趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
銚子電気鉄道 仲ノ町駅発行補充片道乗車券
平成22年8月に銚子電気鉄道(銚子電鉄)仲ノ町駅で発行された、JR総武本線松岸駅ゆきの補充片道乗車券です。
青色JPR鉄道地紋の標準的な私鉄用軟券式で山口証券印刷で調製されたものではないかと思われます。
同社の補片は発駅名や発行駅名の印刷されたものはなく、発駅および発行駅名は記入式となっています。本来であれば、経由欄には最低限接続駅である「銚子)」の表記をすべきかと思われますが、省略されているのではなく、失念されてしまっているようです。
銚子電鉄線各駅からはJR東日本線の千葉~松岸間および酒々井~椎柴間への連絡乗車券を発売することができますが、同駅には需要が無いからでしょうか、連絡乗車券の常備券は設備されておらず、補充券による発券となります。尤も、銚子~松岸間はSuicaを使用する旅客も多いでしょうから、常備の乗車券を設備する必要はないのかもしれません。
東武鉄道 東武百貨店池袋店開店50周年記念乗車券
東武鉄道では2012年5月24日から8月21日まで、東武百貨店池袋店開店50周年記念として、お買物クーポン付硬券乗車券を発売しました。
台紙に硬券乗車券が1枚はさんである、「NEXT 50」というロゴの目立つ台紙です。
台紙の裏面には「東武百貨店池袋店の50年のあゆみ」と「当時の東武東上線あれこれ」と題された年表が付いています。
こちらが硬券乗車券です。池袋駅から500円区間ゆき(若葉駅まで)の券が付いています。
黄色TRCとぶてつ自社地紋のB型券で、図示いたしませんが、最近の同社記念硬券乗車券の様式に則って有効期間の「呪文」は裏面に印刷されています。
続いて、お買物クーポンです。
記念乗車券発売期間中のみ有効で、東武百貨店池袋店で1回あたり税込10,500円以上のお買物で500円の割引券として使用できるものです。つまり、10,500円以上ショッピングをすることで、若葉駅までの区間の帰り用の乗車券分が割引となるわけです。
JR東日本 信濃境駅発行 補充往復乗車券
信濃境駅には補充往復乗車券の設備もあります。
補片同様で富士見駅まで発券していただきました。
青色JRE地紋の軟券式です。
補片同様に東京都区内では京王線分倍河原駅のものが唯一と思われ、同駅は補往の設備のある東京近郊で一番近い簡易委託駅ではないかと思われます。
JR東日本 信濃境駅発行 補充片道乗車券
中央本線信濃境駅で発行していただいた、富士見駅までの補充片道乗車券(補片)です。
青色JRE地紋の軟券です。
JR各社には様式として補片が残されている会社もありますが、出札補充券による発券が多く、補片の使用機会はめっきり減ってきたように感じます。
出札補充券の他に補片や補往を設備しなくとも出札補充券があれば事足りるわけで、わざわざ設備しなくても万能な出札補充券があれば問題ないために設備をやめている駅が増えているのかも知れません。
意外と、補片で発行された乗車券を見る機会が減っています。
現在、東京都内では京王電鉄管理の分倍河原駅に補片および補往の設備が唯一の存在となっており、補片および補往を設備している東京近郊に一番近い簡易委託駅は東京駅から約178km離れた同駅になるものと思われます。
東武鉄道 伊勢崎線系統用車内補充券
昭和48年頃に発行された、春日部車掌区乗務員発行の伊勢崎線系統用の車内補充券です。
現行券より一回り小さめの券で、黄色TRCとぶてつ自社地紋となっています。
同社は現在でも車掌が車内補充券を携帯していますが、ノンカーボンの様式となっており、パンチで穴を開けることはしていません。
この券を見ますと、面白いものを発見します。
まずは右下です。
該当部分を拡大してみました。
熊谷⇔妻沼間の、昭和58年に廃止された熊谷線の記載があります。
熊谷線は東武鉄道の伊勢崎線系統とはレールが繋がっていませんが、なぜかこの地図の中に入れられています。
伊勢崎線系統から熊谷線へ行くには、国鉄線もしくは秩父鉄道線を介して行かねばならないのですが、伊勢崎線系統の車内で熊谷線の乗車券を発売することはほぼ皆無であったと思われますので、何のために記載されているのか不思議です。
もうひとつは、東武日光から先の中禅寺温泉駅と湯元駅までの記載があることです。
この区間は東武バスの区間でありますが、当時は東武バスが分社化されていませんでしたので、自動車線区間までについても車内で精算していたのかもしれません。
遠州鉄道 西鹿島から東京都区内ゆき 硬券乗車券
昭和31年10月に遠州鉄道西鹿島駅で発行された、東京都区内ゆきの連絡乗車券です。
桃色遠州鉄道自社地紋のA型券で、一般式券となっています。
乗車経路は西鹿島~(遠州鉄道二俣電車線)~新浜松・浜松~(東海道本線)~東京、という経路で、二俣電車線は昭和39年に西鹿島線と改称されている、現在の遠州鉄道線です。
裏面です。券番の他に「遠州鉄道」の社名が印刷されています。
西鹿島駅は遠州鉄道線の他に国鉄二俣線の接続駅となっていますが、遠州鉄道線の運転本数に対して二俣線の運転本数が極端に少ないことと、遠州鉄道線の浜松接続に対して二俣線は掛川駅で東海道本線と接続であること等、いずれにしても二俣線経由は東京方面への旅行には不利な条件が重なり、二俣線経由よりも遠州鉄道線経由を選択する利用者が殆どであったものと思われます。
現在、遠州鉄道はJR東海との連絡運輸を廃止しており、天竜浜名湖鉄道とのみ連絡運輸が行われています。
柏駅用 試用定期券
見本券ですが、昭和47年ごろに試験的に導入された、自動改札対応の定期券です。
まだ印発機やマルスで定期券が発行されていなかった時代のもので、パウチがされているのではっきりしませんが、湿式コピーで印刷されたような感じの券です。
当時の国鉄は、関西の私鉄が自動改札の開発を進めて行く中で、一旦は導入を考えて柏駅の他に国立駅・放出駅等片町線の一部の駅で試験的に使用したようですが、これを実施するためには全国の駅の情報を入れる必要があったため、当時の情報技術ではシステム破綻が明確で、本格的な自動改札機の導入には踏み切れなかったようです。
裏面です。
茶色の磁気膜があるだけのもので、現在のもののような注意書きの印刷はありませんでした。
京王電鉄 京王れーるランド 車内補充券タイプ メモ帳
京王電鉄の多摩動物公園駅には、京王れーるランドという小規模の鉄道PR施設が併設されています。
ここではお土産用のオリジナルグッズが販売されていますが、このなかにはきっぷ蒐集家が喜ぶ逸品(?)である、「車内補充券タイプ メモ帳」というものがあります。
これが商品の全容です。
あくまでも「メモ帳」ですから、見た感じはノートのような綴じ方です。
表紙はこのようになっており、きちんと册番が打たれています。
ページを開くとこんな感じです。あくまでも表面は補充券タイプの印刷となっており、あまりメモができるような雰囲気ではありません。しかも、本物の補充券同様、「KEIO」の地紋まであります。
それにしても、京王全線の路線図や地紋など、車内補充券の雰囲気を大変よく醸し出しており、とても良い雰囲気です。
裏面は白紙で罫線が引かれているだけで、メモは裏面に書くもののようです。本来「メモ帳」ですから、メモが書けるようにしなければなりませんからね。
こちらは同社の車内補充券で、現役時代の末期の様式です。同社では現在車内での精算業務は廃止されており、車内補充券はありません。
本物の券には都営地下鉄や小田急などの連絡他社線が記載されていますが、メモ帳はいろいろと問題があるからでしょう、自社の路線しか記載されていません。
金額欄なども良くできています。
左がメモ帳で、右が本物です。なぜかメモ帳の事由欄には「連続」という項目がありますが、本物にはありません。
京王れーるランドを訪問される際には、ぜひごらんください。
軽井沢グリーン号 ファミリー・シート
見本券ですが、昭和47年頃に発売されていた、「軽井沢グリーン号 ファミリー・シート」券です。
軽井沢グリーン号は夏季の観光シーズン中、軽井沢方面への観光客輸送のために設定された上野~中軽井沢間の臨時急行列車で、EF62が客車8両を牽引する客レでした。客車も緩急車はスロフ62、中間車はスロ62という豪華編成で、上野口では「ロイヤルエンジン」と呼ばれたお召機EF5861が牽引していたという目撃談もあります。
そんな急行軽井沢グリーン号ですが、全車グリーンという特徴から、ファミリーシートという設定があり、該当号車についてはボックス単位を基本とした指定席の販売が行われています。座席版「お座敷列車」と言えましょうか、その原型のような感じです。
券は東京印刷場で調製された4片制で、緑色国鉄地紋の軟券となっています。4座席分の運賃・グリーン料金・急行料金・指定料金がセットになっています。
1番上の券(表紙券)です。
注意書き・価格・発行日・発行箇所の他、車両の座席配置図がついています。
乗車券部分は「軽井沢地区内⇒東京都区内」となっており、ここで言う軽井沢地区内とは、信濃追分・中軽井沢・軽井沢の各駅を示します。
指定部分については軽井沢発18時12分発となっており、発時刻は印刷されています。また、ファミリーシートは1号車となっていたようで、「1号車」の表記も印刷されています。
当時の時刻表を調べますと、軽井沢発1812~横川発1839~高崎発1905~大宮発2002~赤羽発2015~上野着2027となっていたようです。
表紙券以外の部分です。
乗車券部分と指定券部分だけが印刷されており、注意書きおよび座席配置図はありません。
この券の特徴として、4名が必ず同行しなければならないわけではなく、最終的に1812発の列車の指定された席に集合すれば別行動も可能となっており、各券片を点線で切断しての使用も可能です。
各券の裏面です。
注意書きが印刷されており、軽井沢グリーン号の運転されていない信濃追分~軽井沢間については普通列車の他、急行列車の自由席に乗車することもできる旨が記載されています。
東小金井駅 開業当日発行の入場券
いまから48年前の昭和39年9月10日、全額地元住民負担の請願駅である中央本線東小金井駅が、武蔵境~武蔵小金井駅間に設けられました。
これは、開業当日の昭和39年9月10日に発行された硬券入場券です。
東京印刷場調製の横赤一条のあるB型券で、当時はまだ入場料金に小児料金が設定されていなかったため、大人専用の10円券となります。
集中印刷方式による片券番となっており、この券は0380番となっています。
今でも同駅はJR東日本の駅のなかでは147位(2011年度)と同社HPで公表されています。首都圏の駅としては決して利用者数の多い駅ではありませんが、入場券ブームもまだ訪れていない当時、開業当日1日で380枚以上もの入場券が発売されたという実績は、いかに地元の期待と関心が高かったのではないかと思われる次第です。
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