趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
福島交通 60円区間ゆき鉄道乗車券(車掌発行)
もうすこし、福島交通の鉄道乗車券ネタにお付き合いください。
今回御紹介の券は、昭和61年8月に訪問した際に購入したものです。
前回および前々回に御紹介いたしました320円区間ゆき券および70円区間ゆき券と様式は同じ緑色FKKふくしまこうつう自社地紋の千切り金額式券となりますが、途中駅である美術館図書館前駅がまだ森合駅から改称される前に設備されたもので、「美術館図書館前」の標記はなく、「森合」となっています。
福島交通 70円区間ゆき鉄道乗車券(車掌発行)
前回エントリーで同社の320円区間ゆき鉄道乗車券を御紹介いたしましたが、購入した時に最安であった70円区間ゆき券も同時に購入いたしましたので御紹介いたしましょう。
320円区間ゆき件同様緑色FKKふくしまこうつう自社地紋の千切り金額式券となっています。券番が000020と若く、ほぼ売れないまま車掌の精算金用バックに入れられていたものと思われ、だいぶへたってしまっています。
前回御紹介の320円区間ゆき券と比べますと、様式は同じですが、「福島交通鉄道乗車券」の字体が320円区間券のものと異なっており、印刷時期によって活字が異なっていた可能性があります。
福島交通 320円区間ゆき鉄道乗車券(車掌発行)
平成21年2月に福島交通飯坂線車内で購入した飯坂温泉から320円区間ゆきの片道乗車券です。
緑色FKKふくしまこうつう自社地紋の千切り金額式券となっています。
地方私鉄では乗車券類に自社地紋が使用されている例が多数ありますが、同社の場合、昭和37年に福島電気鉄道から福島交通に社名が変更されており、恐らく流用されたものと思われますが、最近まで同和鉱業小坂鉄道の乗車券に見られた福島電気鉄道時代の地紋も存在するわけで、同社では社名変更後、改めて自社地紋を制定していたことになります。
写真ではわかりづらいですが、発駅である「飯坂温泉」の欄に概算鋏で穿孔されており、券面右側には、上から日付・小児および割引・発駅の順で表示されます。
同社では現在も車掌が乗務して車内精算を行っていますが、この様式の券は設備廃止となり、駅名式の補充券による発券になっているようです。
JR北海道 (函)桂川から(函)姫川ゆき片道乗車券
平成29年3月にJR東日本阿佐ヶ谷駅の熱転写式指定席券売機で購入した、(函)桂川から(函)姫川ゆきの片道乗車券です。
桂川(かつらがわ)駅は函館本線にあった駅で、戦時中の昭和19年に桂川信号場として開設された信号場が始まりで、その後昭和54年に仮乗降場に昇格し、昭和62年の国鉄民営化のタイミングで駅に再度昇格されています。
JR西日本東海道本線にも同じ名前の桂川(かつらがわ)駅があり、JR九州筑豊本線にも読み方の異なる桂川(けいせん)駅があることから、函館本線の駅であることを示す「(函)」の線名符号が付されています。
一方、着駅の姫川(ひめかわ)駅も函館本線にあった駅で、大正2年に姫川信号所として開設された信号所が始まりで、大正11年に信号場に改称された後、昭和26年に仮乗降場に昇格し、桂川駅同様、昭和62年の国鉄民営化のタイミングで駅に再度昇格されています。
同駅も桂川駅同様JR西日本大糸線にも同じ名前の姫川(ひめかわ)駅が存在することから、函館本線の駅であることを示す「(函)」の線名符号が付されています。
信号場(信号所)は分岐器(ポイント)や信号設備が設けられている場所で、運転扱いは行われるものの、旅客や貨物の取扱を行わない停車場であったり、駅間にある複数の路線や車庫・工場・操車場などの分岐点となっている場所であったりと、旅客とは直接関係のない設備で、仮乗降場は、一般駅が国鉄本社の認可のうえで設置されていたのに対し、現場である鉄道管理局の判断のみで設置された仮の乗降場で、旅客扱いを行なう停車場のひとつでした。(一部、一時的に本社設定の認可に基づく仮乗降場も存在したようです。)
国鉄という組織が無くなったことに関連しているものと思われますが、昭和62年の国鉄民営化で駅に昇格されていて、現在は存在しないものと思われます。
話が逸れますが、平成26年3月に廃止された元仮乗降場であるJR東日本仙山線にあった八ツ森駅だけは、国鉄民営化で臨時駅になったものの、駅名標には最後まで「八ツ森仮乗降場」と表示されていたと記憶しています。
これら函館本線に存在した信号場(信号所)・仮乗降場という経緯を辿った「(函)」の線名符号が付された両駅ですが、この券が発行された翌日の平成29年3月4日のダイヤ改正で、同じ森町の東山駅、長万部町の北豊津駅、蕨岱駅と共に廃止されてしまっています。
西武鉄道 新桜台駅発行 祝・21世紀記念乗車券
前回エントリーで西武鉄道の桜台駅で発行された「祝・21世紀」の記念乗車券を御紹介いたしましたが、同社地下区間である有楽町線新桜台駅でも同じ企画の記念乗車券が発行されておりましたので御紹介いたしましょう。
2001(平成13)年1月に西武鉄道新桜台駅で発行された、「祝・21世紀」記念の140円区間ゆき片道乗車券です。
桃色せいぶてつどう自社地紋のD型大人専用金額式券で、こちらも山口証券印刷で調製されたものと思われます。
右側の券面は桜台駅発行のものと同様に「新桜台から西武線140円区間ゆき」という基本的事項と、有効期限および「下車前途無効」の文言があります。左側のイラストには「新桜台」を捩った「しんさくら鯛」という文字と、たい焼きのような鯛のイラストが描かれており、桜台駅分と比べると、少々強引な気がします。
日付は西暦表記となっており、赤色の天虎ダッチング風の字体で印刷されているところも桜台駅発行分と同様です。
西武鉄道 桜台駅発行 祝・21世紀記念乗車券
2001(平成13)年1月に西武鉄道桜台駅で発行された、「祝・21世紀」記念の140円区間ゆき片道乗車券です。
桃色せいぶてつどう自社地紋のD型大人専用金額式券で、山口証券印刷で調製されたものと思われます。
西武鉄道の祝い事とは全く無関係な21世紀を迎えたことによる「記念きっぷ」ですが、当時、他の鉄道事業者も世間のお祝いムードに便乗して、このような記念乗車券を発行したようです。
右側の券面は「桜台から西武線140円区間ゆき」という基本的事項と、有効期限および「下車前途無効」の文言があります。左側のイラストには「桜台」を捩った「さくら鯛」という文字と、たい焼きのような鯛のイラストが描かれています。
日付は西暦表記となっており、赤色の天虎ダッチング風の字体で印刷されています。
裏面です。
券番の他には自動改札には通れない旨が記載されており、発行箇所名の表記はありません。
JR東日本 信濃境駅発行180円区間ゆき金額式乗車券
前回および前々回エントリーでJR東日本信濃境駅で発売されていた190円区間ゆきの金額式常備軟券を御紹介いたしましたが、同駅の硬券時代に発売されていた180円区間ゆきの金額式券が手元にございましたので御紹介いたしましょう。
桃色JRE地紋のB型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
JR東日本の簡易委託駅用の金額式乗車券は千葉支社管内などの一部駅のものを除いて直営駅のものと様式的には似ていますが、「口東」の発区分符号の右と発行箇所名の左側に「〇ム」の表記があるという違いがあります。
JR東日本 信濃境駅発行190円区間ゆき金額式乗車券 ~その2
前回エントリーでJR信濃境駅で発行された190円区間ゆきの大人・小児用金額式常備軟券を御紹介いたしましたが、同駅には同区間の小児専用券も設備されていました。
大人・小児用券と同じ平成28年3月に発行された、信濃境駅から190円区間ゆきの小児専用券です。大人・小児用券同様、桃色JRE地紋のA型金額式千切り常備軟券で、発売額は190円の半額で10円未満切り捨ての90円となります。
ここ数年、JR東日本の簡易委託駅は常備軟券の設備からPOS端末に転換されるか完全無人化のどちらかという変革が至るところで起こっていますが、常備軟券が設備されていた頃でも小児専用券は必ずしも設備されていたわけではない少数派でした。
現在でも常備軟券を発売している駅は数駅残っていますが、そのいづれもが売上枚数が大変少ない駅となっており、小児専用券を設備している駅はありません。信濃境駅が小児専用券を発売していた当時、長野管内に小児専用券を発売している駅はすでに他にはなく、同駅の券がJR東日本の金額式常備軟券最後の小児専用券であったものかもしれません。
JR東日本 信濃境駅発行190円区間ゆき金額式乗車券
平成28年3月に、中央東線信濃境駅で発行された190円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色JRE地紋のA型大人・小児用金額式千切り常備軟券となっています。
信濃境駅は長野県富士見町にある簡易委託駅で、東京方面からの下り線において長野支社に入って1番目の駅であるとともに、常備軟券を売る駅であり、運悪ければ受託者様の「お前なんかに売る切符はないよ」オーラを受ける駅として趣味の世界では有名な駅でしたが、この券が発売された3日後の平成28年4月からはPOS端末が導入され、常備軟券の発売が終了しています。しかし、現在ではPOS端末導入からわずか1年で簡易委託が解除され、現在は完全無人化されてしまっています。
同駅はJR東日本から長野県富士見町に駅業務が委託され、シルバー人材センターのような事業者に再委託をしてるという方式が採られていました。受託事業者は発売する券の数パーセントを「委託料」として収受することが可能ですが、発売する乗車券類は事前に大量のまとまった枚数を購入しなければならず、その負担は莫大なものになりますが、それでも利用者の利便を確保するため、簡易委託業務が各地で行われていました。
JR東日本としては印刷の手間と費用が掛かり、自動化されていないために手作業で行わざるを得ない売上管理が面倒で、しかも自動改札に通せないために着駅での有人改札業務が必要となる常備軟券は当然ながら淘汰していきたいという方針を打ち立てていますが、「民間会社」として利益と省力化を重視する企業としては当然のことになります。
しかし、月に数万円必要と言われている端末の利用料は受託者負担となっており、月間の売上額から端末利用料を差し引かれてしまえば受託者側には利益は残らないわけで、常備券時代のように「前払い」でまとまった乗車券を予め購入する負担との引き換えとは言え、委託解除・そして完全無人化という道は想定内の結果であると言わざるを得ないのかもしれません。
今回の信濃境駅の無人化は、どうにかして町内のJR駅の無人化を避けたかった富士見町にとって、1年の試行期間を経ての苦渋の決断であったのではないかと考えてしまいます。
北陸鉄道 浅野川線用車内補充券
平成28年9月に北陸鉄道浅野川線列車の車内にて購入した七ツ屋駅から140円区間ゆきの車内補充券です。
白色無地紋のペラ紙の地図式券となっています。
北陸鉄道浅野川線では終日ワンマン運転となっていて車掌は乗務しておりませんが、平日朝の2往復のみ、通勤・通学客で混雑するために車掌が乗務しています。
控え片も同じような用紙となっていてどっちがどっちなのか分かりづらい様式で、発駅および日付・運賃区間・小児等の割引区分のみを入鋏して発券されます。
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