趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
JR北海道 豊幌駅発行 野幌駅ゆき片道乗車券
1998(平成10)年10月に、JR北海道函館本線の豊幌駅で発行された、野幌駅ゆきの片道乗車券です。
灰色JR北地紋の補充片道乗車券(補片)で発行されています。
一般的に、補片は券に直接記入し、左側にある報告片にも記入して切り離すという発券方法が採られていますが、御紹介の券はJR北海道の補片末期の様式で、ノーカーボン複写式になっており、複写された片を旅客に交付する方法で発券されます。
そのため、券紙の周囲はノーカーボン紙特有の圧力による擦れでできた黒い汚れができています。
同様の方式として、鹿児島県と熊本県を結ぶ、肥薩おれんじ鉄道でも、複写式の補片が使用されています。
記入したところをよく見ますと、ノーカーボンで複写されたことがよく分かります。
裏面です。裏面には従前の様式同様、ご案内文が印刷されています。
JRでは現在、乗車券用の特別補充券としては出札・改札用特別補充券のみになっており、補片および補往については設備廃止されています。
JR九州 田主丸駅発行 三鷹駅ゆき片道乗車券
2008(平成20)年9月に、JR九州久大本線の田主丸駅で発行された、JR東日本中央本線三鷹駅ゆき片道普通乗車券です。
若草色JRK地紋のノンカーボン式特別補充券で、駅名記入式の一般的な様式です。
当時、同駅には出補の他に補片と補往が設備されていましたが、特にお願いしたわけではありませんが、出補によって発券されました。
受託駅員氏にお伺いいたしましたところ、補片と補往についてはJR九州自社完結の乗車券を発行する際に使用し、JR九州~JR西日本~JR東海~JR東日本といった他の旅客鉄道会社を跨ぐ他社関連の乗車券を発行する際には出札用の特別補充券を使用するように指導されているとのことでした。
発券は大変スムースで、ご紹介のような、博多駅~東京駅を山陽・東海道新幹線経由とした一般的なルートになりますと、主要駅への運賃および有効日数などを一覧に収めたファイルが窓口に備え付けられており、金額と経由の記載方法はそのファイルを見ながら作成されていました。
本当は東京都区内の駅で下車する予定で購入しておりましたが、JRでは使用済み補充券の取扱いには厳格で、たとえ自分が使用したものでも基本的に持ち帰りが不可であることから、同じ運賃で東京都区内を通り過ぎていく三鷹駅まで購入し、都区内の目的駅で途中下車することによって手元に残しています。
JR九州では、久大本線経由で博多駅と由布院駅や別府駅を結ぶ新たな観光特急の「かんぱち・いちろく」を運転することを発表しています。この列車名は、明治・大正・昭和にかけて久大本線の全線開通実現に尽力した麻生観八と、線路を由布市に通すように働きかけ、現在の由布院駅周辺の発展に貢献した衛藤一六に由来するものということで、2024年春の運行開始を予定しているそうです。
新車両は豪雨被害で不通となっている肥薩線を走っていた、管理人のハンドルネームにもなっております「いさぶろう・しんぺい」の車両を改造することになっており、1号車と3号車に旧いさぶろう・しんぺいの車両を活用し、ラウンジの入る2号車はキハ125形の列車を1両導入するとされています。
この観光列車のダイヤはまだ発表されていませんが、カッパの形をした駅舎で有名な田主丸駅が停車駅になるようで、今後の観光需要が期待されているとのことです。
JR北海道 ◯簡 石狩沼田駅発行 増毛から桑園ゆき 片道乗車券
2015(平成27)年10月にJR北海道留萌本線の◯簡 石狩沼田駅で発行された、同じく留萌本線の増毛駅から函館本線の桑園駅ゆきの片道乗車券です。
若草色JR北地紋の出札用特別補充券で発行されています。
同駅では同駅発となる乗車券が数口座設備されておりますが、それ以外の乗車券については補充券での対応になっています。
本当はそのまま東京都区内までの区間を購入したかったのですが、同駅で発行できる乗車券はJR北海道旅客鉄道会社線完結のものに限るとされておりましたため、増毛駅から札幌駅まで乗車する分についてのみ購入しました。乗車予定区間は札幌駅までで、札幌駅から先については札幌駅で購入することといたしましたが、補充券については着駅の札幌駅で回収されてしまうため、運賃が同じ1駅先の桑園駅まで購入し、途中下車をすることによって手元に残すことができました。
御紹介の券は册番0086の冊子の中の1番券でした。
JR東日本 松本駅精算所発行 復路専用乗車券
1996(平成8)年10月に、JR東日本篠ノ井線松本駅の精算所で発行された、松本から塩尻ゆきの復路専用乗車券です。
青色JRE地紋のA型矢印式大人・小児用千切り式券となっています。
この復路専用乗車券は、精算所で塩尻~松本間の旅客運賃を精算した旅客が所用を済ませて塩尻へ戻る場合、予め復路分の松本~塩尻間の運賃も収受して乗車券を発行するもので、普通乗車券のようではありますが、正式には「別途往復乗車券」という改札補充券になります。そのため、当時の同区間の片道旅客運賃は230円のところ460円を収受することから、券面には「往路分の230円もいただいています。」という文言があります。
松本駅の精算所に復路専用乗車券が設備されていた背景は、同駅の位置に関係します。
JR東日本の路線図を見るとわかりやすいかと思いますが、同駅は塩尻駅で合流する中央東線および中央西線の列車が直通して乗り入れる場所にあり、篠ノ井線の他、大糸線とアルピコ交通上高地線の始発駅になっており、松本市の中心駅になります。松本市は経済規模では長野市に次いで2番目の規模の長野県内の中核都市です。
このような位置関係により、中央東線と中央西線を乗り継ぐ旅客の中には、途中松本へ寄り道する需要が多く、その中でも中央東線と中央西線を通しで乗車券を購入する長距離旅客は塩尻~松本間の乗車券を所持していないため、松本駅で下車するために精算所で精算をするケースが多く、復路専用乗車券が設備されたようです。
同駅の復路専用乗車券は国鉄時代から引き継がれ、平成10年頃まで設備されていたようですが、敢えてこのような券を設備しなくても、精算所で往路分の片道運賃だけを収受し、復路分については自動券売機で塩尻駅までの乗車券を購入して乗車すれば良いだけであるため、現在は設備されていないようです。
JR東日本 小田原駅発行 区間変更券 ~その2
前回エントリーの「JR東日本 小田原駅発行 区間変更券 ~その1」で同駅発行の在来線用の区間変更券を御紹介いたしましたが、同駅では長距離用の区間変更券も設備されておりましたので御紹介致しましょう。
廃札券になりますが、同駅発行の新幹線を経由する区間変更券です。青色JRE地紋のA型一般式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
同駅は東海道新幹線停車駅ですので、新幹線への乗換改札口には精算窓口がありますので区間変更券は通年発売されておりますが、同精算窓口はJR東海が運営しており、通年発売のJR東日本の区間変更券はありませんでした。様式的には在来線用のものと同一ですが、「新幹線経由」という経由表記と、民営化してしばらくしてから採用された新幹線経由を示す経由欄したのアンダーラインに特徴があります。
裏面です。
御紹介の券は福岡市内ゆきですので姪浜・下山門・今宿および周船寺駅を除く福岡市内各駅下車前途無効である旨の他、区間変更券独特のものになりますが、“券面に「(コ)○○円」と表示した場合は、表記金額から差し引く額です。”という文言が記載されています。
御紹介の券は福岡市内ゆきですが、他にも名古屋市内・京都市内・大阪市内などの常備券がいくつかあり、常備券の無い区間については入鋏式の特別補充券での対応であったと記憶しています。
新幹線経由の長距離用券となりますと、本来のキセル乗車対策という趣旨から外れてしまいますが、これから新幹線に乗車する旅客から精算を申し出られた場合、「新幹線は先の精算所で」という案内は出来ませんので、ここでの精算をせざるを得なかったという事情があったと考えられます。
また、区間変更の収入配分については追徴金額に拠りますが、一旦旅客が旅行を開始した旅客鉄道会社(JR東日本小田原駅)の収入となり、その後一般的に3000円未満の追徴額については精算をしたJR東日本の収入に組み入れされ、それ以上については営業キロで配分するという運賃配分のルールがあることと、御紹介の券のように全くJR東日本の営業キロが存在しない乗車券を発売しても、JR東海やJR西日本の運賃を収受することで、他社に対する販売手数料収入を得ることができるというJRの内部事情によって、積極的に精算業務が行われていたということもあろうかと思います。
同駅での硬券式区間変更券の取扱いがいつまで行われていたのかは確認しておりませんが、JR東日本では平成初期に硬券を廃止しておりますので、その頃には終了していたのではないかと思われます。また、2003(平成15)年には東西自由通路が開通し、JRと小田急および箱根登山鉄道の改札が分離されており、現在は特別改札そのものが行われることは無いものと思われます。
JR東日本 会津若松運輸区乗務員発行 車内乗車券
戴き物ですが、平成初期にJR東日本仙台支社会津若松運輸区乗務員にて発行された、只見線滝谷から会津柳津ゆきの片道乗車券です。
青色JRE地紋の駅名式券となっています。
駅名の範囲は磐越西線、只見線と東北本線主要駅および横浜市内となっており、新幹線経由の乗車券も発券することができます。
磐越西線の休止駅となっている臨時駅である猪苗代湖畔駅や、只見線の廃止駅となった同じく臨時駅の田子倉駅の記載もありますが、同時に廃止となった柿ノ木駅の記載はありません。
裏面です。
簡素なご案内文が印刷されており、特定都区市内についての記載は「東京都区内」「横浜市内(川崎・鶴見線内)」「仙台市内」のみとなっており、券面の内容に沿った形になっています。
JR九州 市来駅発行 神村学園前までの往復乗車券
前回エントリーで市来駅で発行された神村学園前ゆきの片道乗車券を御紹介いたしましたが、同駅では往復乗車券も購入することができます。
青色JRK地紋の補充往復乗車券(補往)で発行されています。補片とは違い、補往の発行箇所名は市来駅となっており、管理駅の川内駅ではありません。委託駅員氏によりますと、今までの券は川内駅となっていたようですが、最近の新券になってから市来駅に変わったとのことです。
前回エントリーでも申し上げました通り、同駅には神村学園前までの常備券は設備されていませんので、正当要件で往復乗車券も補往での発券となります。往復乗車券については鹿児島中央までの券が常備券で設備されておりますので、発券可能な区間であれば、鹿児島中央以外の区間であれば補往での発券となります。
裏面です。
補片同様、一般的なご案内文になっています。
JR九州 市来駅発行 神村学園前ゆき片道乗車券
前回エントリーで市来駅で発行された210円区間ゆきの片道乗車券を御紹介いたしましたが、同駅からの最短区間駅は210円区間である串木野駅もしくは湯之元駅ではなく、160円区間の神村学園前駅でありますが、160円区間ゆきの片道乗車券は設備されていませんでした。恐らく通学生の定期券需要はあるものの、乗車券の需要は殆ど何のかも知れません。そのため、同区間の乗車券を発売するためには補充券による発売となります。
市来駅で発行された、神村学園前ゆきの片道乗車券です。青色JRK地紋の補充片道乗車券(補片)により発行されています。発行箇所名は管理駅である川内駅となっています。
同区間は常備券が設備されていないため、御紹介の区間での発行は正規要件での発券となります。金額式券は210円区間から5種類程度設備されていますが、発売可能な区間であれ、金額式券の設備のない区間については補充券での発行になるとのことでした。
ちなみに、出札用特別補充券(出補)の設備はありません。
裏面です。
同駅の発売可能な範囲はJR全線ではなく制限がありますが、ご案内文はJRのスタンダードなものとなっており、全国レベルの内容になっています。
JR北海道 〇簡 石狩沼田駅発行自由席特急券
平成27年10月にJR留萌本線「〇簡」石狩沼田駅で発行された、深川から滝川までの自由席特急券です。
若草色JR北地紋の料金専用補充券(料補)で発行されています。
JR北海道の簡易委託駅では一部の自由席特急券が常備券として設備されておりますが、同駅には設備はされておらず、すべて料補での発券となるようです。
実際に乗車いたしましたが車内改札が来ませんでしたので、発行されたままの状態で手元に残りました。
JR東日本 〇社 五反田駅発行 東急線90円区間ゆき区間変更券
平成5年5月にJR東日本山手線の五反田駅にある、東急線乗換改札口で発行された、東急線90円区間ゆきの区間変更券です。
桃色JRE地紋の大人・小児用金額式硬券による常備式改札補充券で、東京印刷場で調製されたものです。
拙ブログ2017年2月12日エントリーの「西武鉄道 高田馬場駅発行 国鉄線110円区間ゆき区間変更券」で御紹介いたしました金額記入式の区間変更券に対し、こちらは完全常備の券になります。
五反田駅では発駅から五反田駅までの40円分が過剰な原券に対し、五反田駅から90円区間ゆきの東急線運賃部分の40円分に原券の過剰分を充て、不足分の50円のみを収受したうえでこの券を発行します。
裏面です。
発行箇所名は「〇社 五反田駅発行」となっていますが、発行する事業者は東急電鉄であるものの、連絡通路にある中間改札では被乗継事業者が設備した乗車券を発売しますが、区間変更にかかる改札補充券はその逆となり、乗継元の事業者が設備するのが一般的のようで、この券もその例に拠ります。
90円のうちの50円を収受し、不足の40円分を原券から振り替える、要するに90円から領収額である50円を差し引くと40円になりますので「この券は90円のうちの40円分」であるという意味で「4/9」と記載されています。
大変ややっこしいです。
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