趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
京福電鉄 勝山駅発行 東京都区内ゆき連絡乗車券
昭和53年4月に、今は亡き京福電鉄勝山駅(現・えちぜん鉄道勝山駅)で発行された、東京都区内ゆきの硬券乗車券です。
青色京福電鉄自社地紋のA型券です。経由は勝山駅から京福福井駅を経由し、福井駅で国鉄と接続し、北陸本線米原駅・東海道本線経由で東京都区内までとなります。
当時は地方私鉄から国鉄線内への連絡運輸が比較的広範囲に行われており、都区内の主要な駅の改札では、全国各地からの長距離の着札を見ることができました。
この券は都区内にある国鉄の駅で集札されたもので、当時私が乗車券を蒐集していることを御存じであった改札掛の方が、珍しい券を審査課へ提出しないで、密かに集めておいてくださった中の1枚でした。
裏面です。
東京都区内下車前途無効の文言がありますが、実にさっぱりと1行のみで記載されています。
また、券番がやたら上に偏っており、当時の京福の硬券を印刷していた印刷機が、A型券であってもB型券と同じ場所にしかナンバー印刷ができなかったものであったと推察されます。
当時の運賃は昭和51年11月6日に改定されたものであると思われますが、改定から1年半が経過してもまだ0021という券番は、旧運賃を訂正した残券を発売していた期間を考慮してもあまり進んでいるとは思えず、特に国鉄から乗入列車のあるわけではない同線においては福井駅で国鉄の乗車券を買い直せば良いだけの話であり、わざわざ常備券を設備するほどのものではなかったのかもしれません。
小田急電鉄 厚木駅硬券入場券
前回・前々回とJR厚木駅の話題をエントリーさせていただきましたが、同駅は小田急電鉄の管理下に置かれている業務委託駅となっておりますため、硬券の乗車券の発売はしていましたが、入場券については発売しておらず、小田急電鉄の入場券のみが発売されていました。
この状況は、JR・小田急共に硬券の発売を停止した現在でも続いており、入場券は小田急電鉄の券売機で購入することが可能です。
昭和63年11月に小田急電鉄の窓口で発売された、硬券時代の普通入場券です。白色無地紋のB型券で、井口印刷にて調製された様式です。小児用の設定はなく、大人・小児用一種類のみでした。(同社の硬券入場券に小児用券は無かったように思います。)
前回エントリーのように同駅の硬券乗車券には予めパンチが入れられていましたが、入場券についてはコレクションの需要を考えてのことでしょうか、予めパンチが入れられていることはありませんでした。
小田急電鉄には平成16年12月まで硬券入場券が各駅に設備されていましたが、現在では記念入場券を除き、通常発売のものは廃止されています。
JR東日本 厚木駅発行 硬券往復乗車券
前回エントリーさせていただきました厚木駅には、往復乗車券の設備もありました。
青色JRE地紋のA型券で、金額式券同様、東京印刷場で調製された様式となります。
記憶が定かではありませんが、「一番安い区間のをください」と言って購入した記憶がありますので、寒川ゆきが往復券では一番最安の区間であったように思われます。逆にこの口座の他にも往復券が存在したか、確認はしませんでした。
また、小児専用券の設備はなかったものと記憶しています。
裏面です。
東京印刷場の往復券は大人・小児用券の発行箇所名の記載は裏面にあり、このような感じになっています。(小児断片のスペースの関係と思われますが、小児専用券については表面に発行箇所名が記載されます。)
金額式券同様、発行箇所名の先頭に「〇社」の符号があり、小田急電鉄の窓口で発売されたことが分かります。
余談ですが、小田急電鉄では硬券の乗車券について、出札と改札を一人の係員で行うような小規模の駅では予めパンチを入れられている駅が多く、厚木駅もその部類の駅でした。小田急のパンチは硬券の切りやすい持ち手の部分がカチカチぶつからないタイプのものでしたので、硬券を一度に何枚も切りやすかったこともその要因であったのかも知れません。
JR用の金額式券や往復券もそのような「慣習」の餌食となっており、私が購入した時にパンチの入れられていない「無傷」の硬券を購入することはできませんでした。
JR東日本 厚木駅発行金額式硬券乗車券
昭和63年12月に相模線厚木駅で発行された、140円区間ゆき金額式硬券乗車券です。
桃色JRE地紋のB型大人専用券で、東京印刷場にて調製された様式となります。
昭和63年当時の相模線はまだ全線が電化されておらず、首都圏では八高線と並んで数少ない非電化路線となっていましたが、平成3(1991)年3月に一足先に電化されています。非電化時代晩年はクリーム色と青のツートンであった「相模線色」のキハ30・35型気動車が2両もしくは3両編成で運転されていたローカル路線でした。
厚木駅は小田急小田原線の厚木駅との共同使用駅で、地上に相模線の単線ホームがあり、その上に高架となって小田急線の対向式ホームがある構造となっています。駅業務は国鉄時代から小田急電鉄に委託されており、出改札業務も小田急電鉄が行っています。
御紹介の券は、発行箇所名に「〇社 厚木駅」とあるように小田急電鉄の窓口で発売されていました。
大人専用券の他、小児専用券もありました。
当時、首都圏の近距離硬券乗車券を扱う駅では、発券・精算業務を簡素化する目的で、硬券での発券が常時行われている駅に於いては、比較的重要のある近距離券については大人専用券と小児専用券の双方が設備され、駅によっては大人・小児用券であっても小児専用券が別に設備されていることが多かったように感じます。
そして、大人専用券が設備されている駅でも、概ね51km程度以上の券になりますと大人専用券ではなく、大人・小児用券となっていることが多くありました。これは比較的高額な券の需要が少なくなるため、さらに需要の少ない小児用券については印刷枚数を比較的少量に抑え、欠札などの非常時には大人・小児用券の小児断片での処理で凌ごうという目的があったものと思っています。
愛国から幸福ゆき乗車券
かなり色焼けしてしまいましたが、昭和50年1月に愛国駅で発行された、愛国から幸福ゆきの乗車券です。
焼けてしまって分かりづらいですが、青色こくてつ地紋のB型券で、札幌印刷場にて調製されたものと思われます。
「愛国から幸福ゆき」きっぷは昭和48年にNHKの新日本紀行という番組で幸福駅と同時に紹介されたことからブームが起こり、それまで年間10枚程度しか需要のなかったきっぷが年間300万枚も売れるという「縁起きっぷ」ブームの火付け役となったことで知られ、この1口座で10億円近い営業収入を稼いだといわれています。
しかし、縁起きっぷブームによる営業収入の拡大はできたものの、赤字路線である広尾線の維持費用に達するほどのものではなかったのでしょう、昭和62年2月、JR民営化を目前に控えたタイミングで広尾線が廃線となり、同時に両駅とも廃駅となってしまっています。
ところで、愛国駅はこの券が発売される前年の昭和49年12月15日(約1か月前)に無人化され、以後は大正駅の助役が駅務を兼務するようになっており、発売日から察するにこの券は無人化後に発行されたものではありますが、有人駅時代の残券であった可能性があります。
上の券から7年後の昭和57年8月に訪問した際に購入した券です。数枚購入し、駅で購入した証明として1枚にパンチを入れていただきました。
同じ札幌印刷場調製のものですが、時代の変化によるものでしょうか、「から」と「ゆき」の活字に変化があります。札幌印刷場では昭和50年代半ばにこれらの活字に様式変更をおこなっており、これは変更後のものとなっています。
旧字体の活字は国鉄では使用されなくなりましたが、札幌印刷場の血を受け継いでいた北海道交通印刷という北海道の私鉄の硬券の印刷を請け負っている印刷会社に引き継がれていましたが、同社の活版印刷廃止によって過去のものとなってしまっています。
当時、愛国駅では「愛の国から幸福ゆき」という記念スタンプが設備され、希望すれば裏面に捺印してくれるサービスもありました。
小湊鐵道 馬立駅発行 往復乗車券
小湊鐵道ネタが続きますが、もう少しお付き合いください。
平成22年3月に馬立駅で発行された、上総牛久までの往復乗車券です。
青色JPRてつどう地紋のB型券で、山口証券印刷で調製されたものと思われます。
復券部分の地紋が反転している、私鉄では比較的一般的な様式であると言えますが、当時同社には硬券の往復乗車券の設備例は他になく、唯一の往復硬券となっていました。
同社では社線完結区間について往復割引制度があり、往復乗車をする予定のある一般の旅客は、駅または車内で予め往復乗車券を求めます。そのため、往復乗車券の需要はそこそこあるようです。
しかし、同社の往復割引乗車券に硬券の様式はなく、駅では設備区間については桃色地紋の常備軟券が使用され、それ以外の区間では緑色地紋の往復専用車内補充券が代用で使用されます。そして車内では緑色地紋の往復専用車内補充券が使用されます。
馬立駅も他駅と同様の扱いでありますが、上総牛久ゆき往復のみ硬券の設備がありました。しかし、他に桃色地紋の常備軟券もちゃんとあります。
じつは、硬券は往復割引制度が導入される前から設備されているもののようで、320円という運賃は割引されていない運賃になってしまっています。そのため、別に往復割引が適用された常備軟券があるというわけです。
ではなぜ割引が適用されていない往復乗車券が存在しているのかと言いますと、窓口女史の話では、往復割引があるので従来の往復券は各駅本社に返納されたとのことですが、「良く分からないけど、なぜかこれだけが返納されずに残った」ということで、この券が設備されている理由は特にないのではとのことでした。なので、「きっぷ集めてる人しか買わないよ」とのことで、事実上「きっぷ蒐集家用」の券となってしまっているようです。
こんな貴重な券を発売していた馬立駅ですが、このたびの里見駅有人化に伴って無人化されてしまい、今では購入することはできなくなってしまいました。
小湊鐵道 里見駅発行 五井ゆき硬券乗車券
このたび有人化が復活した小湊鐵道里見駅ですが、地図式券の4口座の他に、今となってはかなり希少な部類であるのではと思われる口座も存在します。
五井ゆきの乗車券です。青色JPRてつどう地紋のB型硬券で、相互式となっています。
同社の社線完結の乗車券はB型硬券の相互式が基本となっていますが、五井ゆきの券だけは、五井駅で乗客のJR自動改札機への誤投入によるトラブルが多発したため、10年以上前からJRの要請により軟券で設備することとなっています。そのため、有人駅各駅では、五井ゆきの口座のみ、相互式ではありますが、桃色地紋のA型常備軟券とされていました。
しかし、今回の里見駅有人化復活に際し、乗車券類は保存されていた無人化前のものが使用されたため、五井ゆきの口座は硬券での設備となっています。駅員氏の話ではこの口座は往復割引の需要が多く殆ど出ないとのことで、未だ硬券が残されていたのだろうとのことでした。
小児用口座もありますが、こちらは当初から設備されていた枚数が少量であったのでしょうか、軟券に切り替えられています。
恐らく、五井ゆき硬券は、現在ある在庫を売り切れば、軟券に切り替わるものと思われます。
小湊鐵道 里見駅発行地図式連絡乗車券の最遠駅
本年3月16日に有人化が復活した小湊鐵道の里見駅ですが、他のきっぷ系ブログでも話題になっている通り、JR連絡券の復活口座に地図式券が含まれています。
今回復活した、里見駅からJR線連絡の大人1900円・小児950円区間ゆきの地図式券の小児用です。桃色JPRてつどう地紋のA型常備軟券となっています。
接続駅である五井駅を起点とし、中央本線は新宿、山手線は大塚および品川、東北線が尾久、京浜東北線が王子、常磐線が北千住とそれぞれ記載されています。しかし、京葉線南船橋のデルタ線を経由して武蔵野線方面へ通じるルートについては、新松戸経由の綾瀬のみが記載され、同じ距離程である武蔵野線南越谷および常磐線天王台までも有効であるのではないかと考えられますが、その部分についての記載がありません。
御訪問者ののの平さまが仰せの通り、小湊鐵道は同区間について連絡運輸の設定がないことがその理由のようです。
この口座は当然無人化前にも存在していたのですが、かつては硬券でした。
硬券時代の同じ口座の大人用券です。桃色JPRてつどう地紋のB型券となっています。平成4年5月に発行されたものです。年月の経過で運賃に変更が生じていますが、同じ区間のものです。
先の軟券と地図を見比べますと、様式が違いますので雰囲気が異なりますが、記載されている最遠駅は全く同じです。
武蔵野線南越谷および常磐線天王台の記載について、無人化前から記載内容が変わらなかったことから、この区間についての連絡運輸の取り扱いに変化は無かったと考えて良いものと考えます。。
東急バス IC定期券内容控
東急バスのIC定期券内容控です。
東急バスでは東急電鉄の世田谷線各駅を除く各駅券売機で東急バスのIC定期券の発売をしています。
御紹介のものは今は亡き東横線渋谷駅(地上駅)で発行されたもので、発行箇所名に「東急電鉄東急渋谷駅」とあります。券売機から発券されるものですので、券売機用のPJRてつどう地紋の磁気券で、定期券サイズのものとなっています。
これはPasmoもしくはSuica等のICカードを券売機に挿入し、ICチップに東急バスの定期券情報を付加させることにより、IC定期券として利用することができるものです。ただし、全線定期券に限るようで、その他の川崎市内全線や近距離・共通定期券については従来様式の定期券となるようです。
IC定期券の利点として、バスの乗車時にいちいち定期券をドライバーに提示することなく運賃箱にタッチするだけで良いことと、万一紛失しても、発行控があることで再発行ができることです。しかも、鉄道の券売機で購入する際には、深夜帯(23:00以降)を除き、クレジットカードによる購入もできます。
勿論東急バスの定期券取扱所でも購入することは出来ますが、そこで発行される控は白色のレシートのようなもので発行されるようです。また、クレジットカードによる決済は渋谷駅構内の東急バス定期券取扱所以外では行われていないようです。
郡山駅発行 復路専用乗車券
昭和61年5月に東北本線郡山駅で発行された、安積永盛までの復路専用乗車券です。
桃色国鉄地紋のB型券で、仙台印刷場閉鎖後、東京印刷場に移管されて調製された券と思われます。
復路専用乗車券は改札補充券の一種で、改札脇にある精算所に設備されており、出札窓口で発売されていることはありませんでした。そのような駅では精算窓口にダッチングマシーンが置かれており、復路専用乗車券があるという一つの目印にもなっていました。
裏面です。
発売額は320円でしたが、内160円は既に乗車済みである安積永盛から郡山までの運賃分ですので、その旨が記載されています。
« 前ページ |