趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
和倉温泉駅発行 金沢ゆき 乗車券・急行券連綴券
前回エントリーで四国の連綴券を御紹介いたしましたので、名古屋印刷場調製の連綴券を御紹介いたしましょう。
昭和60年8月に和倉温泉駅で発行された、金沢ゆきの乗車券・急行券連綴券です。青色こくてつ地紋のD型券で、名古屋印刷場で調製されたものです。
四国のものとは違い、乗車券が左側、急行券が右側についています。このような連綴券は名古屋印刷場の他に札幌・仙台・新潟・大阪・広島・門司の各印刷場がこの並びとなっており、四国のもの(高松印刷場)のみが左右逆のA型券となっています。
七尾線の急行停車駅では金沢までの需要がそこそこあるようで、大抵の駅にこのような連綴券が設備されていたようです。
松山駅発行 〇讃高松ゆき 乗車券・急行券連綴券
前回エントリーでJR四国の乗車券・急行券の連綴券を御紹介いたしましたので、国鉄時代の四国の連綴券を御紹介いたしましょう。
昭和57年3月に松山駅で発行されたもので、青色国鉄地紋のA型券で、高松印刷場にて調製されています。
様式的には地紋や「口四」の符号以外、ほぼJR四国へ継承されておりますが、昭和50年代のものは活版印刷でありましたので、かなり感じが異なります。
再度JRとなってからのものをアップいたしますが、活版印刷から印版印刷に変更となりましたため、かなりデコボコ感がなくなってすっきりとした体裁になっています。
JR四国 窪川駅発行高知ゆき 乗車券・急行券連綴券
平成2年7月に窪川駅で発行された、高知ゆき乗車券と100kmまでの急行券の連綴券です。
青色JRS地紋のA型券で、急行券と乗車券の境目にあります切り離し用の破線の辺りに太い赤一条のラインがあります。
国鉄高松印刷場で調製された様式が継承されておりますため、左に急行券・右が乗車券と、他社の連綴券とは左右逆になっています。これは国鉄時代より四国では急行列車が終着駅に到着する直前に車掌が車内で急行券のみ回収する習慣があり、この時に旅客から預かった連綴券を二つに折って半分から切り離した上、右手で乗車券のみ旅客へ渡しやすいようにと考えられたものと聞いています。
JR四国の発行である「口四」の符号は急行券部分にのみ印刷されておりますが、これはA型券であるが故の券面スペースの都合でしょうか、乗車券部分にはありません。
本年4月の消費税率改定の際にJRの急行券類の有効期間が当日限りと改訂されましたが、御紹介のような連綴券の場合、営業キロが100km以下の乗車券が発売当日限り有効であるにも拘わらず、急行券については発売日共2日間有効となっており、発券時の手数を減らすために導入された連綴券ですが、何となくしっくりきません。
東武鉄道 北千住駅発行硬券入場券
前回エントリーでとうきょうスカイツリー駅の硬券入場券が発売終了となったというお話をいたしましたが、一方、従来より特急ホームの券売所で発売されておりました北千住駅の硬券入場券については消費税率改定後の新券が出てきております。
今月13日に購入いたしました、北千住駅発行の硬券入場券の新券です。同社の入場料金は大人150円・小児80円に改定されています。様式は従来と同じ、橙色東武鉄道地紋のB型券で、足利印刷にて調製されたものと思われます。
4月1日以降のいつから設備されていたのか分かりませんが、大人用が70番台、小児用が230番台となっており、不自然なほど小児用の券番が進んでいます。
いづれ新券が出ることは予想の範疇ではありましたが、料金改定後こんなに早く新券に切り替わるとは思っておりませんでしたし、新券となれば、とうきょうスカイツリー駅のもののような印版印刷のすっきりとした様式に変更されるものと思っておりましたので、従来様式の活版印刷による新券の登場は想定外でした。
硬券特急券も新券に切り替わっていると思われますが、当日は満席となりませんでしたので入手は叶いませんでした。
東武鉄道 とうきょうスカイツリー駅 硬券入場券発売終了
平成24年3月17日の駅名改称当日、東武鉄道とうきょうスカイツリーライン(旧伊勢崎線)のとうきょうスカイツリー駅で発行された硬券入場券です。
(大人用)
(小児用)
橙色東武鉄道自社地紋のB型券で、足利印刷にて調製されたものと思われます。
これらの入場券は同駅がまだ業平橋駅であった時代の最後の約1年間に、記念コレクション用として業平橋駅の硬券入場券が設備されたことに始まり、駅名改称後もめでたく新駅名の硬券入場券として設備されました。以来、通常発売用として窓口に設備されていましたが、消費税率が変更された本年4月1日付けを以って、新券に切り替えられることなく設備廃止となってしまいました。
こちらは業平橋駅最終日に発行された、同駅の硬券入場券です。日付印字の癖の状況から見て、とうきょうスカイツリーと業平橋双方の券は同じダッチングで刻印されたものと思われます。
一般的には16日で業平橋駅の幕が閉じ、翌17日にとうきょうスカイツリー駅となったというように考えられておりますが、実は、業平橋駅の最終日は17日だったのです。
こちらがとうきょうスカイツリー駅に生まれ変わったはずである17日に発行された、業平橋駅の硬券入場券です。
確かに業平橋駅は平成24年3月16日の営業を以って幕を閉じておりますが、16日の最終電車は下り春日部方面が日を跨いだ翌17日の24時26分発、上り浅草方面ゆきが24時31分発でありましたため、発行日のみ1日送られた「最後の31分間」が本当の最終日となってしまったわけです。
首都高速道路 白魚橋乗継所発行 乗継券
鉄道関連の話題ではありませんが、平成22年3月に首都高速道路白魚橋乗継所で発行された乗継券です。
白魚橋乗継所は首都高速道路1号線の京橋JCT(ジャンクション)から8号線に分岐して100メートルくらい走った所にある乗継所で、そこから先の東京高速道路との境目にあります。
(首都高とKK線)
都内の高速自動車国道以外の高速道路には、首都高速道路(首都高)の他に「東京高速道路」という道路があることは意外と知られていません。正式には東京高速道路株式会社線という高速道路で、通称「KK線」と呼ばれている無料の道路です。
東海道新幹線が東京駅を発車して有楽町を過ぎると進行方向左側に片側1車線の高速道路が見えますが、これがKK線です。
この道路は首都高とは全く別の道路となっており、首都高からKK線に入るということは、一度首都高を降りてKK線に入るということになります。
そのため、首都高を降りて再度首都高に入る場合は、入口でもう一度料金を支払う必要が出てきますが、このKK線は末端の全てが首都高に接続して事実上首都高と一体化しているため、KK線から一般道路に降りずに再度首都高に入る場合は新たな料金が発生しないようになっています。
この乗継券は首都高からKK線に入る際に発行されるもので、再度首都高に入る際には回収されますが、KK線から一般道路に降りる場合は不要となります。
ちなみに、首都高速8号線という路線も意外と知られていない路線で、都心環状線(1号線)から京橋ジャンクションで分岐して東銀座出口でKK線に接続する延長100メートルの区間です。この区間を走行していますと、何となくジャンクションの一部を通過した感じで通り過ぎてしまうため、認知度がかなり低いようです。
長野電鉄 須坂駅発行 補充往復乗車券
前回と前々回で長野電鉄須坂駅発行の補片を御紹介いたしましたが、同駅には補充往復乗車券(補往)の設備もあります。
平成18年7月に発行された補往です、補片同様に水色長野電鉄自社地紋の軟券です。
やはり補片と同じように「口東」の符号があります。
補片と同時に購入しましたので、この後平成22年8月にも購入しておりますが、この4年間に補片が260枚発行されているのに対して補往は30枚しか発行されておらず、殆ど需要が無かったものと思われます。
あまり需要がないものでしたので4年が経過しても印刷ロットは変わっていないはずですから、新券にはなっていないと思われ、この調子では、現在でも新券が出ている可能性は低そうです。
長野電鉄 須坂駅発行 補充片道乗車券 (~その2)
前回エントリーにて長野電鉄須坂駅で発行された補充片道乗車券に旧券と新券が存在したことを御紹介いたしましたが、今回はそれらの活字を詳細に見てみましょう。
先ずは各々の券を再度掲載します。
(旧券)
(新券)
1枚目(上)が旧券で、2枚目(下)が新券です。見た目は同じ様式ですが、活版印刷からオフセット印刷に印刷方法が変更されましたため、仔細に見ますとところどころ違います。
今回はいくつかあるフォントの違いを比べてみたいと思います。比較の画像はすべて、上段が旧券で下段が新券です。
先ずはヘッダー部分です。
社名の「(長野電鉄)」の文字が、いかにも活版印刷チックな雰囲気を醸し出しており、「口東」の符号もかなり太さが違います。また、「甲」の文字もポイントが大きくなっておりますし、「普通乗車券」の文字は明らかにポイントと間隔が異なります。
次は発駅名の表記です。新券はポイントが大きくなり、かなり大きくなった印象を受けます。
次は通用期間の表記です。「発売」と「共」、「間有効」の文字の大きさはほぼ同じですが、「日」の横幅がかなり太くなっています。
発行箇所名です。字の大きさは殆ど変りませんが、新券のものはかなり詰め込まれたような感じです。
最後に枠と四隅の「工」の文字および入鋏欄です。新券では入鋏欄の点線が太くなり、「工」の文字がやや細くなっています。
これらの違いは購入した時には気づかないまま後日手元の券と見比べて気づいたものですが、なかなか現地では気づきにくいものですから、「もう持っているから」と購入の見逃すと、あとで後悔してしまいそうです。
長野電鉄 須坂駅発行 補充片道乗車券 (~その1)
本年4月1日付けにて長野電鉄はJR東日本との連絡運輸を廃止しておりますが、同社の補充片道乗車券(補片)は連絡運輸用として設備されておりましたので、もしかすると連絡運輸の廃止と共に設備廃止となるか、もしくは社線専用の硬券式の補片に替わるものとなるかもしれません。
いずれにせよ、今後お目にかかれる条件が激減してしまいました、須坂駅の補充片道乗車券を御紹介いたしましょう。
平成18年7月に発行された、篠ノ井ゆきの補片です。水色長野電鉄自社地紋の軟券です。JRと同じ大きさの補片サイズで、松本電鉄のものと同様、左上にJR東日本管内で発行されたことを示す「口東」の符号があります。
こちらは平成22年8月に同じ須坂駅で発行された補片です。1枚目と同じ水色長野電鉄自社地紋の軟券ですが、1枚目のものとフォントが微妙に違っている新券です。1枚目のものが活版印刷であるものに対し、2枚目はオフセット印刷に変更となっているようです。
1枚目の券の裏面です。
最新のご案内文ではありませんが、比較的一般的なものとなっています。
2枚目の「新券」の裏面です。ご案内文の内容に相違はありませんが、印刷方法が変更となりましたため、文字が若干大きくなり、くっきりとした印象を受けます。
東京都区内から尾張一宮・岐阜間又は岐阜羽島ゆき乗車券
昭和61年8月に新橋駅で発行された、東京都区内から尾張一宮・岐阜間又は岐阜羽島ゆきの片道乗車券です。
青色こくてつ地紋のA型一般式券で、東京印刷場にて調製されたものです。
この券は東京都区内から東海道本線をひたすら下り、在来線の尾張一宮・木曽川・岐阜の各駅ゆきもしくは東海道新幹線の岐阜羽島ゆきとなるものです。
ちょうどこの運賃帯区間である東京起点383.1km~396.3kmの間には、東海道本線とは離れた所にある新幹線駅である岐阜羽島駅が岐阜駅と同じ東京起点396.3kmのところに位置しておりますため、着駅が二手に分かれた形の独特な乗車券として誕生してしまったようです。
本来であれば2枚に分けてそれぞれ別口座とすべきなのでしょうが、分けてしまえばそれほどの需要が見込めなかったという理由があったのかもしれませんが、東海道新幹線も同じ東海道本線の一部であるため、敢えて各々を分けることなく、全く別の区間である2方向の着駅を「又は」という文言を間に入れて1つに纏めてしまったものと思われます。
現在のようにマルスによって都度乗車券を発券する時代となっては考えられないことですが、常備券全盛の時代では、このような特徴のある券が存在していました。
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