趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
小湊鐵道 車内補充券
小湊鐵道の車内補充券です。
小湊鐵道は千葉県市原市にある内房線五井駅を起点とする非電化私鉄で、東京近郊にある私鉄でありながら、タイムスリップしたような佇まいを見せる路線です。
同線の列車は全列車に車掌さんが乗務しており、五井駅のJR線からの乗換口に改札がないことと、駅の殆どが無人駅であることで、車内補充券の出番は頻繁にあります。
左から「運賃」「駅名」「日付」の順に並んで印刷されたシンプルなもので、使い勝手は悪くなさそうです。
都営バス 深夜中距離バス領収証
東京の銀座四丁目から四ツ谷駅・新宿駅・荻窪駅を経由して、三鷹駅北口まで、関東バスの深夜中距離バスが運行されていますが、平成13年の9月までは、都営バス(東京都交通局)と共同運行となっていました。
これは都営バスの領収証です。
通常、運賃箱の領収証発券機能で乗車券と領収証が発券されるのですが、このときは発券機が故障し、運転手さんが非常用に常備していた駅名式の領収証が出てきました。
券はワープロで印字したものをコピーしただけのもので、普段使用していないで長期間持ち歩かれていたのか、かなり痛んでいます。
発券に際し、乗車停留所ごとに用意された券に日付をボールペンで記入し、下車停留所欄をパンチで穴あけする単純なものです。
ここで注目したいのはパンチでした。
パンチの鋏痕を拡大してみました。
鋏痕の形は丸「●」ではなく、四角い形「■」をしています。
私の記憶では、まだ都電全盛期であったころ、電車に乗ると車掌さんから切符を購入したものですが、そのときに穴を開けていたパンチがやはり四角い鋏痕であったと思います。
恐らくですが、昭和40年代後半に現在の荒川線を除く都電全線が廃止され、そのとき不要になった車掌さんのパンチがそのまま転用されていたものと思われます。
帝都高速度交通営団 補充片道乗車券
帝都高速度交通営団(=営団地下鉄、現・東京メトロ)四谷三丁目駅発行の都営地下鉄泉岳寺駅ゆきの補充片道乗車券(補片)です。
四谷三丁目駅は管理人が幼少の頃に住んでいた家の最寄り駅で、今では考えられないような話ですが、駅に遊びに行くと駅員氏が出札窓口のある駅事務室へ迎え入れられ、ダッチングで日付を打って硬券を発売している様子を観察していたものでした。どういう理由だったのか覚えていませんが、「大きい切符」といって戴いたのがこの補片でした。
営団線自社完結の乗車券は硬券で設備されていましたでしょうから、補片は設備されていない他社線駅ゆきの連絡乗車券として使用されていたと思われます。
JR東日本 一時預り切符
JR東日本の一時預り切符です。
今や大きな駅ではコインロッカーが設備され、わざわざ駅の窓口で携帯品を預けることはなくなり、事実上過去のものとなった感がしますが、辛うじて極少数の駅で生き残っている絶滅危惧種のような券です。
事実、関東圏のJR東日本管内の駅で携帯品一時預りの業務を行っているのはたったの一駅のみだそうです。
裏面にはご案内文が印刷されており、携帯品一時預りのシステムは、受託時に1日分の預り料を徴収され、以後1日ごとに料金が発生し、6日目以降は倍額となり、15日を過ぎても引取らない場合、処分されることが記されています。
右下に「(19.6.佐野納)」と書かれていることから、平成19年6月に印刷されたことがわかります。
受託に際しては、上半分の裏面に預け主が住所と氏名を記入し、記入された券片が鉄道側の控えとし、下半分が預け主の控え兼引渡証となります。
鉄道側控え券および預け主の控え兼引渡証には券番が印刷され、切離し線の部分にも太い赤字で割印のように券番が印刷されています。
国鉄時代の一時預り切符の未使用券です。
様式は現行のものと殆ど変化はないようで、券全体の全容がわかります。
裏面です。
鉄道側控え片の住所・氏名記入欄の様子がよくわかります。
長野電鉄 湯田中駅発行学割連絡乗車券
長野電鉄湯田中駅発行の、東京都区内ゆき学割乗車券です。
長野電鉄は現在、JR線との連絡運輸区域を大幅に縮小してしまっており、JR東日本区間は篠ノ井線、篠ノ井(今井)-直江津間および軽井沢-上田間、JR東海区間は静岡、浜松、豊橋-米原間および洗馬-勝川間のみとなっていますが、かつては広範囲な連絡運輸を行っていました。
特に、温泉地として名高い湯田中駅は温泉の他にスキー場などの観光資源が豊富であり、需要の多い口座については学割専用券の設備もありました。
他の学割専用券の設備の無い駅については、大人・小児用の乗車券に学割の印を捺印のうえで発売されていました。
国鉄 往復乗車券の反転地紋
国鉄時代の昭和42年、熱海駅で発行された湯河原駅ゆきの往復乗車券です。
熱海駅・湯河原駅共に有名な温泉地を控えた駅であり、湯治客が頻繁に行き来したのでしょうか、常備往復乗車券が設備されていました。
昭和40年代前半までの国鉄の往復乗車券は、往路用(ゆき券)と復路用(かえり券)の地紋が異なっており、復路用の地紋が反転された印刷になっていました。
地紋の反転部分を拡大してみました。
反転していても双方の輪郭は合致しており、白抜き部分のみが反転していることがわかります。
このような例は私鉄の往復乗車券でも見られます。
特に、現在でも硬券を発売している会社では、往路と復路の地紋に違いがあるようです。
小田急電鉄は硬券の発売は終了しておりますが、かつて新宿駅で発売されていた往復乗車券です。
こちらも地紋が往路券と復路券で色が変わっています。
やはり、地紋を拡大してみました。
たしかに往路券と復路券で色目が異なっています。
しかし、国鉄のそれとは違って反転させているのではなく、地紋はそのまま、うっすらと同系の色をつけているようです。
こちらは上信電鉄の往復乗車券です。
やはり地紋を拡大してみましょう。
小田急同様、往路券と復路券の地紋は同じですが、復路券については何か他の印刷が重ね刷りされているように見えます。
小児用 補充連続乗車券
昭和58年5月に南武線矢向駅で発行された、小児用の連続補充乗車券(補連)です。
国鉄の青色の補充乗車券は、補充片道乗車券(補片)と補充往復乗車券(補往)については小児用の設備はなく、大人用の券に「○小」のゴム印を捺印して小児用券として発券していましたが、補連については小児用券が存在しておりました。
ただ、補連に「○小」のゴム印を捺印した券の例を見たこともありますので、すべての駅に小児用の補連が設備されていたわけではなさそうですし、わざわざ小児用の券を設備しなければならない必要性があったとも思えません。
裏面です。
補連の、しかも小児用券となりますと需要は殆どなかったのでしょうか、注意書きの中に「東京電環」の表記が見受けられます。
東京電環が東京山手線内に改称されたのが昭和47年9月ですので、少なくともそれ以前に印刷されたものが残されたままになっていたと考えられます。
富山地方鉄道 車内発行座席指定券
富山地方鉄道の車内発行座席指定券です。
同社では「アルペン」号と「うなづき」号という有料特急列車が運転され、拙ブログ12月27日エントリーの「富山地方鉄道 特急券」にて御紹介いたしました特急券を購入すれば乗車することができますが、2両編成の列車のうち1両は座席指定制となっているため、指定席車に乗車する際には別途座席指定券が必要になります。
通常は予め駅で端末発行の座席指定券を購入するわけですが、同線では途中駅では特急券は発売されていますが座席指定券の発売はしておらず、途中駅から座席指定席車両に乗車する旅客に対応するため、車掌さんが座席指定券を携帯しています。
乗車区間の指定はしていないようで、乗車日、列車名および指定座席番号の記載だけです。
列車名はアルファベットで略して表記され、APは「アルペン」、UNは「うなづき」をそれぞれ示します。
他に、特急券と座席指定券の双方を持たない旅客に対応する、座席指定特急券もあります。
途中区間の特急料金100円と座席指定料金210円を合計した310円となっており、小児用の途中区間の特急料金50円と座席指定料金210円を合計した260円としても発売できるよう、小児断線が設けてあります。
列車名の表記は座席指定券と同じですが、AP・UNの他に今は走っていないTY「立山」の表記も残っていますが、もう一つのSPが何なのかわかりません。
かつて存在したJR乗り入れ特急の「スーパー」を示すのでしょうか?
ご存知の方が居られましたら是非ともご教示いただきたく…
JR東日本 ホリデー・パス 常備券
JR東日本では、土曜・休祝日および4月29日~5月5日、7月20日~8月31日、12月29日~1月3日の毎日使用できる、ホリデー・パスを発売しています。
現在、ホリデーパスはマルスや指定券発売機等で発券されるものとなっていますが、かつては常備券も存在しておりました。
平成9年に小山駅で発行されたホリデー・パスです。
左半分がイラストで、乗車券部分は右側半分になります。
事前に前売りで発売することもでき、実際に使用する日を有効日欄に捺印して使用します。
裏面です。
ご案内文によりますと、利用期間が平成9年10月4日~平成10年3月29日の土曜日・日祝日および、平成9年12月27日~平成10年1月6日となっており、現在のものとは利用期間が少々違っているようです。
また、フリーエリアも改訂され、現在ではりんかい線全線および東京モノレール線全線も含まれるようになっています。
青春18きっぷ 赤券
JR北海道札幌駅発行の、今シーズン冬の青春18きっぷです。
所謂「赤券」と呼ばれる常備軟券で、発行箇所名は記入式です。
通常の青春18きっぷはマルス端末やMV端末で発券されるのが一般的ですが、JR北海道と西日本、四国、九州のごく一部の駅では赤券が発売されています。
赤券は蒐集家の間では大変珍重される存在で、これを入手するため、わざわざ遠路はるばる発売駅まで購入しに行かれる方も多くおられるようです。
札幌駅という大きな駅に赤券があることがあまり認知されていないのでしょうか、券番はまだ2桁になって間もない程度です。
裏面のご案内文書です。
発売される都度内容が細かくなってきており、一昔前のものと比べると、かなり文字が小さくなってしまっています。
4年前の赤券のご案内文です。
この頃から比べますと、だいぶ内容が細かくなってきたことがわかります。
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