趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
宝達駅発行 金沢ゆき 鉄道経由乗車券
昭和59年4月に七尾線宝達(ほうだつ)駅で発行された、金沢ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ地紋の一般式B型券で、名古屋印刷場にて調製されたものです。
乗車経路は、宝達~(七尾線)~津幡~(北陸本線)~金沢となっておりますが、経由表記には「鉄道経由」と表記されています。
鉄道の乗車券なので鉄道経由であることは間違いではないのですが、「津幡経由」としないで「鉄道経由」としていることには理由がありました。
当時の国鉄には、名金線と七尾を結ぶ宝達本線と森本から津幡・高松・宝達を経由して羽咋まで達する羽咋線という自動車線が存在し、こちらも同じ国鉄の路線であったことから、
単に「津幡経由」と表記しただけでは自動車路線にも乗車できることとなってしまうため、同区間の乗車券には鉄道線と自動車線の区別をはっきりさせる必要がありました。
現在のマルス端末では「七尾・北陸経由」となるものと思われますが、もう少し詳細にして「七尾線・津幡・北陸経由」とするよりも敢えて「鉄道経由」とした方が旅客が認識しやすいものと考えての措置であったものと思われます。
国鉄バス宝達線はJRに継承されることなく、昭和62年3月29日を以って廃止されてしまっており、このような対策を採る必要はなくなっています。
秩父鉄道 寄居駅発行 急行リバイバルカラーデビュー記念急行券
秩父鉄道寄居駅で本年10月26日に発売されました、リバイバルカラーデビュー記念急行券です。
黄色秩父鉄道自社地紋のB型券で、どちらかと言うと半硬券のような薄っぺらな券です。
券面は縦型で日付はダッチング風に予め印刷されており、12月31日までに1回限り有効となっています。
描かれている車両かかつて秩父鉄道の急行用であった300系電車で、平成4年に引退しています。
今回、現役の急行用車両である元西武鉄道101系の6000系電車のうちの一編成を、同社秩父地域開通100周年を記念し、かつての秩父鉄道標準カラーであった茶色とベージュの塗り分けにして当時のカラーを再現しています。
急行券1枚につきペーパークラフト型の台紙が付き、実際に急行列車を利用する観光客には評判のようで、券番から察するに発売から一週間で100枚近く発売されているものと思われます。
この記念急行券は急行列車の停車駅各駅に設備されており、券面は発行箇所のみ異なっているだけで、様式は同一です。
穴山駅発行 高尾・立川間ゆき乗車券
昭和51年5月に中央東線穴山駅で発行された、高尾・立川間ゆきの片道乗車券です。
青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、新潟印刷場にて調製されたものです。
穴山駅は当時、国鉄東京西鉄道管理局管内の駅でしたが、韮崎など長野方面の駅で発行されていた乗車券類は新潟印刷場の管轄となっており、このような券が発売されていました。
「〇ム」表記の券で、簡易委託となっていたことから、発行箇所名が「穴山発行」となっており、「駅」の文字がありません。
国鉄末期になると、東京西鉄道管理局管内の乗車券については東京印刷場が全面的に管轄するようになり、券の様式に変化が生じます。
着駅は東京山手線内ゆきのものですが、昭和61年11月に穴山駅で発行された片道乗車券で、青色こくてつ地紋のA型一般式大人専用券です。
東京印刷場では、東京西局管内の穴山、千葉局管内の行川アイランド・那古船形・江見・下総橘の各駅用の乗車券類には特殊な簡易委託用の様式を定めており、「〇ム」および「〇簡」を券面に表示し、断片は不要としています。
ちなみに、水戸局管内の簡易委託駅用は「水戸局〇ム様式」というものが別に定められており、券面に「〇ム」および「〇簡」を表示するところまでは共通ですが、小児断片を付けて断片金額に小児運賃を表示し、発行箇所名に「駅」の文字を入れます。
東京ステーションシティ あるこう!東京駅~日本橋百年散策 記念レプリカ硬券 ~その5
引き続き、「あるこう!東京駅~日本橋百年散策」レプリカ硬券の話題です。今回が最終回ですので、もうすこしお付き合いください。
では、今回はそれぞれの券の裏面を見てみましょう。
まずは東京駅で配布された券です。
JRのマークではなく、国鉄時代に使用されていた動輪マークです。ここで動輪マークが出てくるのですから、やはりこくてつ地紋として貰いたかったところです。
券番は通し番号となっており、右側に「②」の表記があります。これは恐らく循環番号であるものと思われます。
レプリカ硬券の配布は10月11日から行われており、これをゲットしたのはイベント開始1か月後の11月8日でしたので、28日目の配布となります。すると、単純に15,771枚目ということになり、1日あたり563枚近くの枚数が配布されていることになります。
次はCOREDO室町の券です。三井不動産のマークとなっています。ここはいちばん東京駅から遠いことと、テナントビルであることから客の入りが悪いのでしょうか、一番券番が進んでいません。
こちらは大丸東京店のもので、大丸のマークとなっています。
ここは券番が進んでおり、循環番号は「③」まで行っていますので20,478枚目となっております。
やはり東京駅に一番近いデパートであることが枚数が進んでいる理由であると思われます。
日本橋高島屋のもので、高島屋のマークとなっています。
大丸東京店ほどではありませんが、間もなく循環番号が一巡しそうな勢いです。
最後は日本橋三越本店のもので、三越のマークとなっています。
日本橋高島屋に比べると券番は進んでいないようです。
この連休、日本橋散策を楽しまれた方も多いのではないでしょうか?
鉄道とは関係の薄いレプリカ硬券とは言え、よくよく観察してみると大変面白いものです。
まだ、蒐集に出かけられていない方、今度の土日は必須ですよ。
※ 高島屋の「高」は「髙」と言う字が正当ですが、環境依存文字のためにすべての機器で再現されないため、敢えて「高」という字を使用しています。
東京ステーションシティ あるこう!東京駅~日本橋百年散策 記念レプリカ硬券 ~その4
前回に引き続き、「あるこう!東京駅~日本橋百年散策」レプリカ硬券の話題です。もうすこしお付き合いください。
前回エントリーで5か所すべての硬券をコンプリートした訳ですが、東京駅以外の券にはオリジナルの地紋があります。
今回はそれらの地紋を観察してみましょう。
COREDO室町地紋です。
桃色でCOREDOという文字が斜めに入れられており、どこかのCI新地紋のようです。
大丸東京店はこくてつ地紋を基に作成されたような大丸地紋で、動輪の代わりに大丸のマークが描かれています。
日本橋高島屋もこくてつ地紋を基に作成されたような地紋で、動輪の代わりに高島屋のマークが描かれています。
日本橋三越本店も他のデパートと同様で、こくてつ地紋を基としたものに三越のマークが描かれています。
これら4か所の券については地紋が描かれていますが、東京駅で配布されているものだけは無地紋です。せっかくならば国鉄もしくはJRの地紋を入れてもらえれば趣味的に素晴らしいものとなったのでしょうが、JRとしてそれは避けたかったのでしょう、地紋は省略されてしまっているところが少々残念です。
しかし、無料配布のレプリカ硬券としてはこれだけの出来であれば上出来です。
配布期間は12月20日までのイベント期間中の土日祝日となっているようですが、記念台紙やレプリカ硬券は無くなり次第配布終了とのことですので、もしかするとイベント期間中でも配布が終了してしまうかもしれません。
この連休中に日本橋散策をしながらレプリカ硬券蒐集はいかがでしょう?
では次回、レプリカ硬券の裏面がどのようになっているのか、御紹介いたしましょう。
※ 高島屋の「高」は「」と言う字が正当ですが、環境依存文字のためにすべての機器で再現されないため、敢えて「高」という字を使用しています。
東京ステーションシティ あるこう!東京駅~日本橋百年散策 記念レプリカ硬券 ~その3
前回に引き続き、「あるこう!東京駅~日本橋百年散策」レプリカ硬券の話題です。
3枚目は大丸東京店で配布されている券です。
桃色大丸地紋のB型一般式券で、区間は大丸東京店から東京ゆきとなっています。発行箇所名は大丸東京店です。
大丸東京店は東京駅に隣接しているために「東京から日本橋散策に限り有効」となっていますが、区間は東京ゆきとなっており、何となく区間との辻褄が合わない券となっていますが、これはレプリカ硬券ですから御愛嬌でしょう。
次は日本橋高島屋で配布されている券です。
桃色高島屋地紋のB型一般式券で、区間は日本橋高島屋から東京ゆきとなっており、発行箇所名は日本橋高島屋です。
こちらの券は「日本橋から東京散策に限り有効」となっており、大丸東京店のものとは異なります。
最後のスポットの日本橋三越本店で配布されている券です。
桃色三越地紋のB型一般式券で、区間は日本橋三越本店から東京ゆきとなっており、発行箇所名は日本橋三越本店です。
こちらの券も「日本橋から東京散策に限り有効」となっており、協賛企業発行のものでは大丸東京店だけ、方向が異なっています。
これで5か所のスポットすべての硬券をコンプリートできました。
それぞれを東京駅でゲットした記念台紙に挟むとこのようになり、
こんな風になって完成します。
では次回、各々の地紋について詳しく見てみましょう。
※ 高島屋の「高」は「」と言う字が正当ですが、環境依存文字のためにすべての機器で再現されないため、敢えて「高」という字を使用しています。
東京ステーションシティ あるこう!東京駅~日本橋百年散策 記念レプリカ硬券 ~その2
前回引き続き、「あるこう!東京駅~日本橋百年散策」イベントの記念レプリカ硬券の話題です。
では、今回は各ポイントで配布されているレプリカ硬券を御紹介いたしましょう。
まず初めは東京駅で配布されている券です。
白色無地紋のB型一般式券で、東京印刷場の雰囲気を醸し出しているものです。印刷場はだいたい察しが付きますが、確信が持てないので言及は避けます。
区間は東京から日本橋ゆきとなっており、「東京から日本橋散策に限り有効」となっており、「下車前途無効」の表記もあります。発行箇所名はイベントの主催者である東京ステーションシティ運営協議会です。
小児断片の表記は縦書きとなっており、国鉄末期に東京印刷場で調製された、静岡地区の乗車券みたいです。
日付は14.12.20と打たれており、年号の「14」は2014年の「14」です。敢えて西暦としたのはイベントのパンフレットがすべて西暦で表示されていることと、本物の乗車券と同じ表示にすると紛らわしいからではないかと思っています。
2枚目はCOREDO室町で配布されている券です。
桃色のCOREDO地紋のB型一般式券で、区間はCOREDO室町から東京ゆきとなっています。
東京駅のものとは違い、「日本橋から東京散策に限り有効」となっており、発行箇所名はビルの管理会社である三井不動産発行となっています。
では次回、残りの3か所分を御紹介いたしましょう。
東京ステーションシティ あるこう!東京駅~日本橋百年散策 記念レプリカ硬券 ~その1
東京ステーションシティ運営協議会では、東京駅開業100周年記念イベントとして、「あるこう!東京駅~日本橋百年散策」というイベント本年12月20日まで行っており、イベントの一環として、散策ルート内にある5か所のスポットで、それぞれ記念レプリカ硬券を配布しています。
また、東京駅では赤レンガ駅舎の形をした記念台紙も配布しています。
こちらが記念台紙です。
二つ折りとなっていて、裏面はこんな感じです。
これを開くと、こうなります。
開いた中面です。
見開き左側には協賛企業の紹介が印刷されています。
東京駅のほか、COREDO室町・大丸東京店・日本橋高島屋・日本橋三越本店の5か所で、これらがお目当ての硬券を配布しているスポットです。
見開き右側は、それぞれゲットした硬券が挟めるようになっています。
見開きを開くとこのようになります。
では、記念台紙をゲットしたところで、記念レプリカ硬券を求めて、日本橋散策を開始しましょう。
記念レプリカ硬券は次回御紹介いたしましょう。
※ 高島屋の「高」は「」と言う字が正当ですが、環境依存文字のためにすべての機器で再現されないため、敢えて「高」という字を使用しています。
一畑電気鉄道 第1種車内補充券
前回エントリーで一畑電車の第1種車内補充券を御紹介いたしましたが、26年前の一畑電気鉄道時代に発券されたものがございますので御紹介いたしましょう。
昭和63年9月に北松江線車内において車掌さんから購入した、「正統派」の第1種車内補充券です。
青色一畑電気鉄道自社地紋の券紙で、現行使用されているものと様式的には同じものです。
発行していただいた車掌さんの話では、前々回エントリーさせていただきました駅名式券を社線完結の乗車券として使用し、国鉄連絡用として第1種も携帯しているとのことで、連絡乗車券は発券するのに手間がかかるのであまり使用しないけれど、収集用として買うのであれば、社線区間だけであればすぐにできるからこちらも切りましょうか?と言われ、お願いした次第です。
裏面です。
現行のものとほぼ同じですが、「国鉄線」の表記と「片道50キロメートル~」の部分が現行券と異なっています。
また、現行券にはありませんが、通行税に関する文言が一番上に記載されています。
参考までに、前回ご紹介いたしました現行券の裏面を再掲します。
旧様式券には無い項目として、福岡市内の筑肥線関連の除外駅についての文が新たに追加され、グリーン券の案内では、旧様式券では単に「グリーン券」とされていたものが、現行券では「自由席のグリーン券」となっています。
一畑電車 第1種車内補充券
本年10月に一畑電車雲州平田駅で発行された、第1種車内補充券です。
青色一畑電気鉄道自社地紋のカーボンレス券で、かなり厚めの券紙となっています。
発行箇所名は一畑電鉄列車区乗務員発行となっており、分社化前の一畑電気鉄道時代の残券が使用されています。
駅の方に聞きましたところ、同社には出札補充券は存在せず、かつて車内補充券として使用されていたものを、出札補充券代用として使用しているとのことですが、たとえ駅で発行されたものであっても発行した時間の直後に発車する列車名を記入するのが正当な発行方法なのだそうです。
事由欄には「片道」のほか、「急」「Aグ」「Bグ」「区変」と記載されており、いろいろな事由があるなかで、片道および区変以外、同社オリジナルの様式であるのに、全く縁のない事由が列記されているのが不思議な券です。
同社では収集用として発券することを会社として認めており、同駅には「記念にいかがですか」というPRまで貼られていましたので、今回はモザイクを付けないで御紹介いたします。
裏面です。
最新のご案内文とは言えませんが、「旅客鉄道会社」や「片道100キロメートル以内~」と、印刷時に改版がきちんと行われているものと思われます。
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