趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
JR北海道 室蘭車掌区乗務員発行 第1種車内補充券
昭和63年2月に千歳線列車車内にて室蘭車掌区乗務員に発行された、第1種車内補充券です。
黄褐色こくてつ地紋の暫定地紋券で、ノンカーボン式の様式です。印刷時の裁断がかなり歪んでいたのでしょうか、上下の辺がかなり斜めにカットされて歪な形になっています。
この券を購入した「2785」という列車は恐らく2785Mという恵庭15時40分ごろに運転されていた普通列車と思われますが、電車列車を示す「M」記号は省略されているようです。
それにしても、車掌さんが揺れる車内で両足を踏ん張って胸ポケットから料金早見表を取り出して運賃を調べ、ボールペンで補充券を記入発行する姿を見なくなってから、もう20年近くが過ぎ去っています。
JR北海道 稚内駅発行 780円区間ゆき乗車券
昭和62年5月に稚内駅で発行された、780円区間ゆき乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型金額式券で、札幌印刷場で調製された、国鉄時代から引継がれた残券が使用されています。
国鉄民営化当時の昭和62年4月から翌3月までの1年間、JR各社では乗車券の印刷業務上の理由から暫定的に国鉄地紋の券紙の使用が認められておりましたが、長距離一般式券やその他一部の口座については国鉄時代の残券がそのまま引き継がれ、「口北」や「口西」といった符号のスタンプが捺印されたものが各地で散見されました。
御紹介の券は金額式券の国鉄時代からの残券で、「国鉄線」のところに「北海道会社線」というゴム印が捺されて使用されています。
JR東日本などの本島会社でもこのような例が存在するかは確認できておりませんが、このような残券の使用例は比較的少なかったのではないかと思われます。
長野電鉄 湯田中駅発行 東京都区内ゆき連絡乗車券
昭和42年3月に長野電鉄湯田中駅で発行された、東京都区内ゆきの連絡乗車券です。
青色こくてつ地紋のA型一般式券で、国鉄新潟印刷場で調製された委託調弁券であると思われます。
経由は「屋代・熊谷」となっており、信州中野で河東線(屋代線)を経由して屋代で国鉄信越本線に接続するようになっています。
屋代線はすでに廃止されてしまっており、たとえ現在も屋代線が存在したとしても長野経由のほうが利便性が高いように思われますが、当時は湯田中から屋代線経由で上野まで直通する連絡急行が運転されていたことから、屋代線経由の需要のほうが多かったのではないかと思われます。
この券の日付は菅沼式のダッチングで打たれていますが、日付の右に「ヨ」の刻印の出来る様式のもので、私のコレクションの中では最も新しい「ヨ」印字のある券です。
「ヨ」は翌日のヨであると言われており、当日の売上計算を締めてしまった後に発券したために翌日扱いの売上精算であることを示すもので、この印字が出来ない場合は日付の下に黒いアンダーラインを引くことにより表示することもありました。
また、ダッチングの機種によっては、黒のアンダーラインが印字できるものもありましたが、残念ながら現物がコレクションの中にはありません。
京浜急行バス 営業開始10周年記念乗車券 ~その2
前回エントリーで京浜急行バス営業開始10周年記念乗車券の台紙を御紹介いたしましたので、今回は本題となります乗車券について御紹介いたしたいと思います。
1枚目の券です。
夜行高速便に使用される車両で、日野セレガの高速バスの写真となっています。
乗車券部分は神奈川県久里浜市にあります開国橋停留所から横須賀市にありますペルリ記念停留所ゆきの乗車券で、D型の一般式券となっています。
2枚目の券です。
空港リムジンバスやアクアライン連絡バスなどの昼行高速便に使用される高速用路線バスに使用される車両で、1枚目の車両より一世代前のものですが、三菱エアロエースの高速路線バスの写真となっています。
乗車券部分は横浜駅西口にありますYCATから大田区の羽田空港(国際線ターミナル)ゆきの乗車券で、同じくD型の一般式券となっています。
地紋は桃色京浜急行バス自社地紋と思われるもので、同社の社紋があしらわれています。
地紋部分を拡大してみました。京浜急行電鉄の社紋に「BUS」の文字が付けられています。
最後に3枚目の券です。
路線バスに使用される一般車で、台紙と同じいすゞエルガの写真となっています。
乗車券部分は三浦市にあります三崎口駅から同じ三浦市にあります海外停留所ゆきの乗車券で、同じくD型の一般式券となっています。
海外停留所は「かいがい」ではなく「かいと」と読み、三浦市の海外町の中心となる停留所です。
以上3枚が今回の記念乗車券に付けられた乗車券で、都心の大手バス事業者が発行するものとしては珍しい硬券となっています。
裏面です。
3枚とも裏面は共通となっており、この乗車券を実使用した場合には回収をする旨の注意書きが印刷されています。
バスの乗車券は使用すると本当に回収されてしまうことが殆どですので、恐らく、この券を実際に使用した場合には、「お目こぼし」が無い限り、料金箱に吸い込まれてしまうことでしょう。
京浜急行バス 営業開始10周年記念乗車券 ~その1
平成25年10月に京浜急行バスで発行された、営業開始10周年記念乗車券です。
いすゞエルガのフロント部のイラストの表紙となっており、裏返すと、同じくいすゞエルガのリア部のイラストとなっています。
一番下にあります水色の「1028」のシールは、中にあります券の券番となっています。
台紙をひろげるとこのようになります。
京浜急行バスはかつて京浜急行電鉄にあったバス事業部門を平成15年10月に分社化して完全子会社としたバス事業者で、子会社として羽田京急バス・横浜京急バス・湘南京急バスおよび東洋観光バスを傘下に持ち、東京都南部から京浜急行線沿線および三浦半島に路線網を持っています。
その歴史は古く、京浜急行電鉄の前身である京浜電気鉄道が昭和2年に八丁畷駅から路線バスを運行させたのが始まりと言われています。
では、台紙を開いた状態で、台紙の中を見てみましょう。
中にはD型硬券が3枚入れられています。
乗車券の詳細につきましては、次回御紹介いたしたいと思います。
近畿内鉄道事業者 事件・事故等目撃カード
草津線貴生川駅の構内に置かれていた「事件・事故等目撃カード」というものです。
ポケット時刻表のようにケースに入れられて配布されていました。大きさは補片くらいのサイズです。
駅の方には特に伺っておりませんが、列車の中で何らかのトラブルを見かけた時、このカードに必要事項を記入して駅係員に提出するか、緊急の場合には各県警察に直接電話するようになっているようです。
裏面には事件や事故の内容・目撃した日時・場所等を記入するようになっています。
関西の駅では当たり前のものなのかも知れませんが、関東の駅にはこのようなカードは置かれておらず、関東在住の管理人にとっては、大変考えさせられる配布物です。
JR東日本 勝田駅発行 上野ゆきB自由席特急券
本年1月24日に勝田駅で発行された、上野までの自由席のB特急券です。
青色JRE地紋の感熱マルス券です。
自由席特急券なので列車名はありませんが、勝田発のフレッシュひたち号に乗車した時のもので、いわき運輸区の検札スタンパーが捺されています。
常磐線特急のフレッシュひたち号およびスーパーひたち号は3月14日の上野・東京ライン開業に伴うダイヤ改正で大幅にリニューアルされ、品川駅~いわき駅間を運転する新たな特急「ひたち」「ときわ」に生まれ変わります。
管理人のような40代後半の世代には「新たな特急」というより「先祖がえり」といった感じで、学生時代には特急「ひたち」号と急行「ときわ」号が運転されていた時代を思い出します。
国鉄末期の昭和60年に急行「ときわ」は特急「ひたち」に統合される形で廃止されてしまい、その後のひたち号には「スーパーひたち」や「フレッシュひたち」といった派生種の列車が生まれ、平成10年ごろになると特急「ひたち」は廃止されて現在に至っています。
新たな特急「ひたち」「ときわ」は、従来の指定席・自由席の区分をなくし、普通車の全席を指定席とした新たな着席サービスが導入され、今までにない特急料金の料金体系になりますので、常磐線特急の自由席特急券はあと1ヶ月で事実上無くなることになります。
JR東日本ホームページ
JRバス関東 館山支店発行 初大師記念乗車券
平成27年1月にJRバス関東館山支店で発行された、小塚大師さまの初大師記念乗車券です。
桃色JRB地紋のD型券で、往路用と復路用の2枚の一般式券が綴られている様式です。
台紙の裏面です。
小塚大師さまの縁起由来が書かれており、例年になく細かい文章となっています。
硬券部分を抜きますと、そこには「縁起来冨」と書かれています。
今回の乗車券です。
初大師記念乗車券は毎年同支社から発行されており、その様式は毎回異なりますが、今回の券はかなり珍妙な券となっています。
一見往復券のように見えますが、よく見ますと運賃が往路および復路用各々の券に片道分が記載されており、「〇往」や「〇複」の記号がありません。また、発売当日限り有効となっており、通用期間は1日限りです。
これは、同路線は初大師の日1日しか運行されない路線であるために2日間有効とすることができず、片道乗車券を2枚合わせた企画乗車券として発行されたものと思われます。
さらに、往路券と復路券の間に往復乗車券と同じ波線が印刷されておりますが、この部分は波線のみで切り取り線の点線の切り込みは付いておりません。
これは実使用を想定していないのか、記念乗車券なので実使用しても回収しないのか、復路も使用したところで回収するのか、もしくは、往路乗車時に強引に引きちぎるのか、運用方法についても不思議な券です。
ひたちなか海浜鉄道 旧式券売機
先日ひたちなか海浜鉄道の那珂湊にある車庫の周辺を散歩しておりましたところ、屋外に置かれているものを発見しました。
敷地外から撮影したものですので詳細を見ることはできませんが、どう見ても券売機です。
恐らく、那珂湊と殿山・阿字ヶ浦などにあった旧式券売機なのではないかと推測します。本体が白いものが2台と、水色のものが1台あることが見えます。
形状は傾斜型で、茨城交通から引継がれたサーマル式の機器と思われます。
平成22年4月に那珂湊駅にあった旧式の券売機で購入した乗車券です。
この機械は茨城交通時代から那珂湊駅に設備されており、末期には連絡乗車券のボタンが使用中止となった状態で現在使用されている新型機と並んで使用されており、機能が制約された姿は少々痛々しい感じでした。
現在、旧券売機は撤去され、跡地はグッズを陳列しているショーケースになっています。
鉄道事業者にとっては単なる廃棄品なのですが、こんな物でも視界に入ると色々考えてしまいますね。
中野車掌区発行 2等車内乗換券 ~その2
拙2012年7月29日エントリーの「中野車掌区発行 2等車内乗換券」にて国鉄時代の中野車掌区乗務員発行の2等車内乗換券を御紹介いたしました。
これはその時に御紹介いたしました中野車掌区乗務員によって発行された2等車内乗換券という青色こくてつ地紋の駅名式券で、上りと下りのそれぞれに穴を開け、穴のある列で上り列車用なのか下り列車用なのか分かるようになっています。
当初上り列車の中野駅~四ツ谷駅間用として穴をあけられていますが、発行時に間違って次の券も重ねて開けてしまったのでしょうか、訂正印で区間を訂正の上発券されています。
この記事をエントリーさせて戴いた頃は、中央線快速電車にグリーン車が新設されるなどと言うことは考えも及びませんでしたが、先日JR東日本からプレスリリースがあり、とうとうこのようなことが現実のものとなるようです。
中央線快速電車にグリーン車が連結されるということを初めて聞いた時は、正直驚きました。
なぜなら、東海道線などの中距離列車(中電)のような普通車にも便所がついているような列車であれば分からないのでもありませんが、2~3分間隔で運転されている中央線快速電車にグリーン車を連結するというのは山手線の列車にグリーン車を連結するのに匹敵するくらい無謀な冒険のように思えるからです。
尤も、JRのような優秀な企画立案担当者がたくさん在籍しているような会社ですから様々な角度で検証したうえでの発表であると思いますので問題はないのでしょうが、われわれ鉄道業界とは別の世界に居る素人は、東京駅のホームが折返し整備で停車している列車でしょっちゅう満線状態になってしまうのではないかとか、ダイヤ乱れで「折返し準備が出来しだい発車」という状態の時にグリーン車の整備が可能なのだろうかとか、いろいろなことを考えてしまいます。
実際に運転が開始されると、中央・青梅ライナーを利用していた方々がこちらに乗換えてくるかも知れませんし、もしかするとこれが「狙い」で、ダイヤ乱れになると調整の障害となるライナーは廃止されてしまうかもしれません。
もともと「ライナー」という列車は通勤通学時間帯に運転されることでその目的が全うされる列車ですが、ライナーを利用しない利用者の立場からは、急いでいる時に自身が利用しない列車がのんびり通過することでストレスを感じる方も居られるでしょうし、利用するつもりでもライナー券を購入出来なかった利用者にとっては、乗れなかったばかりか、満員電車で立たされて、しかも途中駅でライナーの通過待ちなどされたら、1日の疲れがどっと来ることでしょう。
ただでさえ混雑する中央快速線の電車をせっかく12両編成にするのであれば普通車を2両増結したほうが効果的と考えるのが一般的ですが、首都圏各線の通勤通学時間帯の上り列車の2階建てグリーン車がほぼ満席であることを考えると、逆に新たにグリーン車を2両連結することで、その分普通車の混雑率が緩和されるかもしれません。
JRに批判的と思われるようなことを書くとすぐに「けしからん」というJR親衛隊の皆様からのコメントがたくさん寄せられますが、これは決してJRを批判しているのではなく、個人的な感想ですので、悪しからず。
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