趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
神岡鉄道 開業5周年記念乗車券
1989(平成元)年10月に、神岡鉄道が開業5周年を記念して発行した、奥飛騨温泉口駅から猪谷駅ゆきの片道乗車券です。
大きさはA型券と同様の真鍮板で作られた券で、相互式大人・小児用券になります。
印字は刻印になっており、薄く削られた部分に黒色の塗料が入れられています。
裏面です。裏面には何もありません。
同線は国鉄が廃止した神岡線を神岡鉱山を所有する三井金属鉱業が全株式の51%を所有する大株主となり、鉱山から出荷される硫酸の安定輸送のために存続された第三セクターの鉄道で、記念乗車券を真鍮板で作成するというのは、いかにも鉱山鉄道ならではのような気がします。
実際、この券を作成するのにどれだけのコストが掛かっているのかは分かりませんが、もし本当に乗車された場合、採算は合わないような気がします。
神岡鉄道 神岡鉱山前駅から奥飛騨温泉口・神岡大橋・飛騨神岡ゆき 片道乗車券
前回エントリーで神岡鉱山前(旧・神岡口)駅では券売機発券の乗車券が発売されていたと申し上げましたが、手元に同社券売機券がございますので御紹介いたしたいと思います。
日付が変ですが、2000(平成12)年7月に神岡鉱山駅で発行された、奥飛騨温泉口・神岡大橋・飛騨神岡ゆきの片道乗車券です。
水色神岡鉄道自社地紋のA型券売機券で、食券用の自販機が使用されていました。
図示致しませんが、裏面には印字はなく、運賃箱への対応はされておりません。
着駅は奥飛騨温泉口・神岡大橋・飛騨神岡の各駅になっていますが、同駅からの駅順は飛騨神岡・神岡大橋・奥飛騨温泉口の順になりますので、記載する着駅の順番は上から飛騨神岡・神岡大橋・奥飛騨温泉口と記載するのが正当と思われます。
同線の列車は全列車がワンマン列車で、運賃箱を備えた車両が運用されておりましたため、もともとさほど多くはない乗降客数の同駅で乗車券を購入して乗車する旅客は殆ど居なかったものと思われ、発売日付の表記が変だろうと、着駅の表記が逆だろうと、問題はなかったものと思われます。
神岡鉄道 神岡口駅発行 開業記念乗車券
1984(昭和59)年10月に神岡鉄道神岡口(後の神岡鉱山前)駅で発行された、同線開業記念乗車券です。
神岡口駅から猪谷駅ゆき
奥飛騨温泉口駅から猪谷駅ゆき
水色神岡鉄道自社地紋のA型相互式大人・小児用券で、日本交通印刷で調製されたものです。開業時に登場したKM-100型気動車がデザインされておりますが、どちらも同じイラストになっていて、開業記念の乗車券にしては「使い回し感」があります。
神岡口駅から猪谷駅ゆき
奥飛騨温泉口駅から猪谷駅ゆき
裏面です。どちらも神岡口駅で発売されておりましたので、発行駅名は神岡口駅になっていました。1枚ずつバラバラで発売されていましたので、同時に購入しても券番は異なっていました。金額の安い神岡口~猪谷の券よりも金額の高い奥飛騨温泉口~猪谷の券のほうが売れていたのは意外です。
同線は国鉄神岡線が特定地方交通線に指定されて廃止された後、岐阜県の第三セクターとして路線が継承されたもので、正式名称は神岡鉄道神岡線といいました。存続理由は、沿線にある神岡鉱山からの安定した硫酸輸送を確保するためで、全株式の51%については鉱山を所有する三井金属鉱業が所有していました。
営業キロは19.9kmの路線で、途中の神岡口(のちの神岡鉱山前)駅以外では列車交換ができず、2閉塞区間が連続してスタフ閉塞式になった路線になっていました。
国鉄から継承されて開業した時点で、神岡駅が奥飛騨温泉口駅に、飛騨船津駅が飛騨神岡駅に、西漆山駅が漆山駅にそれぞれ改称されたうえで開業していますが、同駅だけは神岡口駅として開業し、半年後の1985(昭和60)年4月に神岡鉱山前駅に改称されています。そのため、同社の神岡口駅は開業から6ヶ月間だけの期間しか存在していません。
神岡口駅は同線では唯一の駅員配置駅になっていましたが、配置されている駅員はスタフ交換のための運転要員しか配置されておらず、駅事務室と待合室が別棟になっており、乗車券発売の窓口はなく、券売機が置かれているのみでした。
開業時には駅舎横に本社事務所があり、定期券や回数券、記念乗車券などの乗車券類はこちらで発売されておりましたが、普通乗車券の発売は行われていませんでした。
猪谷駅発行 神岡駅ゆき片道乗車券
1983(昭和58)年8月に高山本線猪谷駅で発行された神岡駅ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型一般式大人・小児用券で、名古屋印刷場で調製されたものです。
現在の猪谷駅は高山本線のJR東海とJR西日本の無人境界駅になっていますが、当時の猪谷駅は駅員が配置され、高山本線だけでなく、当駅を起点として神岡線が乗り入れていました。
神岡線は終点の神岡駅からの神岡鉱山の製品輸送のための路線で、開業は1966(昭和41)年と比較的新しく、全線の64%がトンネルまたは橋梁という山岳路線でしたが、開業からわずか15年の1981(昭和56)年に第1次特定地方交通線として廃止承認され、その3年後の1984(昭和59)年に廃止されてしまいます。
廃止後は第三セクターの神岡鉄道に移管されて営業を続けていましたが、収入の7割以上を占め経営の柱であった神岡鉱山からの硫酸輸送が廃止されると経営が困難になり、神岡線開業から40年後の2006(平成18)年に神岡鉄道は廃止されてしまっています。
西武鉄道 西武新宿駅発行 普通回数乗車券
2023(令和5)年2月に、西武鉄道新宿線の西武新宿駅で発行された、高田馬場までの普通回数乗車券です。
桃色PJRてつどう地紋のA型券で、出札窓口の発券機で発行されたものです。
同社では本年3月のダイヤ改正で普通回数乗車券の発売が終了しています。近年、IC乗車券の普及やコロナ禍による鉄道事業者の業績悪化に伴って、JRや私鉄の多数事業者が回数券を廃止する傾向にあり、同社も今回のダイヤ改正の機会に回数券を廃止しています。
ただし、障がい者割引回数乗車券は、IC乗車券では対応が難しいことから、これまでどおり一部の駅で発売が継続されます。
JR東日本 幕張豊砂から海浜幕張ゆき 片道乗車券
2023(令和5)年3月に発行された、JR東日本京葉線の幕張豊砂駅から海浜幕張駅ゆきの片道乗車券です。
青色JRE地紋の特殊指定共通券用紙の券で、指定券券売機で発券されたものです。
この券が発行された3月18日は幕張豊砂駅の開業初日になりますが、現地まで行かず、地元の駅で記念に1枚乗車券を購入しました。
同駅は千葉県内のJR線としては1998(平成10)年に開業の東松戸駅以来25年ぶりの新駅となり、同線18番目の駅として開業しました。
近隣には大型商業施設「イオンモール幕張新都心」があり、今後は駅と施設を結ぶ通路が整備されるとのことです。
新聞報道によりますと、事業費は約115億円で、イオンモールがその半分を負担し、県と千葉市およびJR東日本が残りを負担しているとのことで、同駅の新規開業は、いままで鉄道駅が近くなかったイオンモールや周辺のニュータウンの交通の利便性を確保することが最大の目的です。
相模鉄道 横浜から10円区間ゆき 片道乗車券
本日(3月18日)はJRグループのダイヤ改正日です。管理人のような関東圏内に居住している人間にとって、今回のダイヤ改正は、JRグループのものよりも、相模鉄道と東急電鉄が相互乗り入れを開始する、相鉄・東急直通線と東急新横浜線の開業が一番の目玉のような気がします。
これらの路線の開業により、2019年に開業した相鉄・JR直通線とともに同社は東京・埼玉の路線との相互乗り入れが実現し、それまでは大手私鉄の中で全く他事業者との相互乗り入れが行われていなかった時代とは全く違う路線網が構築されたことになります。
今回は昔の相鉄の乗車券を御紹介したいと思います。
1965(昭和40)年10月に相模鉄道本線の横浜駅で発行された、同駅から10円区間ゆきの片道乗車券です。
若草色JPRてつどう地紋のB型金額式大人専用券で、硬券単能式の自動券売機で発券されたものです。硬券ではありますが、券紙は若干薄めで、半硬券と硬券の中間くらいの厚みになっています。
券面表記は予め印刷されており、発券の際に発売日のみ印字されて発券されていたようです。
裏面です。券番が片券番で印字されており、もしかすると、発売枚数は多いことが想定されることから、1枚の券紙で135枚分を同時に印刷する集中印刷方式で調製されたのかも知れません。
東武鉄道 業平橋駅発行 普通入場券
いまから11年前の本日である2012(平成24)年3月16日、東武鉄道伊勢崎線(スカイツリーライン)の業平橋駅が、1931(昭和6)年に浅草駅から業平橋駅に駅名改称されて以来81年間営業してきましたが、翌3月17日に隣接する東京スカイツリー®および東京スカイツリータウン®の開業にあわせ、業平橋駅としての営業は3月16日を以て終了し、3月17日からは東京スカイツリー駅に改称されました。
大人専用券
小児専用券
御紹介の券は業平橋駅最終日に発行された普通入場券です。
黄褐色TRCとぶてつ自社地紋のB型大人専用および小児専用券で、同社系列の足利印刷で調製されたものになります。
同社の硬券入場券は大人専用券と小児専用券に分かれており、大人・小児用券は存在しませんでしたので、購入するときは双方欲しくなってしまいますので、1駅あたりの購入価格が跳ね上がりました・・・。
先ほど、同駅は「3月16日を以て業平橋駅としての営業を終了した」と申し上げましたが、この券は翌17日付けにて発行されています。
当時、「最終日付」として3月16日に発行された券がオークションサイトなどで高価で取引されていたように記憶しており、確かに最終営業日は3月16日なのですが、同駅は夜の24時を超え、24時台の15分頃に終電車が発車する関係で、日を跨いでから約15分程度の間に発行された入場券は3月17日付にて発行されています。
そのため、同駅では、3月17日に限り、終電車から始発電車までの間は一旦駅を閉めてはいたものの、業平橋駅と東京スカイツリー駅双方の入場券や乗車券類が発売されたことになります。
大人専用券
小児専用券
ちなみに、改称初日である3月17日に発行された東京スカイツリー駅の普通入場券です。
重ねてみると分かりますが、駅名は違えど同じ駅で同じ日に発売された券になりますので、ダッチングの印字を見ると、同じ機器で刻印されたように見えます。
若桜鉄道 若桜駅から郡家駅接続津ノ井駅ゆき 片道連絡乗車券
2014(平成26)年7月に若桜鉄道の若桜駅で発行された、郡家駅接続、JR西日本因美線の津ノ井駅ゆきの片道連絡乗車券です。
桃色若桜鉄道自社地紋のB型一般式大人・小児用券で、関東交通印刷で調製されたものと思われます。
同社の硬券乗車券は開業当初は独自の印刷場で調製されたものが使用されておりましたが、平成になって日本交通印刷が調製したものに変更されています。
御紹介の券は関東交通印刷で調製されたもので、試験的に導入されたものと思われます。
従来の日本交通印刷で調製された券は、連絡乗車券と社線完結の乗車券の地紋が双方とも水色の自社地紋で、さらに、同社の連絡乗車券には接続駅を経由表記することをしないため、連絡乗車券と社線完結券の区別が付けづらいものでしたが、関東交通印刷券では連絡乗車券は桃色地紋に変更されており、視認性が向上しています。
弘南鉄道 弘南弘前から南弘前ゆき 片道乗車券(小児用)
前回エントリーで弘南鉄道の弘南弘前(現・弘前)から南弘前(現・弘前東高前)ゆきの大人専用の片道乗車券を御紹介いたしましたので、今回の同区間用の小児専用券を御紹介いたしましょう。
かなり変色していますが、前回御紹介の大人専用券と同じ1987(昭和62)年9月に弘南線の弘南弘前駅で発行された、南弘前駅ゆきの小児用の片道乗車券です。大人専用券同様、小児専用券についても発着双方の駅名が改称されていますが、訂正がされないまま発売されています。
小児用券は15円(大人30円)の時に設備された、大人専用券よりも古い時代の券で、券紙がかなりヤケで変色しています。
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