてしまっています。
岩手開発鉄道 盛から30円区間ゆき片道乗車券
前回エントリーで岩手開発鉄道盛駅で発行された、同駅から30円区間ゆきの片道乗車券を御紹介いたしました。廃札券ではありますが、同駅から30円区間ゆきの金額式大人専用券がありましたので御紹介致しましょう。
灰色地紋の金額式大人専用券で、地紋がはっきりしないので仔細不明です。
地紋部分を拡大してみましたが、不鮮明でわかりづらく、詳細は不明です、ただ言えることと致しまして、前回エントリーで御紹介いたしました福島電気鉄道地紋のものとは違うものですが、活字の雰囲気から印刷場は同一のようです。
岩手開発鉄道 盛から40円区間ゆき片道乗車券
昭和54年7月に岩手開発鉄道盛駅で発行された、盛から40円区間ゆきの片道乗車券です。
青色FTDふくしまでんきてつどう地紋のB型金額式大人・小児用券で、確実ではないですが、井口蔭印刷で調製されたものと雰囲気が良く似ています。
同社の硬券乗車券は旅客輸送廃止末期に作成された金額式硬券や年代不詳の廃札券は硬券売買市場でもたまに出回っているようですが、昭和50年代に実際に使用された券となると、あまり見かけないような気がします。
地紋を良く見ますと「青色FTDふくしまでんきてつどう地紋」という変な券なので、わかりづらいので地紋を拡大してみましょう。
どういう経緯であったのか分かりませんが、岩手開発鉄道とは全く関連のない福島電気鉄道の自社地紋の券紙が使用されています。
しかも、この券の印刷に対して当該地紋は何の関連性も無かったことからテキトーに扱われたようで、券面の印刷に対し、逆さまに使用されています。
この券は単純に印刷場でデッドストックとして残されていた福島電気鉄道地紋の券紙を転用して作成されたものと言われており、他に、秋田県にあった同和鉱業小坂鉄道の硬券にも同様の事象が見られました、
福島電気鉄道は現在の福島交通の前身で、明治40年代に開通した「信達軌道」に遡ります。信達軌道は大正15年に福島電気鉄道に改称され、紆余曲折を経て、昭和37年に福島交通に改称されています。
JR東日本 佐貫駅発行 土浦ゆき小児用往復乗車券
前回および前々回エントリーでJR東日本の簡易委託用および一般用の往復乗車券を御紹介いたしましたので、今回は同社の小児用往復乗車券を御紹介致しましょう。
平成元年9月に常磐線佐貫駅で発行された、土浦ゆきの小児用往復乗車券です。
青色JRE地紋のA型小児用往復券で、東京印刷場で調製されたものです。
小児専用券ですので小児断片が無い様式となっており、前々回に御紹介いたしました簡易委託券とレイアウトがよく似ています。
再掲しますが、〇簡 穴山駅で発行された簡易委託用の往復券です。「〇ム」や「〇簡」などの符号の有無に違いがありますが、基本的なレイアウトは同一です。
裏面です。
裏面には「下車前途無効」の文言が往路用および復路用それぞれに表記され、往路用券は若干小さ目のためか、細い活字が使用されています。
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