趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
上野駅発行 上野駅から尾久駅ゆき 一等片道乗車券
1969(昭和44)年4月に上野駅で発行された、上野駅から尾久駅ゆきの一等片道乗車券です。
若草色こくてつ地紋の一等用補充片道乗車券(補片)で発行されています。
昭和44年5月10日は日本の鉄道にとって大きな改革の日で、前日9日の営業を以て長年行われてきた等級制が終了し、以後モノクラス制になっています。
この券は、等級制が終わるにあたって記念用として発行されたものです。
裏面です。
当時のご案内文は、日本語と英語の双方で記載されていました。
北総開発鉄道 千葉ニュータウン中央駅発行 普通入場券
1993(平成5)年8月に、北総開発鉄道(現、北総鉄道)千葉ニュータウン中央駅で発行された普通入場券です。
白色無地紋のB型大人専用券で、山口証券印刷で調製されたものと思われます。
同駅は「千葉ニュータウン中央」駅と10文字の長い駅名のため、一行で表記するにはスペースに限界があることから、「ニュータウン」の部分が小さな活字になり、2段書きされています。
乗車券以外にも、同社では同駅を「千葉NT中央」駅と表記することもあるようです。
同駅には北総鉄道北総線と京成電鉄成田空港線(成田スカイアクセス線)が乗り入れておりますが、北総鉄道は京成高砂 駅~小室駅間を第1種鉄道事業者として、小室駅~千葉ニュータウン中央駅~印旛日本医大駅間は千葉ニュータウン鉄道が保有し、線路や施設を保有しない第2種鉄道事業者として運営されています。
また、京成高砂駅~千葉ニュータウン中央駅間は京成電鉄も成田空港線として運営しており、線路は同じですが、2社がそれぞれの路線を運営しているという特殊な区間になっています。
そして、同駅は北総鉄道北総線と京成電鉄成田空港線の共同使用駅になっていますが、駅務は北総鉄道が担当しています。
有楽町駅発行 東京駅折り返し横浜駅ゆき連続乗車券
1975(昭和50)年11月に東海道本線有楽町駅で発行された、東京駅折り返しで横浜駅までの連続乗車券です。
青色こくてつ地紋の常備式軟券で、東京印刷場で調製されたものです。図示致しませんが、裏面に印刷されているものはなく、真っ白になっています。
乗車経路は、有楽町~(東海道本線)~東京~(東海道本線)~横浜というもので、横浜へ行く際に一旦東京駅に寄っていくものになります。運賃は各々の片道運賃を合算した額で、有効期間はプラス1日の発売日共2日間になります。ただし、途中下車はできません。
この券が常備券として設備されるほどに需要があった理由としては、有楽町駅から横浜駅までは京浜東北線(東海道本線緩行)電車一本で行くのが一般的ですが、同線は混雑が激しく、また、横浜駅までの各駅に停車することから時間が掛かるため、反対方向ではありますが、一旦東京駅まで行き、当時は同駅始発であった東海道本線の普通列車で横浜駅まで行くほうが、時間がたいして変わらないのに確実に着席できるために選択する旅客が多かったものと思われます。
JR東日本 高額オレンジカードの払戻し手続期間の終了
本年(2023年)3月末を以て、JR東日本では高額オレンジカード(5,000 円券、10,000 円券)の払戻し手続期間を終了させました。
JR東日本が発売した高額オレンジカードです。発売額は10,000円ですが、プレミアが700円分付いており、10,700分の利用が可能でした。
裏面です。まだ同社が東京都千代田区丸の内の旧国鉄本社にあった時代のものです。払い戻し処理等に悪用されるといけないので、バーコードの部分については画像処理をしています。
JRグループ全体では、券売機でのきっぷの購入に利用するプリペイドカードとしてオレンジカードを発売していましたが、2013(平成 25) 年3月末で発売を終了させています。
JR東日本では、オレンジカード発売中の1991(平成3)年にきっぷを購入する手間を省くプリペイドカードであるイオカードを発売し、さらには2001(平成13)年にはSuicaを登場させていますが、これらは他のJRグループ旅客鉄道会社との共通性がなかったため、グループ各社で使用できるプリペイドカードとしてオレンジカードの発売を継続させていました。
ただし、高額オレンジカードについては、テレホンカードやハイウエイカード同様に偽造カードが出回っていたことから、1997(平成9)年3月に発売が停止され、翌年1月には利用することもできないという事実上廃止同然の扱いになり、残額のある高額券については駅窓口で低額(500円券、1,000円券、3,000円券)オレンジカードに分割交換のうえ継続使用をすることで使用可能としていましたが、2021(令和3)年9月末を以て高額オレンジカードは正式に廃止になっています。
JRグループでは現在でも対応可能な券売機では低額オレンジカードは現在でも使用することが可能ですが、高額券については2021 (令和3)年9月末を以て廃止されたことにより、本年(2023年)3月末までの期間、「資金決済に関する法律第 20 条第 1 項」の「前払式支払手段発行者は、前払式支払手段の保有者に当該前払式支払手段の残高として内閣府令で定める額を払い戻さなければならない」という規定に基づいて払戻しが行われていました。
この払い戻しは関東財務局が管轄財務局になって、廃止翌日の2021 (令和3)年10月1日を始期として2023(令和5)年3月31日を終期とする払戻申出期間が設けられていました。
今回の払戻申出期間(払戻し手続期間)の終了に伴い、同社発行の高額オレンジカードは払戻しの手続きから除斥され、使用することはすでにできなくなっていますが、交換することや払い戻しをすることもできなくなってしまいました。
倶知安車掌派出所乗務員発行 車内補充券
1986(昭和61)年9月に胆振線の列車内で車掌氏から購入した六郷から倶知安ゆきの片道乗車券です。当時胆振線を担当していました倶知安車掌派出所乗務員発行となっています。
👉クリックすると大きく表示される(かも)・・・
青色こくてつ地紋の運賃表のような特殊な駅名式券で、横が120㎜、縦が155㎜という大変大判の券です。
国鉄で発行されていた車内補充券の中では七尾車掌区で発行されていた七尾線のものが一番大きかったように思いますが、御紹介の券も上位に位置する大きさです。
大きさが大変大きいために使用勝手はあまり良くないように思いますが、いろいろな区間の運賃が1枚の券に纏められていますので、発券の際に運賃表で運賃を確認しなくても発行できるメリットがあったようです。
券面には胆振線が室蘭本線から分岐する伊達紋別駅から函館本線に接続する倶知安駅までの各駅が、上段が発駅で、右列が着駅として記載されていますが、駅員配置数人数が多く、無札の乗車券の発行機会が少なかったからでしょうか、発駅の一覧から新大滝駅および京極駅が抜かれています。
胆振線はこの券が発券された約50日後の10月31日の運行を以て営業が終了し、翌11月1日に廃線になっています。また、同線の廃止と同日、倶知安車掌派出所の母体である小樽車掌区が、岩見沢車掌区、滝川車掌区とともに廃止され、札幌車掌区(現・JR北海道札幌車掌所)に統合されています。
福井鉄道 福井駅から田原町ゆき 片道乗車券
2016(平成28)年9月に、福井鉄道福武線福井駅にありますウエルカムセンターで発行された、福井駅から田原町駅ゆきの片道乗車券です。
黄緑色福井鉄道自社地紋のA型券で、出札用の発券機で発行されたものです。
ウエルカムセンターは福井市が運営している観光案内所で、観光客へ福井市内外の観光情報を提供する他、ホテルや旅館など宿泊先への手荷物配送・雨具のレンタルサービスなどのサービスを提供する施設です。ここでは観光案内の一環として福井鉄道や京福バスの乗車券の他、福井駅及び付近駅を行き先とする定期乗車券や回数券、フリーきっぷ等が委託発売されていました。
ところが、これらの乗車券発売業務は本年2月末を以て終了し、翌日以降はウエルカムセンター内に設けられた臨時窓口での取扱いとされておりましたが、この取扱いも4月14日を以て終了しています。
今後は、最寄りの有人駅窓口は田原町駅となり、同駅での発売の他、定期乗車券については、事前に予約のうえ届けられる「定期券お届けサービス」での発売になり、普通乗車券や回数券・フリーきっぷについては、同社福井駅に設置された自動券売機での発売のみになります。
鎌倉駅発行 東京電環ゆき 一等片道乗車券
ちょうど57年前の1966(昭和41)年4月17日に鎌倉駅で発行された、東京電環(現・東京山手線内)ゆきの一等片道乗車券です。
経年によってヤケが見られますが、若草色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
裏面です。券番と発行駅名の他に「東京電環内下車前途無効」の文言があります。
券番の横にある「⑰(◯17)」の数字は循環番号で、券番0001~0000までの10,000枚でこの番号が1番繰り上がりますので、⑰ということは177,207番ということになります。
鎌倉という観光地は今でも人気スポットですが、特に御年配の方に人気のある場所でしたので、一等車を利用する旅客が多かったものと推測されます。
西武バス 整理券 ~その2
前回エントリーで西武バスの整理券を御紹介いたしましたが、同社の現行の整理券は御紹介したものとは様式が変更されています。
1994(平成6)年2月に車内で発行された整理券で、感熱式の現行様式になります。
券の大きさは変更ありませんが、いままで大きく表示されていた停留所番号が小さくなり、QRコードのようなものが印刷されています。
このコードは券を料金機に投入したとき、料金機が運賃を判別するようになっているようで、それまでは乗務員が整理券番号を見て都度料金機の運賃を設定していましたが、その操作が不要になっているようです。
しかし、料金機には釣り銭を自動計算する機能はなぜか無いようで、釣り銭が必要な場合には、料金機に付けられている両替機で両替をしたうえで、ちょうどの運賃を投入する必要があります。
西武バス 整理券 ~その1
1992(平成4)年9月に、西武バスの車内で発券された整理券です。
感熱印刷式券で、鉄道のB型券よりひとまわり小さいサイズになっています。
乗車停留所の番号が大きく印字されており、従来のインクで印刷された整理券の様式をそのまま感熱式にしたような券です。
運賃精算時には料金機に整理券を入れ、運賃表に表示された金額を運賃箱に投入します。
西武バスは埼玉県所沢市に本社のあるバス会社で、西武鉄道を筆頭とする西武ホールディングスの子会社で、西武鉄道の沿線を中心としてエリアで路線バスや、高速バスなどの運行をしています。
ただし、他の大手私鉄事業者がバス事業を分社化したような経緯では無く、同社は当初から鉄道の傘下のバス事業専業事業者として営業しています。
同社では路線バスの運賃支払い方法が3通りあり、東京23区と武蔵野市の一部および[立70][立71]系統の路線については均一運賃を乗車時に支払いする前乗り後ろ降り方式が採用されていますが、東京23区および武蔵野市の一部と多摩・埼玉地区をまたぐ路線については距離制運賃になっており、前扉から乗車して乗車時に乗務員に行先を告げて行先別の運賃を支払い、後ろ扉から降車します。そして、多摩地区および埼玉地区のみを運行する路線については、運賃は降車時に距離制運賃を支払うようになっており、後ろ扉から整理券を取って乗車し、降車時に運賃を支払って前扉から下車します。
西武バスの車両です。「笹カラー」と呼ばれる緑色を基調としたカラーリングの車両が多く存在していますが、最近配備された新型車両は青色を基調とした「S-tory(エストリー)」という愛称の車両になっており、「笹カラー」の車両はだんだんと少なくなっていくものと思われます。
JR九州 ◯自 博多から150円区間ゆき 片道乗車券
日付が見づらいですが、1989(平成元)年8月にJR九州自動車事業部(JR九州バス)の、◯自 博多駅(博多バスターミナル)で発行された150円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色JRK地紋のB型金額式大人専用券で、門司印刷場で調製されたものです。
裏面です。券番の他に、料金機内で裏返しに着地してしまった場合の対策として、運賃額である「150」の文字が大きく印刷されています。
この頃はまだ各地のバス券売所(案内所)では硬券乗車券を発売しているところが多く、実際にはそのようなことはありませんでしたが、管理人のコレクター仲間の間では「意外とバスの方が遅くまで硬券残るんじゃない?」などという話をしていたこともありました。
この券が発行された時のJR九州バスは、国鉄民営化の際にJR九州の自動車事業部として承継されていましたが、2001(平成13)年に自動車事業部がJR九州の子会社化されてジェイアール九州バスとなり、現在はJR九州バスに商号変更されています。
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